見出し画像

ソーシャルワイヤー(マザーズ/3929) 株主総会レポート 2020/6/27

 東証マザーズ上場のソーシャルワイヤーの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、記載している内容について意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません。株主総会レポートとして何かの参考といなり、同社の理解に繋がれば幸いです。もし、お気づきの点などあればぜひツイッターブログにてコメント頂ければ幸いです(私自身の勉強にもなりますので)。


1.同社関連記事

 まず前回の株主総会のレポート記事をご紹介しておきます。昨年は株主数も2000人を超えていましたが、今年は残念ながら期末時点で減少しています。昨年はコロナの影響もなく、立食パーティもありざっくばらんに懇談が出来たのは良かったですね。

 次に過去に同社に関して記載した記事をご紹介しておきます。こちらは直近の決算精査時のレポート記事です。但し内容のUPDATEが追い付いておらず、Q3決算までの内容となっています。PPT資料もつけていますのでこちらにも再掲しておきます。

 PPT資料にもありますが、同社のビジネスは以下の図のように理解をしています。

画像1

2.株主総会の概況

 まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。

  10:00 開会 (矢田社長)
  10:04 議決権行使数の確認(藤原氏)
  10:05 監査報告(藤倉氏)
  10:07 事業報告(矢田社長・プレゼン)
  10:20 対処すべき課題(矢田社長・朗読)
  10:24 議案上程
  10:27 質疑応答
  10:42 議案決議
  10:44 閉会
  10:45 新任監査役挨拶(平山氏)
  10:50 クロスコープ新橋 内覧見学会
  11:12 事業説明会
  11:55 質疑応答
  13:18 終了(質疑は株主3人で約90分!)

 議決権の行使数の状況は以下の通りです。昨年より株主数は230人ほど減りましたが、行使した人は106人増えています。行使率も昨年71%だったものが75%と微増しています。
 ・582人/1,788人
 ・45,277個/60,260個

 株主総会の後に、クロスコープの見学会、事業説明会の3部構成で運営される旨の案内があり、総会については円滑な運営についての協力依頼がございました。会場には30席程の席が用意されていましたが、出席株主は20人に満たない位だったでしょうか。役員席には飛沫防止のアクリル板が設置されておりまして、株主席もソーシャルディスタンスが取られた配置となっています。

 会場は前期に新規設置されたクロスコープ新橋のセミナールームでした。毎年各拠点のクロスコープで行われていますが、今年はやはり新橋でした。これまでのビルと違い明らかにグレードの違うものでした。

 議事については、事業報告については、決算説明資料に沿って、業績面を中心にサクサク社長がプレゼンされています。特に目新しい情報はありませんが、トップラインの成長を重視している姿勢が随所に垣間見れる説明のトーンでしたし、これまでとはちょっとギアを変えてCAGRを伸ばしていっている点について言及がありました。また、前期期末にもっと伸びるはずだったデジタルPRについて、コロナ禍の影響を受けて、伸び切らなかった点に忸怩たる思いがあったようにお話をされていました。また新橋拠点の大型投資については、前期に減益の主因となりましたが、これも底を見たということで、今後は損益分岐を超えて回復してくる見込みとのことです。加えて、本来リスクを取って大型投資をしたわけなので、従前の水準から大きく飛躍することが求められ、それは翌期である来期(22年3月期)に持ち越しになっているというご説明でした。

 また、対処すべき課題についてはどういうわけかここは招集通知に記載のタイトルのみがPPTに投影され、その内容は朗読会という形でした。この後に事業説明会もありますからここに気持ちが入っていなくても私は気になりませんが、対処すべき課題には注目されている方もおられるので、せっかく事業報告があれだけプレゼンで纏まっているのであればその流れを汲んだ方が良いと感じますし、もし割愛し、詳細は事業説明会でということであれば、ここでは記載されている通りですと、タイトルのみの紹介で割り切るという運営でもいいのかなと感じました。

3.質疑応答

 質疑については、この後、事業説明会もあるため、総会の目的に直接沿ったもののみにするよう協力依頼がありましたので、私も用意してきた質問はそちらですることにしまして、役員の体制に関する質問のみここではぶつけました。以下に総会内の質疑の内容についてメモをしておきます。なお、繰り返しになりますが、あくまで私の主観で脚色していますので、事実と異なる点が多分にあることについてご了承願います。

※★印は私が行った質問です。

★Q 社外取締役の役割について
社外取締役の大野氏、白川氏は昨年の株主総会で大企業の価値観を社内へ伝達したり、グローバル企業の経験を社内に取り込みたいという事を企図し、着任されている。あれから1年、社長にとって両氏からの提言等で価値をもたらしてもらえているなというものがあればご紹介頂きたい。また両氏にも伺いたいが、多くの会社での経験を踏まえて、当社の良い部分と課題だと感じられている部分について所感をお聞かせ頂きたい。
A
 大野氏には日系の大企業の文化、白川氏は外資系の大企業の文化からの知見を頂きたいと考え選任したものである。両氏の存在については、月並みの表現にはなるが、年齢、経験共に私(社長)より先輩であり、忖度なく助言を頂けている点に感謝をしているところである。的確な質問をもらうこともあれば、時にお叱りを受けることもある。創業者の私のパワーバランスが偏重しがちな部分がどうしてもある程度は出てしまう部分にも、突っ込んで意見をしてもらえる関係性である。牽制効果を発揮しつつも、例えばセールスチームを本格立ち上げしたり、宣伝広告マーケットへの挑戦、大型投資を経てクライアントの規模文化も変わってきている中で、この大企業と対峙していく上での営業上のアドバイスも事業執行において価値をもたらしてもらえたと考えている。(矢田社長)
 1年社外取締役をやらせてもらって、成長に対する社長の強い意志が社内にも浸透しておりその意欲の大きさに驚いた。経営方針に対する判断や上手くいかないときの撤退判断など経営判断のスピード感も若い会社としてみてもとても優れている会社だとして感じている。一方社内体制が若く、過去の慣例や成功体験に作用されることが多く、こういった点には助言して速やかに対応頂いたということもあった。いずれにせよガバナンスの向上はもちろんのこと、様々な助言を通して、経営効率を上げていくことに資するよう、今後も努力していきたい。(大野社外取締役)
 これまでグローバル企業の実務レベルでの執行で色々な会社を渡り歩いてきた。この観点でみると、現状も課題にあげられている人材育成においてこの会社がより大きく成長していくためには多様性を大切にすることが大切になってくる。このような社内体制構築に尽力していきたい。また、今後会社がより大きく成長していく上で、従来は矢田社長のリーダシップに頼ってきた部分もあるが、事業も大きくなっていく中では各取締役あるいは各現場の管理職の経営者目線のスキルアップがより重要になってくると考えている。そういう目線が養えるような体制作りを助言しながら構築していきたい。(白川社外取締役)
■考察
 牽制効果は去る事ながら、きちんと意見が交わされている様子がわかりよかったです。また大企業も顧客ターゲットに入ってくる中で、そういったアドバイスも交わされている様子がわかりこの点も良かったです。人材育成部分は白川氏から具体的な言及もありましたが、当社の成長にとって重要な部分です。矢田社長がかつて個人投資家向けスモールミーティングの時に、スピード感についてこられる人材がもっと必要だというような感触を持たれているなと、私自身が勝手に感じていたわけですが、優秀な人材がよりフィット出来れば心強いと思います。

Q 新任監査役の平山氏について
 新任監査役の平山氏の選任理由、期待されていることを教えて下さい。
A
 平山氏と当社の関係は当社IPOの1年前位から法務顧問として付き合いがある。このようなこともあり、平山氏にも当社の理解をもって頂けているし、当社としても気心が知れていることで相互理解が図りやすいという関係性であった。また、バックボーンとして弁護士と共に会計士でもあられ、当社事業が多角化していく中で、法務対応をより充実させるとともに、より牽制効果を高めていく必要性からも選任させてもらった次第。
■考察
 この質問は私もしたかったので、会場から質問が出て良かったです。平山氏については、事前にWebサイトで調べたのですが、企業法務、IPOやM&Aなどを専門にされているようでしたので、答弁にあった内容に加え、M&A政策などにおいても法律と会計の双方からよきアドバイスを頂けることを期待しています。
※平山氏が代表を務める事務所 リンク

4.クロスコープ新橋 内覧見学会

 3フロアあるクロスコープ新橋ですが、共用部の3Fと執務エリアがある4Fとを見学させて頂きました。共用部の3Fでは今風の孤立席やちょっとした打ち合わせが出来るオープンスペースの他、ハイグレードな会議室も備わっており、高級感もあり良い感じです。またコーヒースペースもあり談笑も出来るようなスペースもありました。会議室には大型のディスプレイがあり、議論がしやすいようなツールが揃っておりリモート会議も含めて全く実用上問題もありません。また他拠点を見学させてもらった時に感じた、ちょっと不便そうだなという部分が目につかず、よく考えられているなと思いました(例えばソファ席に座ると常設されているディスプレイが見にくいとかそういうのが一切なかったです)。
 執務エリアは社内で使っている部屋は中に入らせてもらいましたが、まぁ普通の執務室です。特に取り立てるようなものでもありませんが、ここは各入居者がある程度自由に使うところでしょうからね。
 ちなみに株主総会参加者が20人弱でこの内覧見学会に参加された方が10人弱でした。そしてこの後の事業説明会に残った方はなんと私を除き3人の個人株主だけでした(笑)。こりゃ流石に贅沢過ぎるんですが、コロナ禍にあるとはいえ、ちょっともったいないですよね。会社側がせっかく設定頂いて時間を割いてもらっているので、より多くの方に参加頂けるといいなと思いますし、継続して実施頂くためにもこういう機会を大切にしていきたいなと強く思いました。この記事でそういう魅力的な発信をされようとしている会社の良い部分がご紹介できれば私としても嬉しいです。私に出来ることなど限られますので、せめてこうやって発信してその姿勢に報いたいなと考えています(余計なお世話かもしれませんが・・・(笑))。

5.事業説明会

 さて、会場に残った4人の株主に対して社長がプレゼンをして下さいます。全取締役の方も同席されており大変恐縮いたしました。貴重な機会を頂いたことに感謝申し上げると共に、自分にはこのように情報を発信して会社の良き姿勢を共有することくらいしかできないことが申し訳ないです。お金が沢山あれば株買うんですけどね・・・。確かに四季報を読み上げるとか、勉強会などももちろん大切な投資活動ですが、経営者とこのように近い距離で対話が出来て、その中で様々な事象に触れること(会社からの発信はもちろんですが、他の投資家の方の質問なども含め)はとてもよき場だと思うのです。こういう機会をこれからも大切にしていきたいと思います。
 まず、改めて社長の方から全体概況について軽く言及があった後、デジタルPR事業とシェアオフィス事業については、それぞれ担当役員である庄子氏と大川氏からプレゼンがありました。
 冒頭、社長ももう少し集まってくれてもいいのにと仰っていました。今日は質問を受けて立つぞと気合を入れていたのだが・・・と仰っていました(笑)。いくらでも質問は受け付ける、エンドレスで枯れるまでやるぞ、と所信表明されていました。他の取締役や社員の方も同じマインドであればいいのですが、土曜日のこの季節、勘弁してよ~という方もいらっしゃったかもしれませんね。既にお腹も空いてきた時間でもありましたから、余計ですね(笑)。お付き合いいただいた皆様へ改めてこの場を借りて御礼申し上げます。なお、出来るだけ、社長じゃない人に答弁させるという事仰っていたので、育成や組織力を高める意向もあったものと思います。その方が良かろうと私も思いました。
 プレゼンについては、決算説明資料に沿った復習で、かなり端折られていました。いいと思います(笑)。

■デジタルPR事業について(庄子氏)
 〇各領域の市場規模が堅調に推移。特にインフルエンサーPRは高成長。
 ・広報PR事業 5年CAGR 6.3% @プレスなど
 ・インフルエンサーPR市場 同 17.5% FindModelなど
 ・SNSインフィード広告市場 同 9.5% NEWSCASTなど

 〇今後の領域別の成長予測
  ・オウンドメディアソーシャルメディアの企画・運営
  →自前の公式運営での広告領域もFindModelで実現できる領域
  ・インフルエンサー活用
   →FindModelのど真ん中で現在当社がフィットさせている領域
  ・広報PR効果測定/ソーシャルリスニング
  →@クリッピングで拡散や効果測定を図れるようフィット

 〇デジタルPRの手法の変化
 マスメディアを介した芸能人を活用したtoCよりインフルエンサーを介した多様的なtoCが台頭することになる。

 〇NEWSCASTの拡大
 従前はメディア向けに認知拡大のための発信を続ける志向だった。これは@プレスの得意分野でもあった。一方で、販促の担当者はメディア向けではなく、直接SNSへ発信をしたい、そこで話題になって欲しいという二―ズに変わってきている。
 販促案件→メディアに取り上げてもらえるような発信 だったニーズが、
 →SNSでインフルエンサー基点で話題になりやすい発信 へと変化してきている。
 SNSで盛り上がっているトレンドをメディアが扱うという順番が変わってきているということ。
 このトレンドをとらまえて、NEWSCASTが爆発的に増えつつある。法人営業の体制も大きく拡充して取り組んでいる。その分、ニュースワイヤー事業のオペレーション業務をAIなどで生産性向上で効率化を図り省力化をして、リソースシフトをしている。
 いずれにせよ、成長マーケットのため、営業体制を拡充させ、案件数を伸長させることを重視してマネジメントを行っている状況である。

 〇クリッピングサービスは安定的
 大きな成長はないが、デジタル領域の調査依頼の案件が増えている。紙媒体からデジタル、SNSへの調査が今後より増えてくるものと捉えている。

 〇配信数
 イベント系が取りやめになっている影響で足元は弱い状況。なんとか横ばいを維持しながら、今後回復期にきちんと増やしていけるようにしたい。月額固定の利用者数を増やすことを頑張って取り組んでいきたい。

 〇コロナ禍影響
 イベント系が停止していたためこの部分の目減りと営業効率が落ちているのが逆風影響。オンラインのセミナー(ウェビナー)を注力しており、直近では想定超にリーチできていて、効果が出ている。
 緊急事態宣言解除後は、GOTOキャンペーンなど旅行や外食などで特需的な需要が生まれる可能性があり、その販促獲得に励んでいきたい。この領域は今集中して営業かけている。また顧客の公式アカウントの運用はサブスク型に近く比較的安定業績に寄与するため、この領域で活動できるよう、内製化を進めながら準備を進めている。
 コロナ影響は一時的限定的と捉えており6月頃から取引が回復傾向にある実感がある。

 〇afterコロナ
 「集約集合/リアル」から「分散分解/オンライン」に変容。
 マスメディアからSNSへの分散投下は追い風だし、SNSそのものの機会が拡大している点もポジティブ。
 一方で、SNSが活性化するとSNSの多様化が進むとニーズやインフルエンサー自身の立場が変わっていく(販促案件を扱う立場から自分自身のブランド製品などの発信者となっていくなど)中で多様性への対応は喫緊の課題となる。

■シェアオフィス事業(大川氏)
 〇シェアオフィスの市場成長
 5年CAGRは26.1%と推定。固定オフィスからリモートオフィスへの還流が進む。コロナ禍ではリモートオフィスとしての需要がより増加しており、特に新橋はそこにフィットさせていることもあり、利用も促進。

 〇調達環境
 企業は従来の固定型オフィスの不要論から空室率が上昇する可能性。とりわけ、一部解約などはビルオーナにとっては苦労が多い一方で、それを調達する当社立場に立つと調達環境が改善する機会になりえる。当社が新橋での実績もあり、運営規律性で信用を得たこともフォロー。

 〇新橋拠点の推移
 月毎の稼働席数と稼働率をプロットしたグラフがありましたが、当初想定通りの範疇で推移しているようで、現状稼働率も7割程度まで上がってきているため、損益分岐を超えつつある状況かと思います。大企業のリモートオフィスとしての訴求がうまくいっている。

 〇コロナ禍影響
 内覧や新規契約のぺースが落ちることと稼働席が鈍化する一方、オフィスの在り方の見直し機運から流動化も進むと考えるとイーブン。むしろリモートオフィスの問い合わせは増えており、そういった対応を各拠点で進めており取り込めればと考えている。中堅・大手は家賃比率が低くこれをメインにしている一方、スタートアップ等ベンチャーはオフィス不要論が台頭するものの、ターゲット層ではないこともありほぼ影響はないと考えている。

■業績予想ガイダンスについて

 コロナ禍によってこれまでの方針から変わらないといけないこともある。しかしながら、この影響は一時的、限定的と捉えており、当社のビジネスモデルを毀損するようなものではない。これは運がよかった。成長戦略については継続する。とはいえ、足元では営業効率が落ちる点は課題。これに対して活動資源が限られるのだから新規獲得が減るのはやむなしともできる。でもそうではなく、新規顧客獲得をこれだけ取るという目標をきちんと設定して取り組んでいく所存。このトップライン偏重に指揮を執ると、時に効率性が下がることもある(つまり利益は悪くなるということですかね)。ただ利益は元々底を打ったということでそれ以上細かく見ても意味合いは薄く、やはりトップラインの成長に重きを置いたマネジメントを取っていく。コロナだからしょうがないではなく、覚悟をもって執行に当たりたい。
 この前提で今期業績予想は売上を過去最高水準である2割前後をレンジとしてではあるが成長することを掲げたものである。afterコロナに向かっていくといった時に、足元で効率が落ちようともトップラインを伸ばしていくことが正しい経営だと考えている。
 中計を取り下げた件は、まずコロナの影響がまだわからない状況が大きかったことに加えて、今期ガイダンスすらレンジとしている中にあって、中計はもっとレンジが大きくなってしまう。9月までの影響を踏まえて見定められれば、改めて中計の数値を洗い替えたものをお示ししたい。

6.エンドレス質疑応答

 一通りの説明が終わりましたので、ここから受けて立つと仰った社長への質疑の時間です。かなり多くボリュームが多いですが、記憶を辿りメモを書いていきます。いつも以上に曖昧な部分も思い込みで補完しています(笑)。ご了承下さい。
 なお、公式サイトに先に主なQAがリリースされています。以下長文を読むのは割愛され、こちらの公式のみご覧頂く方がよいかもしれません(笑)

※★印は私が質問した内容です。

★Q シェアオフィスの立地について
 コロナ禍を受けた新たな生活様式によって、都心一等地という訴求力が今後どのように変化するかという点について、今後のシェアオフィス事業の立地展開に際して郊外も含めた方針に何か影響はないか。
A
 顧客である企業の多くが都心もしくは郊外のターミナル駅のような一等立地を中心に展開をしていくつもりである。郊外は考えてないわけではないが、まずは都心が中心になるかと思う。(大川氏)
 現状においては、まだ都心といってもごく限られた拠点にしか展開出来ていない中で、まずは山手線主要駅位には展開する必要があるよね、という意味でまず都心を中心に考えている。コロナ禍の影響があろうがなかろうが、まずなくてはダメでしょという部分にまずは出していくつもり。(社長)
■考察
 明快な答弁でした。私もブレずに都心一等地に展開されていくつもりであると認識していましたが、今後の都心一等地という訴求そのものが揺るぐことはないとは考えていますが、それに変調がないかという事も含めて情勢を踏まえながら見守っていきたいと思いました。オフィス需要そのものの形態が変化したとしても都心一等地という立地は何物にも代えがたい価値なのでしょうね。

★Q シェアオフィスの顧客層から見たコロナ禍影響について
 中堅・大企業が顧客層のメインなので、業績への影響は比較的軽微であるというトーンでご説明がある。しかしながら、ファクトブック等からも同事業の顧客セグメントの情報をみると、従業員10人以下の会社が80%程度、業種もコロナ禍の影響が大きいとされるサービス業が4割強という状況であるため、やはりコロナ禍の影響により顧客の廃業や規模縮小、あるいは固定費となる家賃そのものの見直しなどにより同事業に影響があるのではないかと考えている。現在は退去通告に一定の時間があるため数値に現れていないが今後解約による下押しが定量的にも出てくるとも懸念するが状況はどうか。
A
 5名などの部屋を借りている顧客も分室として借りているものであり、その大元は大きな会社さんであるというケースも多い。従って顧客層は引き続き、中堅から大手という所は変わらずターゲットとしていきたい。とはいえ、10人以下の小さな会社さんも特に新橋拠点以外ではおられないこともなく一定の通告期間を経てその解約が顕在化する可能性があるものと考えている。(大川氏)
 社数を計算すると小さな会社が大きくなるが、席数の占有率からみると大きな会社の動向が大きなトレンドを左右する。社数のカウントではなく、稼働席が占める会社規模という点で考えるとやはり中堅・大企業が多いということになる。(つまり5人の会社が10社あったとしても1社で100席の大企業があれば社数としては1/6が大企業と小さく見えるものの席数でみれば100/150と大きな占有率となる、ということですね)この占有率という指標でみると稼働席の半数以上は大企業という状況である。従って大企業がメインのため影響は相対的に小さいものと考えている。(社長)
■考察
 ここは状況は理解しました。確かに稼働席の占有率でみたら、違った景色になるのかもしれません。しかし、実際に小さな会社も多いとも仰られていて、私が過去に見学会で見た際に社名を掲げられている会社さんを見ただけでも小さな会社さんが相応に多かった印象です(実際には名前を掲げない会社さんも多く、その多くが大企業寄りのようですが)。確かに占有率の半数以上が大企業ということであればなるほど、ともなるのですが、逆をいえば半数弱は小さな会社であるということ、そしてそういう会社もしくは団体がこの情勢下では固定費を圧縮するために退去せざる得なくなるといったケースはあるのではないかという疑念は払しょくできませんでした。実際に大川氏の答弁でもその可能性がある事に言及されています。可能性の有無でいえばそれはリスクはあるよ、となるので、当然なのですが、説明として中堅・大企業メインだから影響は軽微とまでいってしまうとちょっと心配になります。これが、退去通告後一定期間を経ていないからまだ数値的に健在化していないという意味で足元の影響として軽微といっているのであれば誤解を与えるのではないかと感じました。そして社長自身も誤解を与えるといっていたファクトブックの顧客セグメント情報についても、冒頭、大元は大きな会社であるといった時にそれをどうカウントしているのかも含めてややわかりにくい状況だと感じました。せめて、足元の退去通告の状況がどうであるとか、それを踏まえて軽微で済みそうということであればよいのですが、通常半年前通告などのため、現時点で通告がどの程度あるのかなどを踏まえた回答を頂けるとより理解が深まった気がします。

Q 新橋の後の新設計画について
 新橋の拠点に目途がついた後に、現中計期間中にもう一つ位は同規模の拠点新設を目論んでいるとの説明が過去にあった。この計画についてコロナ禍の影響を踏まえて見直し等はあるのか、スケジュール等も含めて教えて欲しい。
A
 投資方針については1年目に説明した内容から変えていない(つまりもうつ1つくらいはいきたいということですね)。この1年の間で変化したことといえば調達環境である。当社にとっては調達をしやすい環境になりつつあり、昨年意気込みを示した時から比べると、物件そのものを当社が選べるような雰囲気になりつつある。特に足元ではこれを実感している。
 背景としては、ハイグレードのビルオーナーにとっては完全な逆風となっている。ビル全体の主要入居者が面で部分解約などをされ、いわゆる虫食い状態になるケースが増えてきている。あるいは、本社ビル移転計画の中にあり、元々使う予定だったフロアの半分をコロナ到来を経てキャンセルといったことも出ているようだ。こういった部分での空室リスクがハイグレードビルにおいても頻出してきている。
 従って、現時点で決まっている案件はないが、それは決まっていないのではなく、決めていないというように捉えてもらいたい。今後環境として追い風になりそうな手応えがある。しかしながら、ではもっとアクセルを踏み込んで仕入れるという選択肢もあるかもしれないが、現状ではまずは当初描いていた通りの考え方で進めていきたい。(社長)
■考察
 調達環境がここまで改善している、そしてその手応えがあるというのは良い材料だと思いました。私は不動産の実需や動向を全く知らない素人なので、実態としてどこまで真意ある状況なのかわからず、会社側の見解を信じるしかありませんが、いずれにせよ、従来の投資を継続されるということで、基本的には転貸ビジネスで一等地で運営される中にあっては、そこまで大きなリスクは内包していないかなと思いますので、焦らず良いご縁に恵まれるといいなと見守っていたいと思います。

Q インフルエンサーマーケティングの分野での競合優位性について
 この領域ではサイバーバズが最も認知されて活躍されていると認識しているが、その他社との競合優位性をどのように考えられているか。また営業体制を強化されているが、効率性を推し量る上で、1人当たり売上高などの指標を開示できないか。
A
 この領域では上場会社としてはサイバーバズやトレンダーズなどが有名である。これらの会社とビジネスモデルそのものはあまり変わりはない。差別化ポイントとしては、まずどれだけ質の高いインフルエンサーさんを取り込めているかという点が挙げられる。当社は2018年にMAをしたFindModelであるあ、実際にインフルエンサーマーケティングの領域は更にその1-2年前から取り組んでおり黎明期からこの領域で取り組んできたこともあり、多くのインフルエンサーとお付き合いが出来ている。更にインフルエンサーから情報開示を受けて顧客へレポ―ティングなどを行うわけだが、このインサイトの情報開示に長い年月をかけてお付き合い頂いている事による信用力をもって協力頂きやすい環境が得られている。(ひいてはこれが顧客満足に繋がっている。)
 また、商品のプロダクトの魅力度を高めるため、顧客に対してウェビナーも活用しながらよりよい商品を提供できるような仕組み作りや顧客訴求を図っている点は優れているものと思う。
 営業1人当たりの目標指標は当然社内では持ち合わせており、各経験に基づいて合理的に粗利から逆算してあるべき金額などを試算して設定をしている。(庄子氏)
 この指標を開示する事は難しい。そもそも営業も通常はインフルエンサーマーケティングに従事している中でもコロナ禍最中はネット広告が一切自粛されていた中では活動が出来なかった。そのため、NEWSCASTなど他媒体を伸ばすなど柔軟に対応しており、開示する数値としてこのような機動的に変わるものを開示するのは不適格だと認識している。(社長)
■考察
 指標については、プロダクトミックス、クロスセルが環境の変化もあり機動的に対応していく中にあって、それぞれの製品の単価も異なることから、画一的に金額目標を開示はせず、社内で管理の一要素としてもっているということですね。この判断は私は正しい判断だと思いますが、質問者の趣旨は効率性だとも思います。特に大量採用して、説明でもあった通り、多少の効率低下があってもトップライン志向で行くという方針ですから、中長期的には持続的であるためにも一定の効率さをわかるようにしてもらえるとわかりやすかと思います。
 競合優位性については、ビジネスモデルが同義ですから、説明のあったものの他、インフルエンサー自身が運営したやすいものがよいのかもしれません。それはディレクションだったり、発信に当たるツールや環境が近いやすいとかの要素もありそうです。あとはインセンティブの違いが同なのか私自身も深く分析できていませんのでこの辺りはもう少し勉強しないとなりませんね。

Q ニュース配信においてPRTIMESとの違いについて
 業界TOPのP社と比較した時に当社の強みや差別化要素はどういったものか。
A
 アットプレスとP社との違いは、まず当社アットプレスは担当スタッフが寄り添い、広報初心者であっても的確に運用ができるサポート体制を引いている事が挙げられる。P社は一定のノウハウをもった中級車以上によく扱われている理解をしている。(秋元氏)
 アットプレスの強みはNEWSCASTで補完で出来ないが、アットプレスの弱みに強かったのはP社であるが、アットプレスをただの広報ツールとしてではなくもっと強固なランディングページまでを作ってしまえるようなツールとして深化させたのがNEWSCASTでもありこれはP社と類似しているがSNSへの発信力などその機能などは圧倒しているものと自負している。(社長)
■考察
 P社との比較質問はよく出る質問ですが、これまでの答弁からトーンが変わったように感じました。これまで当社ではアットプレスがメイン、一応NEWSCASTも立ち上げてみたという情勢の中にあっては、PV数をとにかく稼ぐ数打ちビジネスのP社と、担当者が寄り添い記事になりやすさ、つまり質で勝負をするアットプレスという比較で説明がなされていました。また、そもそもP社が広告領域をターゲットとしている中、アットプレスは広報領域がメインでしたし、広告分野なまだ極小だったのでそもそも領域が違いますよという説明だったものと記憶しています。
 しかしながら、今回P社と類似しているとまでおっしゃられました。確かに事実上、NEWSCASTとは顧客層も重なる所もあり、さすがに領域違いますとはいえないですしね。
 そしてこのNEWSCASTがとても好調のようです。今後のポテンシャルを感じる夢を頂いた気がします。

Q SNS多様化の機運への他社連携の方向性について
 SNSが多様化していく事に対応するため、他社との連携を模索するという説明があったが、これは具体的にどのような連携を図られるつもりなのか。
A
 当社が想定するスピード感以上に早くにSNSの多様化が進んでいる。多様化、つまりSNSの種類そのものが増えていっている。このまま当社リソースだけでこれらの多様化にスピード感を持ち合わせて対応していくのにも限界はある。そもそも広告主が求めるSNSを活用できるために、他社協業を模索しながら進めていかないと多様化には対応できないと考えている。SNSは多様化していく中にあっても、その中心にはインフルエンサーがいると当社は強く考えており、コアな部分はこの部分を曲げずに戦っていくつもりである。(社長)
■考察
 この多様性の部分はややわかりにくかったので私も質問しようと思っていました。マスから個へと変化が進むということでしたから、確かに乱立するSNSに個々に対応していくのは大変だということです。そしてこれを外部調達に頼ると割り切る所もいいと思いますし、とはいえ、コアとなるのはインフルエンサーという部分もよかったと思います。

★Q NEWSCASTの活用施策について
 NEWSCASTがP社と類似したものである中で、NEWSCASTを活用することによってコンテンツ作成まで進化が出来るポテンシャルのあるツールであるというご説明だった。であるならば、そういったポテンシャルを引き出せるような使い方を顧客へ訴求するためのコンサル力というものも重要になると思うが、どのようにこれを推進されていくおつもりか。
A
 指摘の通り、NEWSCASTのコンテンツビジネスの可能性という点では、その使い方次第で顧客へより高い価値を提供できるポテンシャルのあるものだと自負している。しかしながら、現状のP社の代替としてこのツールを捉えてしまうとマーケットは限定的なものとなってしまう。このポテンシャルを活かすためには、従前広報活動に従事していた企業の部門者に対する提案だけではなく、顧客の事業部の方が直接的に販促を実現できるツールとしての訴求が出来るのではないかと考えている。従来は直接的にリリースを出すことをよしとしない文化である事業部所属の方を対象に新たなマーケットが作っていければ面白いと思っている。これまではこういった情報発信の機会はせいぜい、社長のブログに投稿するとかに限られていたため、この潜在的な需要を掘り起こせれば可能性は広がるのではないと期待している。
 その可能性のためにコンサルを強化するのは当然のことで、これは現在体制を強化している営業マンを徹底的に教育し、提案が出来るように仕込んでいる。営業現場では顧客からトップシェアであるP社と何が違うのかという問い合わせも多く出るため、ここでSNSでの発信力の違いやコンテンツ制作に至るまでの可能性を訴求出来るように努めている。(庄子氏)
■考察
 NEWSCASTにここまでのポテンシャルがあるということ自体、あまり認識をしていませんでしたがコンテンツビジネスの可能性など興味深いなと感じました。一方で認知度向上や訴求活動については人海戦術ということのようです。せっかくポテンシャルがあるのであれば、早く動くトレンディ―な世界でもあり早め早めに動いてもらうのと、営業体制強化ということで、スキルの属人化に陥らぬよう頑張って頂きたいですね。

★Q NEWSCASTの認知度向上の施策について
 NEWSCASTに可能性がある事が十分伝わってきたのだが、やはりP社の市場での認知度の高さは脅威でもある。NEWSCASTも活用の仕方次第でこれを凌駕できるほどの可能性のあるツールだと感じているが、認知度をより高め、見込み顧客などへ認知をしてもらうための活動として考えられている事があれば教えて欲しい。
A
 P社の認知度は高く、マスメディアを使った広告などを積極的に活用されている。実際に営業の現場でもP社さんとの違いを確認されるケースもあるわけだが、当然、NEWSCASTも認知度向上を向上させ、SNSを起点としたマーケティングとしての優位性をご理解頂くよう営業活動を行っている。この事情を認知させるためには、マスメディアを使った広告というより、個々に対峙する将来の顧客候補のリストも多く持っており、こういうお客様へ足繁く説明に回る方が効果的ではないかと考え、現在も工夫をしなが営業活動を行っている。その際には、月額固定サービスをより魅力的に使って頂くため、単なるプレスリリースツールとしての利用だけでなく、多様的な使い方を具体的に提案を行い活用頂くことでお客様の価値を高められるよう提案力を高めて対応を行っている。P社ではメディア等からの制約もあり実現出来ていなかったことが実現できるという体験を顧客へ届け、より活用してもらうという正のスパイラルを働きかける形で成果も出ている。(庄子氏)
■考察
 NEWSCASTが熱いっぽいので(頭悪そうな表現ですみません。。。)色々聴いてみましたが、少なくてもポテンシャルとしてはとても優れているし、昨今の情勢を踏まえた仕組みのようですね。P社というリーダ企業がある中で、当社は差別化戦略で臨むということで教科書的な状況ですが、頑張って頂きたいと思いました。

Q デジタルPRの多様化について
 多様化の意味する所があまり理解できていないのだが、例えばyoutuberを指しているのかなど、背景も含めてもう少し詳細を教えて欲しい。
A
 インターネット黎明期の頃、自分(社長)にインターネットをどう活用すればいいのかという質問を当時ソフトバンクの社員だった頃に多く頂いた。しかしながら誰も未来はわからない中で知る由もなかったわけだが、その後、ヤフーなどのポータルサイトが生まれ、そこに広告を出そうという動きがあった一方で、メルマガなど他ツールもどんどんと台頭してきた。このように広告手法も多様化する中で、全てのツールに自社リソースのみで提供してきた会社はなかったはず(M&Aで結果的にというのはあれど)。それだけ多様化のスピードは早くまた多岐に渡ったわけである。現在においても、同じようにSNSはツイッター、Facebook、インスタグラム、youtubeなど多様化しているが、そもそもニッチなSNSも含めるともっともっと多岐に渡っているはずである。このようにSNSそのものの多様化への対応がまず難しくなってきている。また、インフルエンサーのプレゼンスが芸能人などを凌駕するようにあがってきている。インフルエンサーのプレゼンスは今後より上がってくるものと思う。インフルエンサーはクリエーターと呼ばれ、自身でブランド商品を発信していったり、モノを売るようになる。ではそのECサイトやその裏側の決済手法も多岐に渡ってくる。このような形で多様化に対応していくためには自社リソースでなんでもやりますから、横連携を図る事の方が最適だという考えに至るわけである。
 しかしながら、この中心にはインフルエンサーが中心にいると考えている。インフルエンサーのプレゼンスが向上し多様化の基点となると考え、そこにベットして当社リソースを集中投下していくつもりである。従ってインフルエンサーを活用するPRという部分に特化していきたいと考えている。なお、現時点では具体的な会社との提携を今すぐに考えているというわけではないが、既に取引関係にある会社もあるため、今後も必要な連携はとっていきたい。(社長)

Q シェアオフィスの東南アジアでの状況について
 東南アジアではロックダウンもあり、相当苦しい状況ではないかと思料されるが、現状について詳細を教えてもらいたい。
A
 運がよかったのはコロナの本格流行前にある程度稼働率を復調させることが出来ていたことである。80%強に推移しており、すぐに解約できるものではないので、少なくても当面は安定すると思う。国によってだいぶ事情が違うがインドネシアやインドはまだ感染拡大が収まっていないものの、既に経済優先で進んでいる。しかしながら政府の力も強く強制力をもってロックダウンがなされることで、新規獲得ペースが今後落ちるなどの影響となって顕在化してくると考えている。
 今後については、海外からの拠点進出が抑制されることによる需要減は見込まれる一方、現地のリモートワークの拠点としての需要は日本国内と同様に需要が出てきているため、執行としてもローカルでの需要を取り込めるような形で指示をしているところである。目先は期間の長い契約者が多いため解約影響は足元は影響がない一方で、コロナ禍に入り、逆に短期間でも契約できるという訴求をやり始めているところである。(庄子氏)
 参考までに、海外の売上比率は全体の売上比率は10%弱なので影響力は限定的な範囲になる(社長)
■考察
 そもそも売上比率でも小さく、経営リソース面からも海外のシェアオフィスを運営している意味というものがどこにあるのかなと感じています。別の質問での議論の通り、SNSマーケティングのASEAN地域での進出ということもあるものの、そもそも親和性がどこまであるのだろうかとも思います。世界情勢に結構翻弄され、リスクも高位のままだと思われる中で、撤退も含めて検討はしないのかなと感じています。もちろん、この場には担当役員だけでなく、社員の方もおられるので、安易にそのような発言も出来ないと考えているためその趣旨での発現は控えました。

Q インフルエンサーとの良好な関係構築に向けた施策について
 インフルエンサーが当社のコアな部分であるということだが、インフルエンサーと良好な関係を構築するためにどのような対応が考えられるのか。
A
 方向性として、芸能プロダクションのような機能を持つことが考えられる。あるいは業務的な提携を行うような繋がり方を構築するという方法もあるかもしれない。具体的に検討していることもあるが、ここでは少し説明が難しい。これまでの取り組みの方向性について述べると、インフルエンサーとの良好な関係は、良い案件と継続的にご紹介していく、キャスティング力であると考えて取り組んできており、これは実績としてFindmodelがインフルエンサーから信頼を受けている要素となっているものである。すなわち当社からご紹介する案件にねずみ講紛いの案件もないわけであり、安心してインフルエンサーの方が活動できることに寄与出来ており、これが惹きつけられている要因だと考えている。(社長)
■考察
 この辺りは基本に忠実にということですね。とりわけ、インチキを重ねたりすると気持ちよくお仕事にも向かい合ってもらえなくなりますからね。

Q 中計の開示時期の考え方について
 中計の新たな目標は9月末までの状況を見て開示されるとされているが、具体的にいつくらいを目途に策定され開示されるのか。プロセスも含めて詳細を教えて頂きたい。
A
 具体的なスケジュールは開示していないが、考え方として今期業績予想は9月末までの影響があるという仮定に基づき、レンジ開示をしており、このタイミングで何らかの開示は必要だと考えている。一定の影響度合いが見えている状況下であれば今期予想のレンジを狭める、もしくはピンポイントで開示するという事になろうかと思うし、それを踏まえて中計の新たな数値を開示できるものと考えている。しかしながら、9月末の時点でもまだ収束の目途が立たないなど、影響が見極められないという際には、中計の数値についてはもう少し時間を頂くといった説明にやむを得ずなることもなくはない。いずれにせよ、9月末をみて、2Q決算を開示する時を目途に、目標開示のお約束はできないが、何らかのメッセージを出す事にはなろうかと考えている。出来るだけこのタイミングで何らかの数値はきちんとお示したいとは考えているので鋭意策定を頑張る所存。(社長)
■考察
 10月末辺りには何か動きが出てきそうですね。数値目標もさることながら、ビジネスモデルは毀損せずとあるため、事業の成長に向買っていただきたいと思います。

★Q オウンドメディアの価値創造及び見通しについて
 大手企業を中心とした公式Webサイトの運営代行を請け負い、効果的な情報発信の運営をすることで業績面でもストック色が強く安定寄与という話があった。コロナ禍においても公式サイト(SNS)の運用で注目を浴びるケースもあり追い風というご説明であったが、具体的に当社のスキームを入れて頂くことで顧客へ訴求出来る価値とはなにか。また実際、大手企業などからこの手の引き合いが強まっているという状況なのか、あるいは今後増えるという目論見レベルの現状なのか教えて欲しい。
A
 アカウント代行としてツイッターやFB等の公式アカウントなどの運用を請け負うビジネスモデルである。この公式アカウントの運用に当たって、顧客の一番の悩みは、何を発信したらよいかわからないであったり、フォロワーが増えないといったものが多い。このような課題認識の中で、大変需要が増えている状況である。そして公式アカウントの運用そのものが、当社にとって安定的な業績に寄与してくれるものであるわけだが、顧客にとっては該当の商品やサービスが売れることであり、それを様々な手法で発信を代行することにより叶えることが出来る点に価値がある。そして、目的が売れることであることから、単なるアカウント代行ではなく、広告配信のお仕事にもつながり、インフルエンサーマーケティングといった当社の強みのある仕組みをより使って頂くこととなりシナジー効果にも繋がるものである。このようにバックグランドで真の目的をかなえるための仕組みをきちんともっていることから、相見積もりにもなりにくく競争優位性があるモデルを構築出来ているものと考えている。
 なお、足元の引き合いはとても強いものがあり、セミナーなどで登壇した際にも多くのお客様はこのアカウント運用について悩まれており、当社としてもその代行は去ることながら、インフルエンサーマーケティングの活用販路の拡大に資するようなアプローチで顧客へ価値を提供していきたい。(庄子氏)

★Q シェアオフィスの大手企業へのリーチ方法について
 大手企業の多くはオフィスのロジ回りは専門のFM部門を持たれており、各社の調達プロセスには特徴があるものと認識している。このような大手企業へリーチしていくためにどのような運営をされているか。
A
 大企業に必要な設備が求められるため、まずはファシリティーとしてそのグレード、スペックのスペースを供与すべく企画しているところである(設備のグレードやセキュアな環境、あるいはネットワーク等の利便性のことですね)。新橋でも大手企業にもご入居頂いているがその多くはネット広告経由や仲介会社さん経由だったりもしている。従ってネット広告を効果的に今後も展開していくことと、仲介会社に対して定期的に情報連携し提案してもらえるよう働きかけるような取り組みを継続していく。(大川氏)
 元々大企業はシェアオフィスを使うという文化そのものがまだ浸透していなかった。しかし、このコロナ禍で一気に雰囲気が変わり需要の声を聞くようになった。今は先方からの引き合いが旺盛になっているため、その網を広げるためのネット広告はもちろんのこと、各社のお抱えの仲介会社さんから提案を頂きやすいような情報共有を図っているところである。(社長)

★Q 財務の状況について
 今後益々成長をされる志向であるという中にあり、資金需要も出てくるものと考えている。借入金も新橋を出したこともあり増えているが、まだ外部調達を中心に考えられるのか、営業CFの中に留めながらなされるのか、あるいは本則市場への指定替えのタイミング等での市場調達も検討されるのか、具体的な言及は難しいかと思いますが、考え方について教えて下さい。
A
 財務政策については、第一に営業CF、第二に借入、第三に調達(第三者割当も含む)という捉え方は今も昔もコロナがあろうがなかろうが変わらない。というわけで、第三候補に株主利益に短期的には影響があるかもしれないが市場調達という考え方もある。しかしながら、今は金利もただみたいなものだと認識しており、第二の借入で賄っていきたいと考えている。もちろん返済に窮するようなレベルでの財務を痛めてまではやるつもりもないし、財務担当からみれば自己資本比率などの指標をみながら一定の水準も意識せねばならないとは考えている。(社長)

★Q ミャンマーのYUYUビューティーの子会社化の意図について
 ASEANの中でのインフルエンサーマーケティングとして美容分野への展開の足掛かりとされているが、ミャンマーである事は何を企図しているものなのか。ミャンマーになにか魅力があってのことなのか、あるいはそうではないのか。
A
 元々上場する前にアットプレスをASEANでも挑戦したことがあった。その際には失敗をして撤退をしたという過去がある。この要因は現地でのジャーナリズムの成熟度合いにおいてミスマッチだったということである。当時はASEAN各国においてはジャーナリズムの成熟度合いが日本に比べると遅れていたのが実態であり、公共性のあるリリースであればジャーナリストが記事にするということはあるものの、企業の商品紹介などはお金を払って宣伝をするというモデルが国の文化として優位であった。このモデルに当時のアットプレスは対応出来ておらず、活路を見失ってしまったわけである。しかしながら、この広告のためにお金をかけるという文化に馴染むのがインフルエンサーマーケティングであると気が付いた。そんな中でたまたまミャンマーの会社とご縁がありまずはそこで再チャレンジをしようという判断に至った。そのため、ミャンマーそのものに何か意味があるというわけではなく、ASEAN地域でのインフルエンサーマーケティングへの挑戦が始まったという意味合い捉えてもらいたい。ちなみにミャンマーは為替水準をみても当社本体へ及ぼす影響は極めて小さいレベルとなる。そのため、テストマーケティングの意味合いからもまずは最初の一歩として歩みだすことを決断した。(社長)

★Q トランスマート社の減損の要因と今後の経営へ活かすことについて
 トランスマート社を前期に減損している。これまで当社は多くの会社をM&Aしてきて成長をさせてきたわけだが、珍しくこのような事態になっている。この要因をどのように考えられていて、今後の経営に生かすべき観点があれば教えて頂きたい。
A
 まずM&Aの考え方だが、当社は売上をアドオンするという思想で買ってくることはなく、その内容をみて検討を行っている。そのため何をもって成否と判断するかは難しい面もある。しかし、内容を買ってくるという以上、その内容が将来的に中核事業になるという勝算をもって取り組むべきであり、このトランスマートへもそういう期待を寄せていた。しかし現時点において中核にはなっていないというのが事実であり、定量的な減損をしたという以上に、内容を買って(苗木を買ってきて)、しかしそれが大樹に育たないという点での減損であると受け止めている。
 反省点としてはトップマネジメントの重要性である。当社はこれまでもいくつか買収してきた中で、その後、トップはすべて変わっている。会社を乗っ取るという意味合いではなく、新たな経営体制の下で成長を加速させる点において、トップが変わるという意味合いは大きいわけであり、今までそのように成功をさせてきた。しかし、このトランスマートだけは、トップを変えずに運営してきた。この度たまたま減損のタイミングと年齢的な世代交代の時期を迎えてトップが変わり、社内の雰囲気も大きく良化してきている。しかしながら中核になるかというとお約束できる状況でもない。この間、他の事業(インフルエンサーマーケティングのことでしょうが)が大きく飛躍しつつあるためである。(社長)

Q 無配にしたらどうか
 これだけ成長意欲があるのであれば、配当を無配にしてでも成長へ全振りするくらいのつもりでやってはどうか。
A
 貴重な意見であり、後押ししてくれるありがたい意見。配当には株主還元という意味合いがあり、持続的に配当していくという立場のため、凹凸はあれど継続はしていきたいとは考えている。しかしながら、そのようなありがち意見を胸に刻み、成長のため頑張る。(社長)
■考察
 社長個人はもっともっとアクセル踏み込みたい、でも他の取締役からどうどうとされている様子が伺えました(笑)。確かに無敗にしてより成長に傾注するという方針もよかろうと思いますが、一方で少しずつでも還元のバランスもという姿勢もありこの辺りのバランスは難しい側面があるのかもしれませんね。なにせ高コストになりそうな優待まで出すようですからね。株主数が本則の形式要件(2200人以上)に未だ至らずですからどうしてもこういう政策が必要なのかもしれませんが、出来ればIRと成長性の評価でぶち抜けて欲しい所ですね。


7.さいごに

 これだけの時間を割いてくれたことに、メモを書いている中で改めて感じました。手元のメモが曖昧で誤認している箇所が多分にある自信があるのですが、いずれにせよ、色々な質問に真摯に向き合おうということで対応頂いた役職員の皆様に改めて御礼を申し上げます。
 質疑をメモしながらに特に印象に残った主なトピックスとして気になった点を箇条書きにしておきます。

・NEWSCASTのポテンシャル

・シェアオフィスの先行きの解約と流動化の状況

・インフルエンサーにコミットの勝機は

・インフルエンサーとの新たな関係構築施策への期待

・トップライン重視 効率性は目を瞑る?


足元では新規積み上げ分に陰りが出てくるものと思います。明日は月次KPIの開示日ですが、来月くらいまでは影がありそうに思います。また営業効率の兼ね合いでトップライン重視であり利益面は相応に削られるように思います。従って、今後はこのトップラインの状況により重きを置いてみていきたいと思います。市場は利益を中心に見るでしょうし、1年位のスパンでみると本則へ行くと思いますが、その際には調達も待っていそうな様相ですから、希薄化も覚悟をせねばなりません。株価的には利益が伸び悩みそう、希薄化もありそうとなるとなかなか重いかもしれません。しかし、説明のあった通りインフルエンサーをコアとしたマーケティングには大きな可能性がありそうという事も改めて実感しました。シェアオフィスは時代の流れはあるものの、どうしても退去リスクなどが台頭しやすくなりますからあまり大きな期待はできないと思います。こういった中で、自分が投資戦略としてどうあろうかということはもう少しじっくり考えてみたいなと思います。

 ちなみにこのご時世ですが、総会のお土産がありました。毎年マグカップを頂けるのですが、今年は一番手前の紫色のものとワイヤレスチャージャーを頂きました。
 マグカップはスタッキングができて、龍が昇る絵柄が繋がります。毎年言っていますが、ぜひ龍だけでなく株価の方も・・・(笑)。
 またなぜかワイヤレスチャージャーも頂戴しましたが、私は対応機種を持っておらず、宝の持ち腐れになりそうです。ソーシャルワイヤーもぜひ沢山社内体力を充電してチャージいっぱいで頑張って頂きたいですね。

画像2

 株主総会後に本則市場への申請の取り下げをリリースしています。某所ではこのリリースに対して、土曜という人のいない間にしれっと悪材料ぶっこんできているという趣旨でディスっている声をみましたが、もう少し冷静に見た方がいいのではないかと思います。何らかの様々な理由で手続きに時間を要しているだろうことは残念ではありますが、結果、この期にそれが適わなかっただけであるということや改めて申請を行いたい旨の方針も書かれています。社長の月次メッセージにおいてもその点言及されており、私は特段気にしていませんが、こういう動きがあると皆さん拙速だなと感じてしまいますね。

 最後に株主総会の運営ですが、エンドレスに質疑に応じて頂けた点は大変良かったですし、理解も深まりました。より多くの投資家にこういう機会の存在そして、実際に対話に参加頂くことで相互に良い事が創造できる場となる事を願っています。加えて、集中日を避けた運営や土曜日開催についても大変ありがたいです。今年はコロナ禍の影響でどの会社も大変参加者は少ないですから、土曜日にしたから参加者が少ないと早合点することなく、またこのような配慮をして頂けるとサラリーマン投資家にも優しいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?