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丸和運輸機関(東1/9090) 株主総会レポート 2020/6/29

 東証1部上場の丸和運輸機関の株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載している内容について意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦下さい。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません。株主総会レポートとして何かの参考となり、同社の理解に繋がれば幸いです。もし、お気づきの点などあればぜひツイッターブログにてコメント頂ければ幸いです(私自身の勉強にもなりますので)。
 なお、同記事の記載にあたっては表現や記載する事項について十分留意をしております。記載内容やニュアンス等で該当会社へご迷惑をおかけする事は本望ではありません。万が一、このようなケースに該当することがございましたら速やかに修正、公開をとりやめますのでご連絡を頂ければと思います。

メールアドレス:sub@jcom.zaq.ne.jp

1.同社関連記事

 まず直近の決算の精査記事をご紹介しておきます。

 また、昨年の株主総会のレポート記事はこちらです。毎年熱血な株主総会です。

同社の概況をまとめた図です。ちょっと見難いので、もう少しわかりやすく整理しないとなりませんね(汗)。

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2.株主総会の概況

 まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。同社としては初めての2部制です。新型コロナウィルスの影響を考慮し、総会運営を円滑に進めることと、事業状況をきちんと伝えるという双方を両立するニューノーマルになりそうな形態かと思います。

  10:00 開会 (和佐見社長)
  10:06 議決権行使数の確認(事務局)
  10:08 監査報告(田中氏)
  10:09 事業報告・対処すべき課題(ナレーション)
  10:18 議案上程(ナレーション)
  10:22 質疑応答
  10:46 議案決議
  10:50 閉会
  11:00 成長戦略の説明会(和佐見社長)
  11:28 質疑応答
  11:55 終了

 議決権の行使数の状況は以下の通りです。注目すべきは昨年より大幅に増えた株主数です。昨年は2,352人でしたから倍増まではいきませんが、同社がより多くの期待を背負っていることが伺えます。更に驚いたのは行使率です。昨年は議決権数の92.6%が行使されていました。これでも十分高いわけですが、今年は93.7%の行使率です。昨年は株式分割もあったため、個人株主も増えた事と思いますが、株主数がこれだけ増えていても行使率は更に高くなるということに驚きました。
 ・1,465人/4,172人
 ・599,802個/640,011個(93.7%)

 株主総会は埼玉県の吉川市にある本社で毎年行われています。最寄り駅からマイクロバスに揺られること20分余り、田園風景の拡がる中に突如現れる本社屋。バスから降りると今年も元気な声で社員が出迎えてくれます。お辞儀も深く桃太郎文化に則った対応に、毎年の事ながら恐縮してしまいます。この異例ともいえる元気な対応はちょっと他社ではありえない対応ですから、初めて参加された株主の方は相当に驚かれると思います。しかしながら、元気に挨拶を受けて、嫌な気持ちになることはありません。これだけ若く元気ある対応を事業へも向けられているものと期待をしたいです。

 会場はソーシャルディスタンスが取られた座席が40席程度用意されていましたが、そのうち30席余りが埋まってほぼ満席状態だったかと思います。ロビーで飲み物とお菓子が振る舞われますが、今年はペットボトルのお茶が用意されておりました。妥当なご判断だったものと思います。参加されている株主は毎年のことながら、ほぼ地元の方々かと思われます。地元吉川との繋がりが非常に強く、地元の商工会の会長さんなどとにかくこういう部分でも地元に愛されている会社という事を実感するのも毎年のことであります。

 同社の株主総会では毎年お土産が配られていますが、このご時世にあっても用意をして頂いておりました。毎年恒例のマツモトキヨシのPBなどが入った生活雑貨です(マツモトキヨシの3PLを同社が扱っています)。そしてこういう所にも配慮があるのですが、マスクが含まれていました。マスクの単価が高い分、商品数は抑え気味ですが、だいたい毎年2,000円から3,000円位の商品詰め合わせになっているはずです。しかしながら、今年は受付後に係の方から頂く形に変更されていました。例年、総会後のお見送りの際に、社長から一人一人頂くものなのですが、今年は蜜を避ける観点でこのような対応となりました。といっても今年も握手こそしなかったものの、役員の見送りは盛大に行われたわけですけどね(笑)。

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 会場では最前列のみ机が置かれていました。大変ありがたいです。ノートパソコンの取り回しがよいですからね。開会まで質問する内容を整理しておきます。開会前に事務局の女性がはつらつな美声でもって会場の案内をされます。毎年選手宣誓!のような元気な案内なのですが、今年は一層美声でしたね(笑)。こんなことを考えていたのは私だけだと思いますが・・・。案内が終わると、役員が入場します。社長が「失礼しますっ!!!!」と会場に響き渡る声であいさつをされて入室されます。その元気の良さに会場からはちょっとしたどよめきが起きるのもいつものことです。

 開会の挨拶などで他社に比べても議決権数確認への移行にも時間がかかります。大きな声を張り、しかしご高齢の方にも聞き取りやすいようにゆっくりとしたご発言が続きます。その後、監査人も大きな声であいさつをして、監査報告がなされます。事業報告などはナレーションでしたが、議案の上程までもが理解促進のためナレーションです。参加株主に地元高齢者も多く、こういう形態の方がよいのかもしれませんね。しかしながら、その合間に議長として議事を運営する社長の声は益々大きくなっていきます。飛沫防止のアクリル板ががたがたと鼓動し、そのうち倒れてしまうのではないかと思う位です。幾分か、演台に備え付けられたアクリル板の面積が大きいのも気のせいではなかったはずです(笑)。

 私は開会前にいつも懇意にご案内頂きお声がけ頂くIR担当の方から、質疑の方法について伺っておりました。すなわち、総会とこの後の成長戦略の説明会とで質疑がそれぞれあるため、質疑の内容で分けてもらいたいということですね。当然、私もそれに協力をするわけで、事業に係る質問は総会中には行いませんでした。

 総会後に「成長戦略に関する説明会」が開催される旨が案内がありましたが、ここでお帰りになる株主が多かったのですが、不思議な光景だなと思いました。ソーシャルワイヤーの総会においても同様の事象があったので、年齢などのセグメント属性に係るものではないと思うのですが、解せないなと感じました。もったいないですよね。成長戦略を語ってくれるショーですからね。こちらがメインディッシュです。

3.質疑応答

 以下に総会内の質疑の内容についてメモをしておきます。なお、繰り返しになりますが、あくまで私の主観で脚色していますので、事実と異なる点が多分に含まれる可能性がある点についてご了承願います。

※★印は私が行った質問です。

★Q 第二号議案の取締役選任について
 当社は、前期に業容拡大に備え定款変更を行い取締役の員数を11名以内から13名以内へと変更した。前期は取締役12人体制で進行したものの、期中に飯原さんが辞任され12名体制から11名体制へと縮小となった。そんな中、今回の提案では取締役は11人のまま、かつ全員が再任という状況である。時価総額も大きい会社となりデジタル戦略等でより多様的な経営が求められる中で、社内や社外で新たな登用による体制拡充は検討されなかったのか。
A
 体制拡充は検討もしたし、今も継続して検討している状況である。とりわけダイバシティ―やDXへの対応などで社外からの知見を得るための取締役体制の拡充の必要性は強く認識している。今も継続を検討しているように、本当に良い人財を探したいため、今は時間を頂いているという課題認識を抱いている。当社創業50周年を迎えるということもあり、新たな創業マインドを持ち丸和グループとしてしっかり考えた上で本当に良い人財を選任したいと考えている。(山本氏)
 DXの話が出たため補足をすると、北関東で供用を開始しているマツモトキヨシ様の物流センターは随所にDXを活用した物流センターとなっており、高い業務効率化が実現されている。こういった新しい分野に施策を進める必要性は十分認識した上で業務執行に当たっており、今後も他社を圧倒する施設を敷設、運営していけるよう体制構築にも意識をもってやって参りたい。(和佐見社長)
■考察
 本来はそういう人財をスピード感をもって取り込んで、成長志向が高い中でリソース面も拡充を急いで欲しいと考えていますからこの部分は課題だと思います。来年の社外取締役体制には注目をしていたいと思います。

Q 積極的な人財確保の意味合いやその方向性
 本日の日経1面記事に人手不足に関連した記事の中で、当社が520人もの積極採用方針を堅持していることが書かれていた。大変誇らしいことだと思う。こういう時代に積極的な人財確保を継続し更に加速させていく意味合いやその実現性を教えて欲しい。また、そのリソースをどのような領域へ活用していくのか。海外展開も含めて考えを教えて欲しい。

A
 今年の採用は600人を予定している。大卒中心に5年間で毎年600人を予定している。当社の文化に「人の成長なくして企業の成長なし」のスローガンがあり、これまでもこれからも成長には人財は欠かせないものだと考えている。採用面でもコロナ禍で多くのメーカー等の企業が苦しんでいると承知しているが、物流を通して社会インフラを構築するという当社の使命感の下でも大量採用を続け、成長をしていきたいと考えている。
 なお、こういった人財は成長著しいマーケットであるECラストワンマイルを中心に、需要が強く推移している生協の個配サービスに加えて企業が大きくなるうえで必要となる管理部門など人手が足りないところへ配置していきたい。(藤田氏)
 労働集約産業なので、人がいないと成長がない。特に現場で活躍する若手の力を求めている。そのため、全社でのオールリクルート体制を徹底して行うことで選んでもらえる会社になるよう頑張る。また人財を確保したら育成をすることが極めて重要である。当社はこれまでも売上の2%以上をかけて育成投資を投下しこれをずっと続けてきている。
(この辺りから話がどんどん多岐に渡っていきます(笑)!)
 とにかく今、ECが半端ない成長を見せている。前年比で20%、30%増えるのは当たり前。爆発的な伸びを観測している。その背景にこれまでECと言えば比較的若い方が多かったが、このコロナ禍で高齢者層にもEC加入が浸透しておりEC化がより促進している印象がある。また、弁当デリバリーといった個配についても需要が爆発している。即日個配は当社の得意領域でもあるため、今後もこういう機会も好機につないでいきたい。
 海外展開の話も出たが、この度、当社は松伏町(吉川市の隣町ですね)から大きな土地を県から取得した。これはBCPを含めた物流センターのための用地であるが、ここには1000人規模の寮を確保する予定である。県との協議の中において、国にお願いして労働力を確保する必要性を踏まえて、海外からの人財確保の素地を作るためにも寮が求められていると考えている。今後、アジアからどんどん人を迎え入れてその人たちの力を持ち帰ってもらい各国で事業を展開されることを期待しており、まずは当社が受け入れる体制を作り貢献していきたい。(和佐見社長)
■考察
 和佐見社長は若かりし頃、仏の教えに学んだと以前に伺いました。桃太郎文はもちろん、事業の答弁の中に利他主義のような教えを背景にしているなと感じる部分が多分に感じられます。ご縁や人のためにという精神が全面にあると、いかにも昭和の時代のような泥臭さを感じますが、しかし本質というのはそういうことなのかもしれません。人財に係る拘りは一種宗教的だとも揶揄されることもあります。私自身は弱い人間でこの組織でやっていくにはなかなかハードルが高そうだなと感じますが、若い頃からこういう文化の中で育つと人間性としても備わってくるものがあるのかもしれません。育成に対しても力を入れている事は承知しており、教育機関として今も何人から外部からの人財を預かり教育をしているという説明があったのですが、そういう利他精神に基づき対応していることが、巡り巡って自分の所へ帰ってくるという思想なのだと思います。
 松伏の新規センターに寮を併設するという話は実は初耳だったのですが、県や国との繋がりに基づき、単なる物流センターの新設という枠組みを超えた、雇用や外国人労働者の受け入れなども含めた地域活性化策にまで念頭に置かれていることが伝わり、丸和運輸機関らしいなと感じたわけです。また、受け入れた外国人労働力をきちんと育成し、各国に戻られることがあった時にその学びを現地で力になってもらえるようにという所までを考えられているように感じました。ASENAでは今後、経済発展が続く中で日本のように低温物流を含めた物流網が発展する事かと思います。そういう中にあって、丸和グループとして利他精神から始まるこのプロジェクトが「ご縁」という精神的なものに支えられ還元されてくると考えると感慨深いものがあります。

Q 地元への貢献について
 松伏へ大きな拠点を置かれるということであるが、この労働力不足の中でぜひ頑張って頂きたい。地元吉川にも工業団地の計画もあるわけなので、ぜひ丸和さんにも積極的に地元への投資も進めてもらいたい。
A
 松伏の話をしたが、地元吉川の話がなかったことは気配りがなくて申し訳ない。地元吉川の工業団地の新設の話があれば、いの一番に手を挙げて積極的に展開してまいりたい。経営者としては地元の貢献は企業としての成長を果たす意味からも貢献できると考えており、会社をより成長させるよう地元はもちろん、様々な事業展開を図って参りたい。(和佐見社長)
■考察
 質問されたのは地元の商工会関連の方だったようですが、毎年このようなお立場の方がエールを送られます。人の事を言えないのですが、ちょっと話が長いんですけどね(笑)。
 地元吉川で愛されている事が窺えますが、一方でこの吉川縛りのようなものが経営にとって足枷にならないかということはどこかで気には留めているのですが、うまくバランスを取られていると思います。何年か前に丸の内に東京本部を新設した際にも、吉川を離れるのかと随分と心配の声も寄せられていました。しかし、バランスと配慮をもって接する事でうまく対処している印象です。地元の埼玉県との繋がりも強く、松伏の土地取得も含めてよい立ち位置にいるんだろうと認識しています。地元を大切にしつつ、積極的なエリア展開を行い、機会を逸しないよう頑張って頂きたいと思います。

4.成長戦略の説明会

 成長戦略の説明会は開示されている決算説明資料に沿って、社長がプレゼンをされました。具体的にはP21以降のスライドを用いられていました。内容はやや編集され、社員の名前などが入って温かみを感じるものと改変されていました。

・P22
 まず外部環境としてスーパーは絶好調で、コンビニは不調と濃淡があるという状況から、食品物流は好調だという説明でした。当然のことながらEC化の推進による個配は高成長を継続しており、このような成長をしているマーケットへ如何に経営リソースをあてていくかが大事なことであるという趣旨の説明が続きます。ECについてはアマゾンがトップというのは揺るがないだろうという中で注力してきた。何年も何年も通ってようやく信頼を築き、当社が首都圏では一番の荷受けをしているとのことです。
 また、新しい分野においては、BCPへの取り組みについての説明もありました。災害国日本において企業のBCPは喫緊の課題であるという意識が醸成されつつあるようです。過去の大規模災害発生時には丸和グループは損益抜きで災害派遣を行い、様々な緊急物資を供給するために尽力されていたわけですが、そこでの社会貢献活動を通してBCPのノウハウを蓄積されてきたようで、今後もなければいいがこういったケースは想定されうるため、この分野をより研究してきたいとのことでした。

・P23
 直近EC化率は7.5%と依然として外国の標準である20%まではまだまだで余地が大きく残されたマーケットというご説明です。アマゾンの業績の中でもことさら都内ではアマゾンCAGR25%程度とみられ、全国でも14%程度の成長である。当社は主に都心23区及び埼玉県から関東北部の地域を中心にやっていくつもりということでした。

・P24-25
 実際に独立開業された方のご紹介をしながら人財の立ち上げについて言及がありました。若い方がセンター長に抜擢され、職場全体が若い力で漲っているという様子をご紹介されていました。

・P26-27
 食品物流に関する説明ですね。産地直送の優位性として中抜きとして20%超のコスト体質が軽くなるという点を訴求されているようです。このため、良い品物を安く提供できるバリューチェーンが構成されているということですね。スーパーマーケットの物流という枠組みを超えてバリューチェーンの守備範囲が広いということですね。

・P28
 関西地域でのAI活用をした拠点のご紹介ですね。先ほどの北関東のマツモトキヨシの倉庫でもあったようなAI武装をした施設を今後拡充させていくという方針です。目標感としては概ね100箇所程度を目指しており、概ねウン億円の売上規模になる想定であるそうです(具体的な数値はここでは割愛します)。

・P29-30
 BCPについては社会貢献などの意味合いも大きく拡充が進んでいるようです。何より東京都と協定を結んだことは大変な意義があることのようで手応えを語られていました。小池知事に社長が詣でて3年余りに渡る直訴を重ね、協定済のトラック協会との棲み分けなど一生懸命に訴求した上での成果だったようです。知事選で本来一番手のはずだった埼玉県、そして神奈川県、更に千葉県と首都圏での各自治体との協定が進んでいるようです。
 ここで熱くなった社長が益々雄弁になります(笑)。「事業とは市民、国民、行政などあらゆる方の困っている事を解決することこそが一番である」ということです。BCPは非常時に備えたものですが、こういう危機的な困った時にこそ、AZCOMが提供するBCPはきっと役に立つし、それこそが事業として、商売として大切な事だと仰っていました。自分たちのメリットばかりを図り経営をしていると、破産するとまでおっしゃってました。自分の利はまず横に置いておき、皆様への貢献を愚直に行い、その貢献分のみが会社の成長に繋がるのだということで、この辺りからも利他精神が如実に現れている考え方だなと思い聞いておりました。
 会社が成長をしないというのは、貢献が足らないからだと指摘していました。なんかカンブリア宮殿とかに出てきそうな感じですね(笑)。てか、こういう番組でぜひ取り上げて頂きたいんですけどね。結構面白いと思います。

・P31
 BCPの実現性を高めるためにAZCOM BCP対策諮問委員会を設置し、首都直下型地震に関する第一人者の先生など、一線の学者の方に就任頂いているようです。専門家の意見をきちんと反映して、フィージビリティ―のある進め方をしているということです。このあたりは逆に精神論ではない地に足のついた議論がなされているようですね。

・P33
 人財育成の説明です。採用強化の方針を情熱的に語られています。会社によっては内定取り消しなどもこのコロナ禍で発生したが、この丸和グループでは絶対にそんなことはしないと誓って取り組んでいる所であると仰っていました。内定取り消しなんてことで一人の人生を路頭に迷わすようなことに怒りさえ覚えているような雰囲気に感じました。そして、こういう世の中、少しでも多くの同志を得るためにも元々年間500人計画を更に100人増やし年間600人に上方修正して、より積極的な採用を進めるということで決意されたようですね。これって、なかなか生半可な気持ちでは対処できないですよね。会社にとっては固定費になりますし、それだけお仕事をとってこないとなりません。この会社の貢献という姿勢と、その中できちんと事業を継続していくんだという覚悟を見ている気がします。
 こうやって多くの人を同志として迎え入れた後に、そこに仕事をとってくることこそが役員、経営者の仕事だということで、やはりここに覚悟を決めてらっしゃるのだなと思った次第です。毎年売上を2桁成長させ15%成長を継続するためには大変だという事も吐露されていましたが、それでも同志のため、頑張るのだそうですよ。いい会社ですね。

・P34
 教育の体制についてです。元々階層別の育成をされていたわけですが、今も息子を預かって欲しいと全国から数名の方を教育しているようです。様々な人脈があられる方ですから、各地域の地場の業界の方の跡取りをされるような若い方を受け入れていらっしゃるのでしょうね。それって事業として収益はどうなるのかなと思わなくもないのですが、野暮なことなのかもしれません(笑)。恐らく数値以上の価値があるのでしょう。

・P35
 DX推進についてですね。投資をせねば成長はないということで、他社よりも圧倒的なスピード感と規模の投資を行っていく所存だそうです。そして、外部から専門家や有識者をどんどん呼んできては勉強会をするということを重ねているようです。書かれている内容よりも気持ちの説明ですね(笑)。書かれている内容のうち、とりわけ、今後の部分でドローン輸送とかスーパーの経営支援などなどどういう領域の広がりがあるのか楽しみな部分もありますが、今質問してもまだ何もないでしょうから、もう少し機をまちまた質問をぶつけたいなと思っています。

・P37
 AZCOMネットワークについてです。会員数は2015年の139社から2020年では1,400社と約10倍です!今後は2030年に10,000社を目指すそうです。ネットワークが出来ると調達や効率化など図れるわけですから強いですね。その分、ガバナンスや文化の浸透といった課題も生まれてくるわけですけどね。

 全体を通して感じるのは、やはり理念の会社であり、決してビジネスモデルが美しいとか、利益を大きく生み出すような効率性に富んでいるという会社ではありません。社会に如何に貢献し、人様の役に立てるのかという思想の中で経営されていて、それが結果的に数値があとからついてくればよいというように捉えられているし、随所に一種良い意味での宗教的な雰囲気を感じるわけです。
 BCPの活動など、はっきり申し上げて協定を結ぶことが、直接的な収益押上げにはならないかと思います。むしろ備蓄をきちんと確保しておくといった具合でコスト的なものだってあります。しかし、エピソードでも語られていた通り、長年に渡り知事と交渉を重ねてAZCOMを活用頂くというようなところへパワーをかけられないと思うわけです。
 また人財の箇所も拘りがあるわけですが、改めて認識したのは、経営者の覚悟です。これだけの人を採用して、そこに仕事を作るというのは相当な覚悟が必要な事だと思いますが、それは容易いことではないとしつつも、それこそが自分の役割だと認識され語られていた点です。こういう情熱にあふれた経営者を支える株主としてある事に誇りを感じました。一方で、こういったマインドがうまく後継者や社内のマネジメントへ継承され、持続性をもってあり続けてもらえるよう期待をしています。

5.質疑応答

 今度は成長戦略のプレゼンの後なので、事業のことなど自由な質問が出来る場となります。といっても時間も限られておりますからね。以下にその時の内容についてメモを残しておきます。再度、繰り返しになりますが、あくまで私の主観で脚色していますので、事実と異なる点が多分に含まれる可能性がある点についてご了承願います。

※★印は私が行った質問です。

★Q アマゾン向けのEC事業における競合他社との関係性について
 アマゾンさんの業務が急拡大し、今後も期待している所であるが、全国的に各エリアにおいてデリバリプロバイダーの棲み分けも進んできており、従前のオーガニックに領域拡大をしていく余地というものも限られてくるのではないかと考えている。今後同業他社との間で協業など提携を深め連携を広げることにより拡大をしていく方針なのか、あるいは従来通り独自に領域を広げ競争していく方針なのかどういう考え方を持たれているか。とりわけ、SBSHDやファイズといった会社へ社長個人も大株主として名を連ねるようになり様々な憶測もあるわけだが競合他社とのあり方について考え方を教えて頂きたい。
A
 アマゾンさんの荷受けについては、ヤマトさんがお辞めになるという時から多くの会社さんがデリバリープロバイダとして参画をされた。しかし、その後の品質などの問題もあり、多くの会社が集まったものの淘汰され、今の勢力図のような状況になっていると認識している。この中にあり、当社は首都心近郊ではトップの荷量を受けるに至っている。このような状況下において、では他社と業務提携などを行うかと言われれば、企業文化の違い、とりわけMQLのような人財育成まで踏み込んだところもないなど様々な違いがある中で積極的な提携という事はあまり考えていない。それよりも自前で人財を獲得し、あるいはMQLとして独立支援を行い丸和グループとしてのネットワークを広げる中での成長に拘っていきたいと考えている。(社長)
■考察
 ここは棲み分けが進む中で、従前の想定となるエリア拡大に限界もあるという状況もあるのかなと思い質問をしたのですが、自前でまだまだ開拓をしていくという事で逆に少し驚きました。想定では具体的言及はなくともMAや提携といった形で自前のガチでの拡大だけに頼らずに勢力を広げていくのかなと感じていました。まぁ逆に覚悟が決まっていていいと思います。AZCOMネットワークやMQLでの取り込みをメインにして、他資本の関係性に頼らず、自グループでオーガニック成長を基本とするというのも立派な方針だと思いますし、それで成長できるのであればそれに越したことはありませんから、頑張って頂きたいですね。

★Q トランコムとの提携における成果について
 一昨年、トランコム社と資本業務提携をされた。トランコム社は幹線物流の他、求貨求車の仕組み(マッチングの情報システムのようなもの)に強みを持たれている会社であるが、このような当社にはないリソースを獲得することを企図していたものと思うが、この提携により当社価値が高まったと考えられる点があれば教えて頂きたい。
A
 トランコム社とは35年くらい前からのお付き合いがあり従前から相互に連携をとって事業を行ってきた。当社のAZCOMネットワークという武器とトランコムさんの求貨求車システムとはシナジーが生みやすく、相互に持ち合わせていないリソースを活用することで価値向上に努める狙いをもって更に踏み込んだ資本業務提携に至り、そのシナジーは現場でも発揮できている。
 提携の中では様々な情報交換はより密になり、例えば教育でも階層別の研修を相互に実施するなどして、新たな知見を得る事も出来ているし、経営層同志の交流によっても可能性が拡がるような対話が出来ている。
■考察
 答弁からはシナジーをうまく見出して相互によい関係を築けているようで安心しました。AZCOMネットワークやMQLが拡がっていくと、トランコム社の求貨求車情報システムもより活用できると思いますのでいい関係の下で成長をしていって欲しいですね。

Q ファイズの大株主になられた意味合いについて
 最近社長がファイズの大株主になられたわけだが、これの意味するところとはどういうものか。(前問で私もさりげなく言及したのですが、スルーされたのでより直球を投げられましたね(笑))
A
 アマゾンの物流倉庫のお仕事をファイズさんもやられている。ファイズのオーナーである金森さんは京都の福知山の方で、関西丸和が当時拠点としていた綾部市と隣接しているご縁もあり親交があった。(中略)その後も親密な関係が続く中で、株式の持ち合いをするようなことに至った。お客様にも伺いながらこのような事を進めており、ご理解を頂いている。
■考察
 直接的な質問でしたから、流石に答弁にやや窮していた印象もありました(笑)。人のご縁が発端でこれまでも繋がりがあったところで、資本的な繋がりもより強固になったということですね。詳細はあまり語られていなかったので、なにかあるのかもしれませんね。思わずファイズの株を買おうかと思いましたが、PER50倍に驚き舌を巻いてしまいました(笑)。

Q 人財の定着率について
 人財獲得に積極的な姿勢はよく理解出来た。一方で、この業界は苦労も多い事と思うが、採用した人財がきちんと定着していっているのかという点も重要だと考えるが、定着率はどのような状況になっているのか。
A
 定着率は業界の平均より高い状況となっている。その対策については、労働環境の改善や育成担当への教育によるフォローアップ体制の充実といった活動を行っている。入社後に個別のメンター制度を導入しているが、新入社員へのメンターからの指導力を向上させるため、メンターへの育成を重視している。この時代、個性など個々の多様性が顕著であることから、その個々の状況に応じた教育が施せるよう取り組んでいる。また、現場におけるマンネリ化を防ぐ観点から3年くらいのスパンで人財のローテーションを行うようにしている。この施策は最初は上手くいかない点もあったものの、社員数の総数が多くなったことで円滑なローテーションが実現出来るようになった。(橋本氏)
 定着率はその会社がブラック企業でないかというバロメータにもなってしまうもの。定着率がよければその会社で幸せだということ。そういう会社を作っていっているつもり。社員にとっての幸福企業創りを大事にしてきた。第三の創業を迎える創業50周年という節目において、今後も安心して働ける会社を創って参りたい。なお、定着率はミスマッチをなくすことが重要。そのため、オールリクルート体制の下、入社前にきちんと会社のことを説明することが大事。簡単に入社してしまえば、簡単に辞めてしまう。そういうことにならぬよう、入社までに徹底して対話をする機会を設けてきめ細かく対応をしてきている。(社長)
■考察
 育成の話になると益々力が入りますよね。同社の強みの根幹に当たる部分ですし、特徴的な側面ですからね。答弁に当たる社長の前のアクリル板はなお一層強く鼓動をしていました(笑)。社長自ら大学に赴いたり、ラグビー部のOBが後輩を引き連れてくるなんて光景が目に浮かびます。最近ではだいぶインテリな方も入社されているようですが、新人研修とか一緒にやって思わぬ化学反応など起こっていたら楽しそうですね!


Q 中長期的な海外戦略について
 松伏に寮を作り、海外から労働力を受け入れていく事は理解したが、当社が海外へ出ていく戦略についてはどのように考えているか。
A
 アジアはこれからいよいよ低温物流の需要が爆発するものと考えている。アジアの経済発展と共に、食べるものも多様化してくる。例えば中国でも今では当たり前のようにお刺身を食べるようになった。その際に、低温物流インフラが構築できていなければ話にならないし、こういうトレンドはもう拡大していくしかないわけである。加えてアジアの人口が増えている。このため、大きくマーケットが拡がるものと考えている。温度管理ができる物流の需要爆発に対して、日本は温度管理がなされた物流には秀でているし、その中でも当社は適切に対応していけるものと考えている。
 最近(コロナ流行前)に北京に行った。中国の商業連合会から当社に対して低温物流について指導をして欲しいという依頼があったからである。そのため現地に赴き(コンサルの)契約をしてきた。この商業連合会というのは現地では政府に近しい存在であり今後が楽しみな状況である。このきっかけになったのも昨年9月に重慶で講演をさせてもらった際に、その内容が話題になり、日本の丸和で低温物流に長けているらしいということになりご縁を頂いた。こういったことを経て、現地の大手スーパーチェーンからも今後の低温物流網に対してアドバイスが欲しいというTOP会談などもあり益々海外展開が楽しみな状況である。(社長)
■考察
 海外戦略は色々期待が持てますよね。一度中国に先方から声がかかり試験的に進出した経緯がありましたが、この時は理由は定かではないのですがそのまま立ち消えてしまいました。今回のご縁がまた当社の価値向上に繋がるように期待をしたいと思います。日本とは違った商習慣もあることでしょうから、違った難しさがあるものと思います。人口が増えるというわかりやすく消費が伸びるといった中では例えばイオンやイトーヨーカドーなど日系スーパーも進出していますが、GMSでなかなか成功していないとも聞きます。ましてウォルマートやカルフールなど外資企業も現地進出したもののやはり上手くいかずという難しさがあるのかと思います。丸和運輸機関が物流網のインフラプレイヤーとしてうまくご縁に巡り合い、ビジネスを開拓してくれることを期待しています。そのためにも、総会で質問したようにこういった分野に長けた社外取締役などを招聘できるといいんですよね。何も考えずにいうなれば、例えばイオンモールの海外セクションの経歴を持つ方とか、あるいは異業種でも中国進出で成功した会社とかですかね。


★Q 中期経営計画の修正について
 ECにおいて巣ごもり需要が爆発している、あるいは生活必需品を扱うスーパーの売上が好調であるなど当社にとって追い風となる状況もある。一方でインバウンド需要の消失によるドラックストアなどの荷量減少などの逆風ともいえる状況もある。このようにコロナ禍の影響として良い点、悪い点とが交錯している状況下にあると認識しているが、その中にあり中計の予想数値を下方修正されている。どのような考え方で今回の下方修正に至ったのか、ご説明頂きたい。
A
 中計の策定については、概ね開示前の2月頃には数値が固まりつつある状況であった。しかしながら2月の後半でコロナ禍の影響で先行きが不透明中にあって、3月中旬位まで様子をみようと状況を注視していたわけである。そんな中投資家に対する説明責任を果たすためにどんな形であっても開示をしないといけないという考えの下、5/11に本決算を開示した。ここで今期の業績予想ガイダンスをお示しする必要があったわけだが、多くの会社が未定とする中で当社は開示をした。私の経営者の感覚からすると、予想を出せない(出さない)という事、すなわち未定はポリシーに反するということで開示をした。企業を経営していて予想が未定というのは私の感覚からしたらありえないことだった。
 そして、この前提としてまだ不確実性が高い中で、何より拘ったのは、前期の数値は落とさないということで、その前提で業績予想を策定してお示しするとともに、その基点を踏まえて中計の数値も修正をさせて頂いた。中には、丸和はこれだけ成長志向が高く修正などしなくてもいいのではないかという投資家の声も承知をしているものの、世の中の消費動向がどう変わるか見定められない要素もある中で何かしらの前提を置いた策定としてお示しするという事に拘った結果がこういう形になったものである。
 前年度を割らないとした現計画そのものも、今の状況を鑑みるとより慎重を期すべきかもしれないという思いもあるが、毎期にお示しした数値をきちんと達成していくことは経営者の務めであると強く認識している。そのために大いに尽力をしていきたい。(社長)
■考察
 最後にこんなに意地悪な質問をしてしまったのですが、どうしても優先度が低いながらもきちんと説明は聞いておきたかったのです。やはり下方修正をするということは社長自身も断腸の思いだったと思われますし、私もそれに対して失望といったものはなく、むしろよりエールを送りたいと考えているわけです。
 この質問の意図は、なぜ足元(今期予想)だけでなく、中計の数値までをも見直したのかということです。確かにマツモトキヨシのインバウンド需要低減による収益の減少や、各種日用品の中でもスーパー等以外の雑貨などの荷量はそもそもお店がクローズしていたわけですから大いに喪失をしたものと思いますので、足元が弱いことは承知をしていたのです。しかし、ECの拡充や低温物流を始めとした国内、海外での伸長と大いに期待が持てる状況下です。新規の拠点も開設を行っていく中で相応の下方修正に至ったのはやはりアマゾンの荷量の影響ではなかろうかと考えているわけです。結果、このような回答ではありませんでしたが、引き続き状況を見守りたいと思います。
 ちなみに最初の質問でアマゾンのお仕事における競合他社との関係性の質問をしたのもその前提を確認するためのものでした。アマゾンの荷物はかつてはヤマトが扱っていましたが、そこから桃太郎便が扱うようになり、しかし最近では佐川やヤマトが復帰してきたりと色々な変化を感じています。また当初の中計の際には、首都圏から各地域に展開を拡大していくとされていたものの、各エリアで棲み分けが進む中で進出余地が限定的になってきたということではないか、それが中計の修正に影響をしているとすると、例えば業務提携など違ったアプローチで総量を増やしていくという事を考えられているのではないか、そう思ったわけです。
 いずれにせよ、アマゾンの荷物はこれからも増えていくものと思いますので、その成長に乗って、同社がどういう収益をあげてくれるのかを注目しつつ、その結果の良し悪しだけに捉われることなく、会社がどういう方向に価値を高めるために活動しているのかをよくよく観察して違和感がないかをモニタリングしていきたいなと思いました。ついつい、数値ばかりに目がいきがちになりますが、それだけではないんだというのが私の価値観ですから(だから投資で儲からない(笑))、それを大切に寄り添っていける株主でありたいと思います。

6.さいごに

 投資家はロジカルでスマートなものを望んでいる節があると思います。SaaS型によるサブスクリプションの収益を積み上げ、参入障壁も高くとにかく儲かりますという類のものです。投資家はその事業に期待し、成長の果ての還元で自分が豊かになることを夢見てリスクを取って投資をします。そこにはその実現確度や再現性などを冷静かつロジカルにはじき、ビジネスモデルが如何に秀でているかなどを測定し、投資をします。
 丸和運輸機関はご縁の会社です。精神の会社だと思います。ある意味、このロジカルさやスマートさからは一線を画す立ち位置にいる会社だと思っています。昭和の泥臭さが滲み、誠意の気持ちが漲る会社です。そして社長の人格というか教えに学んだその姿勢が「ご縁」をたぐり寄せる魅力を持った会社なのです。

 利益率だって決して高くありませんし、いわゆる労働集約型の効率性だって決してよい事業ではありません。世の中の経済活動の中におけるバリューチェーンにおける下流に当たる物流システムを扱う会社です。昨今では見直しされつつあり戦略部門とみなす向きもありますが、それでもコストセンターとみなされやすい業種でもあります。
 そんな中でも丸和運輸機関は市場から高い評価を得ています。株主数も言及した通り増えており、多くの地元にも支えられている会社です。そして国や県といった行政からも一目を置かれるような存在になり、それを足掛かりに決して利益先行ではない、利他精神に基づいた経営がなされており、それが結果的に巡り巡ってよいご縁に恵まれて今に至っているわけです。

 改めて思うのは、投資家が寄せるカタリストや株価の騰落、市場を巡る材料と呼ばれる各種ニュースなどに一喜一憂せずに、こういう独特な会社に寄り添う気持ちで真の長期投資を心がけていたいと思わされます。

 同社にはアマゾンの今後の戦略に左右される成長性への評価や、海外展開の成否、あるいはコロナ禍における消費動向が与える荷量への影響など不確実性は高いものとならざる得ません。そんな中でも価値を高めようと、そしてその前段には常に利他精神であろうとする中で、株主として私はどうあるべきかを改めて考えさせられるわけです。

 いくつか提言もあります。これだけ思いのある会社です。ぜひ、そういう部分を知っていただくために、よりIR活動を頑張って頂きたいです。資料の開示は十分だと思います。それよりも対話型のコミュニケーションが大切だと思います。そしてそれでこそ、同社の魅力は伝わります。証券会社内の個人投資家説明会だけでなく、あるいは幹事会社である野村主催のIRフェアへの参加という形式上の活動に留まらず、例えばトラスコ中山さんのように施設見学会とセットで事業を説明する場を設けるといったことも良いと思います。機関投資家への説明会はこれだけの時価総額になれば当然対応するべきだと思います。しかし、個人の株主をより惹きつけられるポテンシャルがあるはずです。こういった取り組みはぜひ参考にして頂き、取り組んで頂きたいです。

 また、質問もしましたが、役員体制についてです。社長はまだまだ元気ではありますが、一方で年齢的にもいずれ世代交代の時はやってきます。今回の総会と取締役会を経て、山本氏が副社長へ抜擢され実質的にNo.2となりました。私は帰りがけに、山本氏に大いに期待している旨のエールを直接お伝えしました。しかしながら、海外への展開、あるいはAIを活用したDX施策、あるいは激動下にある小売業界など様々な業界や技術、地域特性の理解が求められていきます。そのような中にあって、生え抜きで再任者のみの役員体制というのは多様性を欠き、思わぬところで足元をすくわれてしまう事もあると思います。ぜひ来年にかけて良い人財を見出し、より多様性のもった経営に期待をしたいと思います。またその際には社長の理念を現場までもがきちんと浸透させる事も重要です。これだけ大所帯になってくるとなかなか目が行き届かなくなる中で、顧客満足を下げる言動をしてしまう現場もあろうかと思います。そういうものを完全にゼロにするというのは理想論とはいえ、各所のSNSを見ても辛辣な口コミも散見されます。こういったものへきちんと対処をしていくこと、統制を取る事も大切なマネジメントかと思います。

 最後に総会運営に当たり、コロナ禍にあっても成長戦略の説明をきちんと果たされ、このようにきちんとした形で運営していただいたことについて、現場のご尽力の賜物と思います。この場を借りて改めて御礼申し上げます。また集中日を避けて頂いたことも結果的にそうなった部分もあろうかと思いますが大変ありがたかったです。どうしても他社と被ってしまうと行かれなくなってしまうケースもあります。出来る限り参加しやすいよう、今後も集中日を避け、あるいは時間帯を午後にするなど様々な方法でもって、運営をして頂くようにして頂けるとありがたいと思います。

頑張れ、丸和運輸機関!

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