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閉じた水槽の中で増える生き物(問題)

 今回は生き物の増え方のモデリングの問題です。少し難解なお話なので、前提をしっかりご覧下さい(^-^;

 とある小さな水棲生物がいます。この生き物は十分な広さがある理想的な環境であれば次の世代で集団全体の個体数を倍にする事が出来ます。例えば今が合計8匹なら次の世代で合計16匹に、さらに次の世代では合計32匹に…という増え方です:

この世代間の合計個体数の倍率をa=2と表すとします。

 理想環境下で世代n+1での合計個体数Nn+1は、前の世代での合計個体数Nnの2倍になるので、

という式で計算出来ますね。

 この生物、このままだと爆発的に増えて宇宙を埋め尽くしてしまいます…が、これはあくまでも無限に広い理想環境下でのお話です。

 水槽など閉じた環境の場合、この生き物は今の合計個体数が多い程増えにくくなる性質があるとします。増えれば増える程a=2倍だったのがa=1.9倍、1.5倍…と減ってしまうわけです。最終的には倍率a=1倍、つまり前の世代と今の世代とで合計個体数が見た目変わらなくなるところまで鈍化してしまうとしましょう。

 倍率aが個体数によって鈍化するのを式で表現すると、こんな感じになります:

 Lはこの生物がその閉じた世界で増える事が出来る限界の個体数です。Nnが0近辺だと理想に近いa=2倍程度の増え方になる一方で、Nnが限界個体数Lに近付く程aは目減りしていき、Nn=Lでa=1、つまり増加が止まってしまう形になっていますよね。これを先程の理想的な増え方のaの所に組み入れると、

こんな漸化式が得られます。この漸化式には「ロジスティックモデル」という名前が付いています。

 さてここでようやく問題です(^-^;
 空っぽの水槽にこの生物を2体入れました(N1=2)。この水槽の限界個体数Lが10000匹とする時、その半分であるL/2=5000個体を越えるまで増加するには何世代かかるでしょうか?

 この問題は答えを求めるだけならば中学生でも解く事が出来ます。単純に上の漸化式をくるくる回せば良いだけなので、Excel等の表計算ソフトやプログラムなど使って答えを出してみて下さい。途中個体数が小数点になりますが、それは許容です。ちなみにこの漸化式は(上の場合のみ)高校数学の範囲で解析的に解く事も可能です。高校生以上の方は漸化式を解いて、ピッタリ5000匹になる世代数を是非求めてみて下さい(^-^)

解説はこちら

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