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迷惑をかけないで生きる

うちには3歳のメスのマンチカンがいます。名前は「ぱる」といいます。友達という意味です。彼女は最近、Youtubeの猫向けの動画が楽しいらしい、わかったようで、私がさあ仕事しようとPCの前に座ったとたん、Youtubeをみせろとすごい勢いでデスクにあがってきます。ぐうたらな私がせっかくやる気になったのに、さあこいとディスプレイの前に立ちはだかり、視界を半分以上占領します。占領どころか、湿った肉球でぎとぎと足跡をつけてくれるので、きれいずきな私の神経を逆撫で以上の落胆をつきつけます。かわいいから許しているけれど、ふいたそばから肉球。きれいにふいたらすぐ肉球。わすれたころにまたまた肉球という繰り返しに、こちらが萎えて、もう笑いが出ます。

そんな猫には、きっと迷惑をかけているという観点はなさそうです。ないはずです。自由がうりな猫ですから。でももし、猫にそういう視点があったら、猫の魅力はなくなるかもしれない。だから許せます。かわいいし、ふわふわな手触りと、あのクリクリのひとみ、寝るときにそばで寝てくれてなんともいえない幸せを味合わせてくれるから肉球の汚れやPCのじゃまくらい、平気で許せちゃいます。

迷惑ってなんだろうね。

よく高齢になってきた人たちが「家族には迷惑かけたくない」といいながら、自分の介護の準備をしたり終活としてお墓や葬儀の準備や相続の手配をしていたりします。それはそれで大切なことだと思うのですが、「家族には迷惑をかけたくない」というのが、なになに?それってどういうこと?って思うのです。
あなたは死ぬまで誰にも迷惑をかけない存在であり、迷惑だなんてだれからも思われないような自立した正しい生き方をするつもりなのでしょうか。それができるとういう自信があるのでしょうか。または、自信はないけれど、そういうふうに生きるべきだと思っているのでしょうか。

高齢期の迷惑って=介護ってことでしょう?ましてや「認知症」になったり「要介護」で「寝たきり状態」になったりしたら、自分ひとりでは生活ができなくなるってことを想定してるわけですよね。そんな存在になったら家族に手間をかけたり大変な想いをさせるだろうから嫌だって思う。わかります、大切な家族に余計な心配や苦労をかけたくないって気持ち。正直負担をかけてしまうってことです。でも、だからといってその「負担」をだれに転嫁するのでしょうか?家族のほかに負担を強いることができるなんて、私には想像もできません。

介護の仕事をする人たちにお願いしたいといいます。当然、それが仕事だから負担もなにもありません。むしろ、家族だからという長い歴史の間にできた複雑でやっかいな感情がないぶん、シンプルでわかりやすいし、客観的で冷静に対応もできます。だから他人からのケアはいいのです。わたしも、専門技術をもったプロにケアしてもらいたいと考えています。とすれば、その負担感や専門スキルをもった人のサービスに対して対価が必要です。win-winである必要があります。そこに対しては「介護保険で」ってなるのですが、介護保険も万全ではありません。正直、そこだけでは「やってられんよね・・・」ってなるのです。

ここは、国レベルの話なので私にはなんともいえないのですが。

話を戻すと。迷惑をかけない生き方はできないと思ったほうがよくないかということです。迷惑かけないように生きるって、めっちゃ息苦しくないですか。しかも家族にはかけたくないけれど、他人様にはかけちゃいます💓って聞こえます。介護保険はらってるんだから当然の権利です😄とも聞こえます。かっこ悪くないですか。

人は迷惑かける生き物なのです。迷惑かけながら生まれてきて、迷惑かけながら逝くものです。残念ながら、猫ほど自立していないのです。それを受け入れて、人生のおしまいを迎える生き方が「かっこいい」とうつるものです。介護職はそれを知っているから、ケアができます。なのに家族は知らない。いいときのお父さんお母さんしかしらないし、当然ながらそのままの親でいてほしいと願います。だったらかっこいい去り方を見せてあげるのが親としての最後の子育てではないかな。子どもは親の背中を追いかけて成長して、背中を追い越しておとなになり、その背中をなでながら愛おしみつつ送り出すことではじめて「人生」を知ることになります。

子どもは迷惑かけられて嫌だは思いません。しかし、自分の親がその親(おじいちゃんおばあちゃん)のことを迷惑だと感じてきた姿を見た子どもは「嫌だ」「迷惑だ」と思うでしょう。自分の親が歳をとって、はた迷惑だ、なんとかしてよ〜と言ってきた裏返しです。自分のやってきたツケです。ごめんなさい、どストレートな言い方で。

自分たちの老いを子どもに迷惑かけるって思う思考こそ、迷惑です。正々堂々と世話になってほしい。そして、かっこいい歳のとりかたを見せて、どうせ逝くのならさっそうと去っていってほしい。お葬式のときに、家族が「あんなこともあったよね」と笑いながら語り、3回忌、7回忌、などの法要のたびに語りぐさになるような武勇伝をぶちかましてほしい。それが正真正銘の「迷惑の帝王」です。

うちの猫も迷惑の帝王。今日もデイスプレイは肉球だらけ。ときどき猫吸いさせてもらっているので、苦情はいいませんが、Youtubeも1日朝晩1回ずつという約束だけはさせてもらっています。愛するともだちのうれしい迷惑、大歓迎です。

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