見出し画像

野球で見る組織

今年の7月のある日のせやねん!(関西ローカルTV番組)でのこと、元プロ野球選手・現解説者の藤川球児氏が、好調の読売ジャイアンツ(巨人)を評しててこのようにおっしゃっていました。

藤川球児(以下、球児)「巨人は人ではなく打順でチームを編成しています。だから人をコロコロ帰るし、だから強い。」

これは、好調の巨人と失速気味の阪神タイガース(以下阪神)を対比しての評価だったと思います。

ここに組織の本質が伺えます。

経営学の大家、C.バーナードは組織を『二人以上の調整された諸力の体系(システム)』と定義しました。つまり組織とは、システムなのです。

ここにおける組織は我々人間の体組織と同じであり、人間の体であればその人の体を生かすことを目的として働きます。野球チームという組織では、観客の喜ばせること、つまりチームの勝利が目的になるでしょうか。

ここで改めて球児の言葉をみると、勝利が目的である野球チームにおいて、その本質が人ではなく機能であることを示しています。

ここで野球の打順についてとても簡単に説明を。野球の打順にはそれぞれ機能が求められます、1番であればまず塁に出ること、1番は試合において最も打順が回ってくるためにまず出塁することができる人が求められます。2番は状況に応じた打撃ができる人、1番が塁に出た時にバントをしたり、ゲッツーにならないような方向に打ったりと器用な人が求められます。3番は置いといて4番はチームの顔ともいえる役割、ホームランや長打によって得点できる人が求められます。

このような役割(あくまで私の主観ですが)を与えらている打順に最も適した人材を据えることが、勝利のために最も必要なことなのです。

球児はそのような組織の本質を見抜いていたといえます。『この人に4番になってほしい』から4番に据えるのではなく、『この人がもっとも4番に適している』から4番におく。このようなチームは、組織の目的に適した機能が正常に機能しやすく、結果として勝利につながりやすいのです。

この考えを別のケースに当てはめてみましょう。

YouTubeのある動画において、漫才師ののニューヨークが川上憲伸氏(以下、憲伸)に野球アンチの立場として様々な質問をしていました。

動画をちゃんと見ていないので誤解があれば申し訳ないのですが、そのなかで「たとえば阪神と巨人の選手全員同士でトレードした場合、元々の阪神ファン、巨人ファンはどちらのチームを応援するのか」といった質問をしていました。

(この質問自体松本人志の質問をそのままパクっただけであり、ニューヨークが推している(と考えられる)サッカーにおいても同様の質問ができるのであるが、その時に得意げに質問していたニューヨークのお二方の顔は、私にニューヨークの漫才を今後見ないでいようと決心させるには十分でした。)

ここにおいても、先ほど述べた組織の概念から同じことが言えます。仮に組織の人員が全員入れ替わっても、組織が存在する限り、基本的にそれぞれのファンが応援するのは元々応援していたチームなのです。(阪神ファンなら阪神、巨人ファンなら巨人)

この時に憲伸がどのように回答したかは動画にて確認していただけたらと思いますが、球団の人気が選手の人気によるところもある野球においてもこの事実は変わらないと考えられます。例えば、阪神タイガースには鳥谷敬という、長期間において阪神に属していた選手がいました。2020年から鳥谷敬は千葉ロッテマリーンズに移籍しましたが、鳥谷敬ファンの人でさえロッテファンになった人はごく少数です(私の観測できる範囲ですが)。

以上から結局私が何を言いたいかというと、組織は人によるものではなくて、機能によるものであるということです。

仮にそれが恋人関係であっても、一般に恋人関係の目的である互いが好き同士であり続けることが達成される限りにおいて恋人関係は成り立ちます。どちらかがもう片方を好きになり続ける努力を怠った時に、恋人関係という組織は崩壊します。また、このことから、読者のあなたが世界に1人しかいないと思っている彼氏、彼女に振られたとしても、また新しい彼氏彼女によってカップルという組織を始めたらいいということです。


後記

それにしてもニューヨークに対してそれまで嫌いじゃなかったのに今回の一件で一気に嫌いになりました。動画の演出もあるとはいえ、野球が好きな人はそんな動画をそもそも出さないでしょう。誰かが好きなこと(が容易に想像できること)を当然のように否定することのできる人は理解に苦しみます。野球を否定して傷つく人がいるとは考えないのでしょうか。表現はもちろん自由ですし、私が今後ニューヨークを見なければいいだけなので何も問題はないのですが、今回はとても残念な経験でした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?