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ハローって言えない。

コロナもほぼ明けて、祝・移動フリーなゴールデンウィーク!
というわけで、つい先日、用事を作って東京へ行きゲストハウスに泊まった。

混雑する東京駅、電車のドアが開いたらコンパクトな隙間に滑り込み、街に出ればせわしなく人が行き交う雑踏…都会はもはや通常運行だ。

ゲストハウスのチェックイン時に交わしたスタッフさんとの会話も、
私「(コロナから)人戻ってきましたか?」
受付の人「もう完全に戻ってきましたね。ああ、(コロナ禍前は)こんな感じだった!って思いましたよ。特に朝食時のラウンジとか、まさに外国みたいです」
という感じ。

スタッフさんの言葉通り、二泊三日過ごすと部屋で、ラウンジで、シャワールームで…外国人さんに囲まれる日々。二段ベットの部屋に多分日本人は私だけだ。

外国人慣れしていない、英語もさっぱりな私は、ドアを開けたら「メルシー」すれ違いざまに「ハロー」と、外国人さんが気軽にいってくれることに「!!!」となって、ナイスな返しが一切できない。

頭高速回転で気の利いた返事を考えるが、大体「何か言いたい、うまく言葉が出てこない」結果、中途半端な笑顔で終了する。「次こそは…!」と、いつ人と目が合ったりすれ違ってもいいようにと心構えをするが、無い袖は振れない。振り出しに戻る。

さて、ゲストハウスの水回りは共用だ。

夜でも朝でも、歯磨いたりシャワーしたりするときに外国の人とすれ違ったり並んだりする。美容意識が低い私は、マイドライヤーを持参している人に驚いたり、カカトをあげながら歯磨きしている女性のスタイルの良さに納得したり、小さな刺激を色々受けながらシャカシャカシャカシャカ歯を磨く…

鏡越しに、隣の旅人と軽く目が合った。

ここは、一発軽やかな挨拶をするべきか?

いや、でもあんまり喋りかけてほしくないタイプか?

喋りかけるって何を?

また高速回転する脳内。
ただし、ここで今までにない疑問がよぎる。

「ハローなのか?おはようございますなのか?」

そう、隣の旅人はアジア系の顔立ち。日本人の可能性がある。

日本人が日本人に向かって「ハロー」とか言ったら、相手も動揺するし、なんとも滑稽だ。「おはようございます」で十分だ。だが「おはようございます」って言って外国人だったら「いや、突然日本語で言われても…」ですよね。
妄想はさらに進む。
「ハロー」と声をかけて、「おはようございます」が返ってきた時の、気まずさが頭をよぎる。平和にこの瞬間を乗り切ろうと、そのまま下手したら私は外国人のふりをする。もはや訳がわからない。

超高速で脳内を回している間に、その「軽く目が合って言葉を交わす」間合いは過ぎたので、何事もなく無言で終了。

国際交流は、容易ではない(って思い込みが多分良くないんだろうな)。

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