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茶占い

毎朝、最初の思考は緑茶にしようか、焙じ茶にしようかで始まる。そこに、元々は全く飲めなかったコーヒーが加わった。

知人の研究者が言っていた「起きた時と、寝る前が幸せならば一日が幸せということだよ」という言葉には大賛成である。

何せその選択によって、無意識だがそれぞれによって一日の心持ちというと大袈裟だが、何となくの方向性が定まる感覚がある。

それぞれの方向性を決め、その上でどの茶葉にするか、いつもの物にしようか、それとも今日は開発段階のものにしようか?それとも気になる頂きものの茶葉にしようかなど。

その次に白湯を再度加熱する。半分寝ぼけながら、その茶葉に合う道具選びもするのである。そして、どの香りにするかも同じように、何となく自分に問い掛ける感じで選ぶ。

こんな事を言うと、面倒なこと朝からしてるなと言われるだろうが、朝何の音楽を聞くか、着る服はどうしようかとほとんど変わらないし、なんなら歯磨きをする方が面倒だ。

先ほど述べた一日の方向性というのは、実際飲む物の種類でどうこういうことでは無い。

どの飲み物にするにしても、大切に生み出された味わい豊かなものばかりなのだが、その時に自分が意識の奥で欲している感覚と、選ぶ、淹れる、香る、味わうが、無意識の中でシンクロしているかが重要で、一日を共にする自分自身の身体と感覚の相性を確認することが朝の茶時の醍醐味である。

自分は占いや天気予報はあまり信じないタチだが、この朝の時間で、自分のその日一日に必要な心持ちが見えてくる。

五感は変動的であり、バランスの取れている日もあれば、全くバラバラな時もある。その事に多くの人は気付かずにズレたまま一日を過ごすことになる。

自分の周りには信じられないくらい多忙な人々がいる。
そして、自分はせっかちな性格である。

だから良く分かる。
「朝から面倒」この一言が先ず浮かぶだろう。
しかしこの一見、呑気で面倒なことの中で、自分のバランスに気付けるのならばどうだろう?
しかも美味しく、染み渡る香り、気持ちの良い道具を目に出来るという特典付きである。

「お茶を飲む、豊かな時間を」は正直距離を感じる。
正しいがリアリティが無い。
最近は、「お茶を飲むことで、豊さに気付く」が正しいのでは無いかと思う。

因みに今朝は、焙煎の魅力と深さを教えてくれた野辺が仕上げてくれた焙じ茶を。その余韻約1分に心奪われ、無心で過ごした。この感じだと良き一日となることだろう。

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