見出し画像

【一人社長向け】従業員を雇うということ

一人で会社を経営している社長にとって、従業員を雇うタイミングというのは慎重に検討する必要がある。
特に最初の一人目は、その後の命運が大きく左右すると言っても過言ではない。
今回は従業員を雇う点の注意すべきことについて書き綴っていく。


自分の給料の3倍稼ぐ

一人社長が最初の従業員を雇る場合、自分の給料の2倍以上稼いでいることが最低条件となる。
つまり、自分以外にもう一人養える程度の売上、粗利益が必要ということだ。

一人で二人分稼ぐことができていれば、すぐに倒産することはない。
逆に、一人目の従業員がすぐに新たな粗利益を生み出すことを期待してはいけない。
肉体労働比率が高い職種であれば、すぐに少しの粗利益を出すことができるかもしれない。
しかし、頭脳労働比率の高い職種の場合、しばらくは粗利益ゼロだ。
数値だけで考えると、完全に負債となることを覚悟しておかなければならない。

できれば、一人目の従業員を雇うタイミングで、自分の給料の3倍以上稼いでいた方が良い。
2人分の給料で粗利を全て使い尽くしたら、会社の成長は止まる。
ありとあらゆる道具は、老朽化を間逃れない。
従業員の教育にも金が掛かる。
2人の給料に加えて、その先に投資する費用まで稼がなければならない。

自分の給料の3倍稼ぐというのは難しい。
だから、一人社長にとっては最初の一人目の従業員を雇うことが経営上の最初の難関だと思った方が良い。

従業員は解雇できないと思え

一度雇った従業員は、解雇することができないと思った方が良い。
解雇時で揉めたら、おおよそのことは会社側が負ける。
そもそも、揉めないように会社をしっかりと整備する必要がある。

社会保険は義務だ。
雇用保険も必須だ。
賞与、昇給も必要となる。
将来には、退職金制度も考える必要があるだろう。
そういったものを背負った上で、従業員を雇う覚悟がないのであれば、止めておいた方が良い。

従業員の雇用の目的を間違えるな

良くある安易な目的は「仕事量を増やして、売上を増やす」という目的。
これが目的なら、雇用は慎重に考えた方が良い。
ただでさえ最初は従業員の分まで稼がなければならないのに、さらに営業活動の量を増やして時間を失い、増えた事務処理でも時間を失う。
これが想像できず、すぐに音を上げる一人社長は多い。

従業員が増えると、会社内部の仕事は増える。
従業員の数に比例して、管理すべき事は延々と増えていく。
雇った経験がない人には想像し辛いかもしれないが、おそらく今思っている以上に忙しくなる。

従業員が出す粗利を期待して、延々と従業員数を増やそうとする経営者は多い。
しかし、そういった経営者の会社は、実は意外と脆い。
環境に変化があった場合、アッと言う間に倒産したりする。
特に、売上が特定の顧客に集中している場合、その顧客から仕事量が突然減った場合、一瞬で倒産することもある。

従業員は「自分に足らない能力を補完する」という目的で雇うのが一番良い。
そして、仕事の量を増やすより、仕事の質を高め、大きな仕事を獲得できるようになった方が良い。
そうすると、自然と顧客は増えていくし、売上も多くの顧客に分散する。
営業活動の量を増やす必要はない。
営業活動の質を高めるだけで良い。

従業員の数の勢いで売上を上げるのは、ずっと後からで良い。
一人社長は、量より、質。
ここを逃したら、万年下請体質のままだ。
本当に良い会社から、本当に良い仕事が来るというチャンスが永遠に現われない。

従業員は辞めていく

従業員は突然と会社を辞める権利が有る。
会社に縛り付けることはできない。
従業員を満足させ続けるというのは、経営の中でも最上級の難易度を誇る。

特に、最初の一人目は苦戦するはずだ。
おそらく、短い期間で辞めてしまうだろう。
しかし、あきらめてはいけない。
辞めていく従業員から学び、改善に努める。
これは多くの経営者が通る道だ。

従業員が辞めた時、その穴を最速で埋める方法も考えておかなければならない。
最初は突然の退職願に驚くだろう。
その分の仕事をどうやって切り抜けるか考えて焦るだろう。
しかし、それを繰り返すことで徐々に会社と経営者は成長していく。
従業員の数を増やすことより、従業員が減っていかないことを考えるべきだ。

事業拡大のタイミング

従業員が増え、仕事の質が高まる。
突然の退職時にも、他でカバーできる体制が整った。
従業員全員がおおむね満足できる職場となり、長く勤めてくれそうなメンバーが揃ったとする。
それが、勝負に出る準備が整った状態だ。
そんなタイミングで事業規模と従業員数の拡大を検討すれば良い。

おそらく、その岐路に立った時、あなたは自分の性分と器量が分かるようになっている。
少なくとも2ステージ上くらいまでの規模の組織を運営するビジョンが見えているはずだ。
そのビジョンの中で戦っていく勇気があれば、拡大を選べば良い。

もちろん、無理して拡大を選ばなくても良い。
無理して拡大して失敗して困るのは、従業員も同じだということだけは頭に入れておいて欲しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?