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2023年。年の瀬に今年1年の振り返り。そして、新年の抱負。

とにかくお金がない

冒頭から何ですし、今年に限った話でもないんですが、これまでの経緯(其の一其の二)なんかもありまして、兎にも角にも丸三老舗にはお金がありません😂

企業にとってお金は血液のようなもので、常に貧血状態で少しでも激しい動きをしようものならすぐに立ち眩み、それでも意を決して動こうとすれば医者(金融機関)からストップがかかるような状況でずっとやってきました。

和菓子自体は非常に面白いとは思うし、いろんなチャンスもある業界だとも思っています。自分に人並外れた経営者の才覚があり、和菓子でガンガン稼げていればこんなことで悩まずに済むのかもしれませんが、グズグズでつぶれかけてた老舗企業を立て直したり、ブランド価値を向上するために知恵と工夫を働かせる才覚はあっても、残念ながらお金儲けの才覚はなかったようです😢

ただ、そうは言っていてもお金はどんどんかかる世の中になってきていますし、これまでと同じように商売をしてても利益が出ない仕組みになりつつあります。

丸三老舗もこれまで2度ほど値上げはしているものの、ここ数年の円安による仕入れ価格アップ、水道光熱費や燃料費の高騰などなどで、例えば100円の商品を売った時に手元に残る利益は以前より確実に減ってきています。(そして、値上げを続ければ対応しきれないお客様も出てきてしまうので、客数としては昨年から減ってきています。そして更に年始からも値上げが控えてます。不安しかないです…😅)

さらに、お国の施策もあって毎年のように最低賃金が上がっていて、これまではパート/アルバイトを中心にちょっとずつ賃金を上げてきましたが、2023年10月、これまでほぼ据え置きになっていた正社員全員も、ほぼ万単位で一気にお給料のベースを上げました。これにより数十万円/月、年間にすれば数百万円のコストアップ要因が一気に降りかかってきている状況です。
これらの要因に関しては、日本という国で商売をする上でのルール改変みたいなもんなので愚痴っていても仕方ないですし、そのうえで如何にお金を稼ぐか…を考えるのが我々商売人にとっての健全な姿勢かなとは。

一般的には、原価や人件費があがってきたからには各種ハードウェアやソフトウェアを導入して人員削減なり業務効率化をして生産性を上げて対応することが正しい方向性で、おそらく国もそういうイメージで様々な方針を打ち出してると思うのですが、和菓子に関してはそうもいきません。

機械化の行きつく先は山パンあたりがラインで製造し、大手スーパーあたりで販売している1個100円にも満たない饅頭や大福であり、我々中小零細企業がその舞台に出ていくのは完全なる自殺行為です。
熟練した職人の手作業により、ラインでは製造できないような手の込んだお菓子を作り出すことこそが中小零細和菓子店の目指すべき方向性です。
であるが故に、これだけ原材料や人件費の高騰が続くとその影響はあまりにダイレクトに表れますし、そうなればどんどん値上げをし続けるしかありません。

とはいえ、いわゆる『和菓子』に対する日本人の価値観は駄菓子スレスレレベルの比較的お安いイメージが染みついており、値上げ余地はかなり限られてると言わざるを得ません。

例えばチョコレート。餡とチョコレートの製造でどれだけ技術や労力、原価の違いがあるか…と言われれば、正直そこまで大きな差はないだろうと。(もちろん地理的な要因で、北海道や中国産の小豆を仕入れるより、アフリカや南米原産のカカオを仕入れる方がお高くはなります。)
…が、バレンタインの時期になれば、片手に収められるような小さな小箱に対し3000~4000円出すのが当たり前に受け入れられてます。
別にそれが「高い!」というつもりはサラサラないんですが、そこを基準とした場合、和菓子に関してはもっと低い部分に「日本人として和菓子を受け入れられる価格帯のライン」は存在すると思います。

丸三老舗では1500~2000円/箱のフルーツ大福、3切れで1500円ほどする衣手、1本200円以上する純米団子などで周りの和菓子屋さんと比べても比較的単価は取れてますが、現状ではそこまで利益は出ませんし、日本の一般消費者として受け入れてくれる人がガクンと減ってくるラインにも徐々に近づいてきてるのかな…とは感じています。
これが是か非か、正か誤かは見解が分かれることもあるとは思いますが、少なくとも自分の目線としてはそう感じながら和菓子屋稼業を続けています。

仮にその見込みが正しかった場合、今後の和菓子業界はどんどんと苦しくなってきて、10年後に残るのは大手メーカーが大きな工場でラインで大量生産するようなシンプルな和菓子と、ごくごく一部のお金持ちが好む超高級路線のオートクチュール的な和菓子になってしまうのかなという気もしています。
無論、インフレなどによって日本人みんな等しく収入が上がり、1個500円のお饅頭や1000円の大福が当たり前のように受け入れられるような世の中が来る可能性もあるとは思いますが、それを期待して亀のように身を縮こめて今のこのご時世をやりすごそうとするのは、あまりにリスキー…。
やはり、200年以上続く和菓子屋としての軸足を大切にはしつつ、小回りの利く中小企業としての強みを活かし、今の時代に合わせて生き残れるような術を追求するのは大切です。

丸三老舗の2024年の抱負

前置き(?)はそんなところにして、ここ数カ月丸三老舗の将来についていろいろと思いを巡らせ具体的な行動も起こしてきましたが、結論としては「ちょっと夢がなさすぎたかな…」と感じました。

丸三老舗としても笹沼個人としても、本当にいろいろとお世話になっているYOUTRUSTさんでスタートアップ界隈の人たちと接点が増えたこともあり、思うように資金調達ができない状況の既存金融機関からの融資ではなく、投資家からの出資などについても考え、アクションも起こしてはみました。

今のところ比較的好意的に話は聞いてもらえる雰囲気はあるものの、じゃあ丸三老舗にお金を出してくれるか…と言われれば非常に厳しい状況です。

そしてその理由は、田舎の和菓子屋だから…とか、スタートアップじゃないから…とか、経営者がオッサンだから…ってことじゃなく、単純に
丸三老舗に夢がないからお金を出してもらえない
という事実に気付いてしまいました。

自分なりに、自社の課題を解決するために面白い取り組みはしてるな…ブランド力はアップしてるな…と感じてはいたものの、結局のところ第三者からするとそれはプロセスでしかなく、内向きなアクションだったのかもしれません。
彼らが求めているのは、その先の話として世の中にどれだけの価値を生み出せるか、その丸三老舗が生み出した価値によってどういった世の中の課題を解決できるか、そして最終的にどれくらい儲けを出せるか…という話だったんだなと痛感…。

もちろん、資金を調達したいがあまりお金が目的になってしまっては、いくら資金調達できても高転びする可能性もありますが、ビジネスにおける様々な価値観や前提条件がガラっと変わってきている時代に合わせて生き残り、この先の100年を見越して更に成長するためには絶対に投資は必要です。
そして今の丸三老舗という器では資金調達が著しく難しいこともまた事実。
であればこそ、自分自身として様々な人が共感してくれる大きな夢を提示することはとても大切なのではなかろうかと。

既存の商売がよりうまく回るように日々試行錯誤することも大切ですが、極論、それは日々現場で動いてくれているスタッフが目の前の商品やお客様に対し真摯に向き合い、論理的思考で頑張れればきっと良い形に向かいます。

でも、丸三老舗としての夢を提示し、その夢や目標に向かってチャレンジするための予算を組むことは、今のところ自分にしかできません。なので、来る2024年、自分自身の最大の目標は、

多くの人が共感し、実際にお金を出してみたい!と思えるような丸三老舗の新しい未来を提示し、実現に向けて具体的な行動を起こす!!

ということに決定しました!!!

自分自身、夢のあるスタートアップ界隈で日々前向きに頑張ってる人々と接することで、価値観が変わったような気もします。既存の商売を続けることを目標にして、自転車操業のような状況を続けることにくたびれましたし、もっと夢のあることをしたいなと。

具体的には何をするの?と思われるかもしれませんが、そのあたりはまた徐々に…笑
普段から若旦那のXをチェックしてくれてる皆様はうっすら気付いてるかもしれませんが、まぁそういうことです😂
そのうち時間を見つけて、より詳しく書かせて頂きます!

そして最後に。スタートアップの人たちと日々接することでいろんな可能性が広がりました。自分たちの商売についてもそうだし、資金調達でも金融機関からの融資しか知らなかった自分に、思いもよらない選択肢を現実のものとして考えるきっかけも頂きました。
その発端となったのが、今月でYOUTRUSTを退職された大前さんだったのかなと思います。大前さん側としてはほんの些細な出来事だったかもしれませんが、自分としては、丸三老舗が成長するための大きなきっかけになった出来事だったな…と死ぬ間際に思い出すくらいの大きなインパクトある出会いだったかもしれません。本当にありがとうございました🙇🙇🙇

ということで、苦しみまくったと同時にいろんな機会も得られた2023年も残り数時間。皆様よいお年をお迎えください。


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