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WOW WORLD(東証1部/2352)22/3期 Q2決算精査

 東証1部(2352)上場のWOW WORLDが2021/10/29に22/3期Q3決算を開示しました。当記事で決算の内容を確認していきたいと思います。
 参考記事として、前期末の決算精査記事と株主総会のレポートをそれぞれ再掲しておきます。

 それでは決算の内容を見ていきたいと思います。なお、当記事は私の個人的な見解に基づき記載しております。従いまして記載事項に十分留意しておりますが、意図せず誤りが混在している可能性がございます。また、記載事項に問題等ございましたら速やかに修正、公開をとりやめますのでご連絡を頂ければと思います。以下のツイッターアカウントよりご連絡を頂ければと思います。

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 決算説明資料が充実しているので、基本的に決算説明資料に沿ってみていきます。
 Q2としては連結ベースで売上、利益共に計画未達(売上計画14.5億→実績13.9億、営利計画2.4億→実績2.2億)となりました。コネクティの連結寄与の影響などもあり、前期比の伸長率だけみるとそれなりに大きな数値にはなっていますが、元々計画上もそのようになっていたこともあり、むしろ未達という辺りが懸念されるかと思います。

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 各領域別の状況は以下の決算説明資料に明確に記載されています。

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 まず、本体はQ1でやや低位だった所からの回復が確認できた点は良かったと思います。売上は追いつきませんでした、利益は計画を僅かですが超えてきました。
 一方、コネクティはQ1は計画ペースでしたが、Q2で失速となり売上利益共に未達となっています。利益の未達は▲18.2%と大きくなっていますが、数値上はそこまでではありません。とはいえ、本体の貯金分はこれで行って来いですね。
 そして、Web制作等を受託するFUCAとECノウハウを得るための子供服EC事業のままちゅはいずれも赤字となっています。この2事業の赤字で連結ベースの計画利益を毀損したともいえるわけで、しかも赤字ということとなると厳しい見立てになるのではないかと思います。FUCAは事業性の毀損というより外部環境による影響とも思われますが、ままちゅはもちろん外部環境の変化もあるのでしょうが、季節性や天候などに大きく左右される業態となっており、EC事業のノウハウを得るという目的であれば、もう少し恒常的に利益が出ない領域ではないところでやったらどうかとも思います。ここで成長をしてくれとは思いませんが、恒常的に赤字傾向にあるとなるとやはりノウハウ獲得という建前も危うくなる気がします。
 何より、本体や今回は失速したコネクティにしても25%成長に回帰しようという中でこういう形で足を引っ張られているのは、もったいないなと感じます。

 セグメント別売上の詳細です。

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 クラウドは成長していますが、メインのCRM領域での伸長率が14.5%というのはもう少し伸長が欲しい所ですね。成長加速を謳っている中ですからね。またオンプレミスは大型案件の進行基準があるのですね。進行基準はある程度恣意的に扱える要素もありますから(同社が恣意性に基づき歪めているという趣旨ではないです)、不採算化だけはやめて頂きたいですね。
 デジタルマーケの部分も基本的に同様の構造だと思います。CRM部分の伸長がもう少し伸びてきて欲しいですね。

 クラウドの中でプレミアムの顧客のダウングレードが気になりますね。

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 今回の顧客の個別事情なのか、サービス面の課題の一部が氷山の一角のように表面化しつつある兆候なのか覇気になる所です。そもそもSaaS型からASP型へのシフトという事ですが通常ありえないと思うんですよね。SaaSはプライベートクラウド環境を前提としたものであり、ASPはパブリッククラウド相乗り環境が前提のはずです。セキュアな基盤という意味でも可用性という観点からも思想が異なるもののはずです。同一顧客がこれまでSaaS前提で使っていたものがASPで代用できるという類のものではないはずなのですが、単にオーバースペックだったところにコロナ禍の下でコスト面からの要請でそういう対応になったということなのか・・・。違和感を感じます。

 ARPU推移ですが、「相対的に契約金額の低い顧客のダウングレード」とういうことで、やはりオーバースペックだったということですかね。
 そしてスタンダード側の減少に転じた理由がよくわかりませんね(笑)。まぁ一本調子で上がり続けることはないので、高位の中で減少に転じたからといっていちいち目くじら立てる必要もないのでしょうけどね。カスタマーサクセス施策の成果という面は確かにあって、ここ最近の漸増傾向がそれにあたると思うのですが、だとするとその成果がこの程度で一服されてしまっては困るわけです。カスタマサクセスの取り組みは早期からきちんと対応されようと体制を組んできたわけなので、引き続き頑張ってもらいたいなと思います。

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 続いて解約率ですね。

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 プレミアム版は低位ですね。まぁ入る規模も大きくなりますし、ライフも長くなる傾向があるでしょうから当然なのですけどね。前述のダウングレードは解約には入らないのでしょうかね。顧客数が少ないので数社の動きだけでも率にすると結構反応しやすいと思うのですけどね。
 スタンダード版はちょっと説明が苦しいでしょうか。カスタマーサクセスの取り組みによってもっと低位(半分程度)にすることを目標としていたはずです。もっともこういう活動は成果が数値に表れるまでには相当な時間を要するものですから、中長期的に必要な施策を進めていってもらいたいなと思います。

 コネクティ側の状況です。

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 解約が少ない点はよいのですが、新規の顧客獲得→継続という流れがまだみえてきませんね。元々本体側のアカウントをうまく連携させ、CMSも入れていくという戦略だったと思いますので、今後の数値の具現化に期待したいと思います。

 今期ガイダンスには変更はありません。とはいえ、上期でビハインドになってますし、進捗率を気にする人も多いわけで、懸念が台頭しますよね。

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 実際株探さんにも煽られています(笑)。進捗率は過去5年平均よりも低位だそうで。

 事業トピックスです。本体側では情報発信機会や対投資家の対応の充実などの取り組みが出来ていますね。製品面では今後線表もにぎやかになってくるようです。共同販売で前述の顧客拡大にも頑張って頂きたいですね。

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 開発線表です。下期に入り早々に大きなリリースが2件控えているようです。特に延伸という話もないようですから今後は来期の各種バージョンアップ作業の要件定義や設計を進めていくものと思います。大事な工程ですからしっかり取り組んでもらいたいですね。

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 この他、決算説明資料には中計の再掲などいくつか資料が入っていて、思考のネタには困りませんが、1枚だけ取り上げておこうと思います。

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 いくつか私がきちんと理解出来ていない所があるのですが、まずデータ取得の所です。ここでは購買活動や顧客そのもの情報が主体です。しかしマーケティングにはもっと多面的な情報が必要な気がしています。正規化されたデータというより、非正規化された情報とかですね。トレンドとか、人の気持ちの中にあるデータ化が難しいといわれる領域のものです。個々に訴求するマーケティングって従来の正規化された定型データのインプットはもはや当たり前の世界で、そこに非定型データを如何に組み合わせて効果的なマーケティングに繋げていくかという所が大切だと思うのです。この絵でそれがどういうように扱われているのかという所はよくわかりません。
 それから、データ統合と簡単に書いているわけですが、データハブのような形で蓄積されるだけでは有効活用されませんし、できません。データ統合の所からWEBCASに連携する相互矢印がどのように作用しあうのかというところはとても大切な部分です。データベースの世界でいえば正規化データであればDWS(データウェアハウス)→DM(データマート)という構造の中でどう後続の機能で使われるかを想像して設計されるわけですが、ここで単なる正規化データだけでは深度のあるマーケティングやその後ろにあるカスタマサクセスはなしえません。この辺りの工夫や展望はもう少し勉強しないとなりません。少なくても私はバカなので、この絵だけでその裏側の巧みさへの想像がまだ足りないと自覚しています。
 それから最後の共有の所です。WEBCASに連携する別システムでカスタマサクセスの世界での共有で何かをしようとしているってことなんですかね。WEBCAS内で蓄積される傾向分析結果はデータ統合側にFBされるものなので、その意味での共有ではないと思うのですが、そもそも共有ってなんなんでしょうか。基本的な事が私にはわかっていないようです・・・(失笑)。

 ということで、一通り眺めました。まぁ上期の終了という時点の期中の状況ですからね。一つ一つの事象に対してサプライズを期待しているわけでもないですから、じっくり応援するスタンスでいきたいと思っています。とはいえ、この決算だと株価は下落しそうですから、また試練の時となりそうですね。まぁ慣れているのでそれは大丈夫なんですが、それより、会社の目論見通り、25%成長への回帰等を含めて成長を期待しています。来期の今位からは償却負担も減ってくるタイミングなので、とりあえずあと1年は我慢ですかね(笑)。

 頑張れ、WOW WORLD!

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