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不思議な言語のルールを紐解くパズル『Alephant』感想

2023年3月1日にリリースされたパズルゲーム『Alephant』をご存知でしょうか。


先日steamにて初めてのレビューをこの素晴らしいゲームに捧げましたが、そこでは書けなかった個人的すぎる思い入れを語ろうと思いnoteを開設しました。

普通にこのゲームについてのフラットな感想を読みたい場合は頑張って書いたsteamのレビューを読んでください。



Alephantとはどんなゲームなのか

牛さんに話しかけられたゾウさん、でも牛さんなに言ってるかわかんない!
牛さんは去ってしまった。なにも分からずしょんぼりしたゾウさんをプレイヤーは導いていくことになる。

なんか言ってるけど全然分かんない
操作キャラはゾウさん。かわいいね

"ヘブライ文字の一番目に位置するAleph(アレフ)は、母音記号のniqqud(ニクード)を組み合わせて初めて発音できるようになる単体では音のない文字である。"
Alephantはこのアレフの性質をモチーフにした倉庫番ベースのパズルゲームです。
アレフのエレファントだからアレファント。おしゃれなタイトルですね。
日本語には対応していませんが、
"A word-less puzzle game about language.言語に関する、言葉のないパズル"
なので特に問題はないです。ゾウさんと共に学べ。
私はこの記事を書くためにめちゃくちゃ調べましたが、専門知識は必要ないしゲーム中で説明されたりもしません。

Alephというのはカタカナのモを斜めにしたような記号(א)。
以下『モ』とします。

ゾウさんが直接押せるのは母音記号のシンボルのみ。
このシンボルが向いている(点がある)方向にモがあるとくっつく


シンボルがくっついたモはゾウさんが上に乗ることで音を発することができるようになる

すべてのモに母音記号をくっつけ、その上に乗ることで音を出すことができればステージクリア。
正直文字で説明するゲームではないので読んでもなんのこっちゃと思われるかもしれませんが、実際にプレイしてみるとシンプルなルールでかなり取っつきやすい。
押してくっつけて乗る、それだけ。それが何故か難しい。

どこが面白い?

そう、めちゃくちゃ難しいんですよこのゲーム。
なんとこのゲームの魅力はかわいいゾウさんだけではないんです。

中盤以降は1ステージ解くのに30分は余裕でかかるこの難易度、しかし理不尽ではなくシンプルに練られたステージ構成。
一目見て「これをここに動かせば終わりじゃない?」と予測ができるのに、実際に動かしてみるとうまくいかないんだなこれが。

世の中には難しいゲームと聞いて
「めんどくさ、近寄らんとこ」
となる人間と、
「は?この天才力でボコボコにしてやるが?」
となる人間の二種類がいて、特にゲームを愛好する層なんかには後者がめちゃくちゃ多い。難しいということにはそれだけで魅力があるんですよね。

こちらのオフィシャルトレーラーを見てもらうとなんとなく分かるのですが、母音記号とくっついたモは音と共に特殊能力を得ます。
他の母音記号の向きを変える、引き寄せる、ワープするなど……

倉庫番のパズルといえば、ブロックを端や角に追いやると中央に復帰させづらくなるのでなるべくそれらを避けるのが定石ですよね。
しかしこのゲームでは、引き寄せ、ワープなどのギミックにより
"一見詰んだ状況からの復帰"
ができるので、動きやステージの自由度が大きく広がっているんですよ。これが非常に面白い!

そしてなによりこのゲームの肝となるのが、各チャプターの最後に挑戦することになる”牛さんとの対話ステージ”。
これが本当~~~~に面白かったんですがネタバレになるからなにも言えない!!謎解き要素があるんですよここにきて。
そのチャプターをどこまで理解しているかねちねちと詰めてくるし、どう考えても不可能なそれが可能なことに気付いてしまった時にこのゲームのヤバさを実感できると思います。
こういう状況ではどうなるのかというルールを自分で発見していくことでしか道は拓かれず、柔軟な発想力とひらめきだけが武器。何時間かかっても最終的には解けたのでどれも良問でした。まあ苦しみに苦しみぬいたステージも数問ありましたが。自分の盲点を突いてくるようなパズル、時々ありますよね。

どのようにして出会ったのか

ここからはあまりゲームの内容と関係のない話になります。

私がこのゲームと出会ったのは2022年5月に開催されたCerebral Puzzle Showcaseというsteamの素晴らしいパズル特集でした。
既存のパズルゲームのセールは勿論のこと、これからリリースされる予定のパズルゲームのデモ版がたくさんプレイできる夢のような期間。
(この時に遊んだ『Sokobond Express』や『Storyteller』も面白かった~~~)

これは本当に個人的なことなのですが、私はゾウという動物を非常に愛していて、それからパズルゲームも愛しているんですね。
「ゾウさんのパズルゲームがあったら最高なんだな」とずっと思っていたんですよ。あった。

もうデモ版の時点でパズルとしての完成度がめちゃくちゃ高かったし倉庫番ライクのパズルは大好きだし、なによりゾウさんで最高。
このゾウ×パズルの革命児、Alephantのデモ版を5月にプレイして以来、私は当初の発売予定だった2022年秋を待っていました。9月から毎日ストアページを覗き、リリース予定日が"近日登場"に変化したことに落胆し、作者のツイッターを毎日チェックしました。そこで9月末に「New game!」と発表された『Marzanna』

のツイートを見て「Alephantはどうなりましたか!?」とリプライを付けそうになるのを堪えたり。今思えば楽しみにしてることは伝えておくべきだったか。
『Marzanna』はめちゃくちゃ面白かったです、魔法で出した氷のブロックを駆使し溶岩が燃えたぎる火山を登頂するアクションパズルゲーム。ブラウザ上で無料で遊べるので一回遊んでみてください、よくできてますこれも。キーボード操作で指が攣りかけました。

年が明けてからAlephantの発売日が発表され、本当に嬉しかったですね。
プレイしたら期待以上の面白さだし、待っていた期間も含めて良い体験になりました。

このパズルが好きな人におすすめ

Alephantでの「一見簡単そうに見えるのに何故かクリアできない」というパズル性は以前にプレイした『ユウゴウパズル』でも感じましたね、こちらもすべてのステージがシンプルでいて練りに練られた気持ちのいいパズルゲームなのでぜひプレイしてほしい!難易度は高めです。ゼリーがかわいい。

一見詰みの状況からの復帰を可能にしている倉庫番、という共通点では『Orakyubu』ですね。
こちらは立方体の表面で2D操作をするんですが一度PVを見てみてほしい、本当に画期的なので!しかも無料で遊べてしまうという……全問クリアしても2時間程度のコンパクトさも好き。おすすめ。

ところで、ゾウさんのパズルゲームなんてそうそうないと思いますよね。
実はあるんだなこれが。

洒落ではない

こちらの『ARUN, THE LOTUS GUARDIAN』もまだデモ版止まりですが荒削りながらも個性的なギミックでポテンシャルの高いパズルだったのでリリースを待っています。

あとこういう話をしていたら必ず勧めてもらえる『Yono』はプレイ済み。
こちらはRiJで有名になったのでご存知の方も多そう。ゾウさんがかわいい良いゲームです。

もしこの他にゾウ×パズルのゲームが存在している場合、ぜひご一報ください。

4月11日:追記

Twitterにてものすごい情報を教えて頂きました。

こんなにある!?

パズル界は私の思ってた100倍広かった。一生ゾウのパズルで遊べてしまう……ありがとうございます……こんな催しがあったとは

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