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OATアグリオ(東1/4979) 株主総会レポート 2022/3/30

 東証1部上場のOATアグリオの株主総会に出席しました。当記事では、株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当記事は私の個人的な心証に基づき脚色した内容であり、業界にも全く知見はないため内容の正確性は保証出来ない点はご了承頂ければと思います。
 以下画像より私のツイッターアカウントへリンクを張っています。記事の内容についてのご指摘、ご質問、感想などがございましたら、お気軽にコンタクト頂けますと幸いです。頂いた内容は、私の学びにもなりますのでぜひお願いできればと思います。
 なお、当記事は同社の株式の売買を推奨するものではありません。ご自身の投資判断に基づき対応頂けますようお願いいたします。

1.はじめに

 OATアグリオさんは2014年にIPOされたと思いますが最近株式を購入するまで保有した事はありませんでした。このため、今回初めての株主総会出席となります。ちなみにIPOの際につけた初値と今の株価がほぼ同一なんですね。8年程度の期間を経て株価は一度は2倍程度まで上昇しましたが、華麗なる行って来いをしていることになります。当時からみるとEPSもBPSも大きく伸びているわけですが、こういうのをみていると株は難しいな~って思いますね。まぁ私が下手くそなだけなんですけどね(笑)。

2.株主総会の流れ

 それでは、まずは当株主総会の全体の流れについてご紹介します。あくまで手元の時計でのざっくりしたものですので、大雑把な雰囲気を感じて頂ければと思います。

10:00 開会 (岡社長)
10:01 議決権個数の確認(省略)
10:02 監査報告 (省略)
10:03 報告事項 (ナレーション)
10:16 対処すべき課題 (岡社長)
10:40 議案上呈 (岡社長)
10:43 質疑応答 
11:07 議案決議
11:10 閉会
11:11 新任取締役挨拶

 まず冒頭、議決権個数や監査報告は一言ずつ補足のみで省略して進みました。監査報告の朗読会は不要でいいと思いますが、議決権数の数くらいは軽く読み上げてもらってもさして時間は変わらないと思うのですが、感染症対策という事で出来るだけ時間を省略したいとの説明を受けての対応でしたので致し方ありませんね。
 一方で報告事項はナレーションながら、対処すべき課題は社長の口から厚めに話をされていました。特にローリングされた中計の内容は、開示済の資料ではありますが、スライドを使って丁寧に説明されていた印象です。ですので、比較的メリハリがついていてよかったかなと感じました。
 ただ、全般にいえる事なのですが、岡社長の話し方のトーンがやや暗いというか堅いというかで、なんというかもっと活力ある感じでもいいのかなという印象を持ちました。これは会場側が関係者株主ばかりという背景もありそうです。

 個人投資家というか、そもそも私服だったのは私ともう一人くらいだったように思います。あとは背広をお召しの年配の方が多く、しかも開会前に結構相互にご挨拶をされたりしていましたから、関係者の方なのだと思います。しかもツイートもしたのですが、廊下で呑気に天気の事を話していたら、実は初代社長?だったっぽかったりと油断も隙も無いって感じでしたね(笑)。

 まぁそんなわけで、粛々と進めていかねばならない雰囲気の中で、比較的淡々とちょっと堅めな感じで進んでいきました。

 私の投資先としては珍しく、同社の名前は個人投資家界隈でもたまに見聞きするのですが、反面、総会の出席者となると皆無でなんというか肩透かしにあったような感じでした。というのも、私は同社の理解が浅く、しかも化学セクターなんてまるでわからないので、むしろ周囲の質問に学ばせてもらおうと思っていましたからね。全く個人投資家っぽい方おらず意外に感じました。

 それでは拙い理解しかない同社の件について、簡単に中身をご紹介していきたいと思います。

3.報告事項

 まずは報告事項はナレーションによるものでした。

 まずはマクロ環境の解説からです。わが国経済は・・・から始まりましたね。そして農産業においては食糧問題を背景とした生産量の拡大と持続性の双方を両立する対応が不可欠となっており、環境面に配慮したシステムが求められているという状況との説明に続きます。農水省が今後の生産拡大と持続性をイノベーションで対応していく包括的な方針として、みどりの食糧システム戦略が発表された旨の案内がありました。この国の方針については、当社として食糧増産技術(アグリテクノロジー)を活かしていく上でマッチしているということです。SDGsの中で食糧問題に対応していく点でも貢献できるということです。
 人や環境にやさしい農業技術を展開していくにあたり、当社としては中期経営計画を掲げて取り組みを進めているということです。生産と研究開発を推し進め世界的に求められている食糧問題の対応に当たっていくということで、その成果として増収増益決算の定量面の説明となりました。

 各分野の強弱についての説明もありましたが、この辺りは決算説明資料にも記載があるため、特段目新しい情報はなかったかと思いますが、もう少しブレークダウンした数値が流れていたかと思います。

 研究開発関連の説明では、気候変動対応が重要性を増している中で、農産物の生産量を増やしていく必要性の一方で、耕作地をむやみに広げていくこともまた課題が多いため、単位面積当たりの生産効率を上げていく事が求められているという中での活動ということですね。世界の食糧の8割は植物性由来でありながら、その生産量の4割は病害虫等の被害で失われており、この逸失分をいかに低位にさせ、安心安全の裏付けをもって対応していけるかが重要な課題であるという環境なのですね。
 そういう点で、鳴門での生産拠点を持つ当社が実際に栽培を手掛けながら研究開発が出来る強みを発揮していけるという見立てのようです。この後、個々の活動にもある程度丁寧な説明がありました(私の理解が浅く、フーンとなって終わりましたw)。
 そんな中、バイオスティミュラントとスマート農業に注力している印象でした。スマート農業については、いちご生産の自動化をサービス提供型で提供していくモデルが紹介されていました。昨年秋にリリースされていたものですね。

 全体的にそつがない説明というか、まぁナレーションによる案内なので、そういうことになるのですが、私の業界理解が浅いこともあり、表面的にしか捉えられないあたりが辛かったですね。

4.対処すべき課題

 対処すべき課題は岡社長自らご説明です。

 対処すべき課題は招集通知に記載されている内容に沿った説明です。とはいえ、項目を挙げたあとは朗読をするわけでもなく、さくっと終わらせていました。この辺りは案外割愛して進める冒頭の流れを汲んだもののような気がします。
 一方で、この後、当社の状況の説明や中計の説明に続くのですが、そちらは丁寧に説明がなされていた印象なので、ある程度メリハリをもった内容でよかったなと感じました。
 まず会社の状況としてプロフィール情報の説明がありました。まず社員のうち海外籍の方が多い点と研究開発要員がきちんと示されているあたりに当社の特徴が感じられました。説明でも売上の10%を研究開発投資に回すという方針も改めて説明されていました。またグループの紹介として以下のスライドを使った説明をされていました。世界各地にグループ会社をもっているということですね。

 中計の部分では1年前倒しで達成出来た事もあり、当社としては更に成長を企図してローリングを行い、より意欲的な目標を掲げたという説明がありました。これまで海外投資等で一時的な落ち込みなどもあったものの、ようやく今後の拡大期を迎える素地が整ったという段階にあり、今後の展望を明るくみている様子が窺えました。

 また、プライム残留についても節々に引用されていたこともあり、これを成長を実現させていく事で流通時価総額を確保していく姿勢が示されています。自己株買いや配当政策などあらゆる面で考慮された設計がなされているような気がしますね。

 成長の部分では、まず環境として農薬分野では世界的なマーケットは今後平均2.3%成長と緩やかな成長が予想されているようですね。国の方針としてみどりの食糧システム戦略が構想され、持続性の観点から農薬の使用量等にもより厳しい目線が注がれるなど一見するとネガティブにも見える要素があるものの、これらはチャンスになるという説明だったかと思います。省エネ型の施設園芸が増えていくという潮流の下では、スマート農業の取り組みにより最適化、省力化を図れることが訴求ポイントになっていくと考えているようです。農薬等の使用量についてもグリーンプロダクトのラインナップの充実や、農薬に頼らない生産技術としてのバイオスティミュラント技術で先行している点などでこの戦略の方向性にマッチしていると認識されているようです。肥料の使用についても、施肥灌水技術などの適用により実現されていくものでありフォローであると。

 中計の活動としては成長ドライバへの投資に加えて、ここに記載の項目に取り組んでいくという説明です。まず新製品投入については、2024年期間までに12種類の新商材をバランスよくリリースしていくということです。線表等も開示資料に出ていますね。

 スマート農業は昨年10月のいちごマスターをまず発表してますが、この辺りの説明です。鳴門の研究施設では構築したこのシステムを使ったグローバルギャップを取得し、既にいちごの販売も開始しているようです。そしてこのシステムに更にAIカメラや測定器などを追加実装し、省力化と効率性を兼ね備えたシステムに進化させたものを構想しており、これをサービス型として新規就農の方を含めて展開をしていく展望のようです。当然、既存のバイオスティミュラント技術などを含めてトータルパッケージとして展開し、利用料課金で展開していくようですね。宮崎県の新富町と連携協定を結び、アグリバレーと称した構想に参画し、共に新たな価値創造まで見据えた活動を行われているようです。

 グローバルシナジーについては、各社との連携にあり方を模索されているようですが、あまり具体的な説明がありませんでしね。過去に買収した各社がもつ商品を今後市場にそれぞれ投入していく中で、包括的な対応を企図していく事がかなうのか、それがシナジー発揮の強弱に繋がるようですが、それが本当に相互補完になるのか、漫然となってしまうのかは結構悩ましい問題だなとも思います。この辺りは、各社の持つ特徴や製品力、チャネル力などもう少し勉強しないと何も論じられませんね。

 成長ドライバについては以下のスライドですね。

 グリーンプロダクツは農薬なので、使用回数に制限のない安心安全の商材を扱っている。こういう商材を上手く訴求させていくことで、3年間で1.5倍に拡大させていく目標とのことです。
 バイオスティミュラントは最近では競合も参画を始めているもので、植物がもつ免疫を高める作用をすることで、農薬や肥料に頼らずとも生育をサポートできる技術ということで注目を集めています。この3年で2割強の売上増を見込まれているとのことです。

 持続可能性についての説明が重なるのですが、サステナビリティレポートを開示するので是非見て頂きたいとのご案内もありました。

 最後には、当社の独立以来の目標としてきた、売上300億、営利30億を研究開発を30億投入してもこれを実現するという目線を通過点として、この中計、その先を見据えて頑張っていきたいという意欲も示されていました。また財務基盤の安定という意味で、自己資本比率を向上させていくことを企図している点も説明がありました。かつて買収で借入を増加させていたので、今はその返済等で改善途上ということですからね。還元についても言及があり、今後も安定配当と増配を視野に拠出していきたいとのことでした。

5.質疑応答

 質疑応答です。ルールは1回につき1問を簡潔にということです。私はまだ当社の理解が浅いため、質問は4問用意してきました(笑)。★印が私が発した質問です(レベルの低い内容で恥ずかしい…)。
 なお、QAに関しては、私の主観を200%反映して脚色して記載しています。従って、悪意なく誤認している可能性がありますので、その点ご了承下さい。
 全般的に事業の内容については所掌の取締役に回答させていたのは良かったと思います。社長だけがずっとお話になるより、様々な取締役が発言された方が雰囲気も感じられますし、人となりもわかるのでいいですよね。

★Q 中計の達成に向けたポイントと数値目標の感触について
 中計の1年前倒しにより、意欲的なUPDATEに期待をしているが、この方針の中身における施策の目玉についてお伺いしたい。中計の活動方針として、新製品投入、スマート農業、グローバルシナジーの最大化を掲げられている。その中で、新製品投入やグローバル展開は従来から取り組まれてきたことと思うし、スマート農業もいちごマスターの立ち上がりを拝見していても現状では全社レベルで劇的なけん引役となるようなポテンシャルとはなかなか受け止められないのが実感。そんな中でも意欲的な数値目標を掲げられてるため、従来の取り組みからどの部分が大きなチャレンジとなる目玉なのか、どういう要素が計画達成可否に最も重要な事だと捉えられているか教えて頂きたい。
 また、数値目標も有報上の経営目標である利益率7%以上、ROE10%以上を上回る水準で目標設定されているが、有報上の経営目標指標との平仄をどう捉えられているか。またこの期間では先行投資等もあるだろう中で、毎期着実に数値が伸びる内容であるが、保守性も含めてどのような見解か。
A
 (北口氏@経営企画室所掌)
 一年前倒しを行ってきたわけだが、愚直に一つ一つの製品を海外含めて登録を行い展開をしてきた努力が結実した結果であると受け止めている。地道なこういった活動を継続している事で、今後も目標を示しているターゲットに向けて歩んでいけるものと考えている。農業分野においても足元でも様々な変化がある中で、農薬・肥料の展開ということだけでなく、スマート農業はもちろん、3つのアグリテクノロジーをコラボさせて生産者の方の悩みに寄り添い解決していけるかが試されていることと認識している。
 また、いちごマスターでも説明した通り、篤農家(とくのうか)の技術をいかにデータ化等を施し再現し、新規就農者でも立ち上がりよく取り組んでいけるか、またそのノウハウを活かすことで、生産力を挙げていけるかという事が食糧問題対応にも資するものであると考えており、データ活用による取組も大きく期待を寄せている所である。
 (岡社長)
 3つのアグリテクノロジーのスキルをセットとして保持しているのは当社だけである。この強みを活かしていく事が重要であると考えている。そのためにも生産者の方にこの組み合わせ技術の訴求点をきめ細かく説明を行っていき愚直にこの展開を進めていくことで、中計目標も自ずと達成されるものと認識している。
 数値目標の策定にあたっては、各G会社の状況をボトムアップで精査して積み上げており、我々として自信をもって開示したものである。
■考察
 漠然とした質問だったのでお困りになっただろうと思います(汗)。にも関わらず丁寧に答弁頂けました。全体を通してとても地味ですよね。中計の目標達成に当たり、前倒しで推移して数値も上方修正をしているわけですが、それは何か特別な事があったわけではなく、愚直に現場の皆さんが生産者さんに寄り添い理解を広げていく中で成しえた事だし、今後も別に特別な施策があるわけではなく、この地道な活動を拡げていくというわけです。3つのコア技術を組み合わせて、当然そこに派生した商品展開も重ねながら悩みに寄り添っていく事で到達できるという内容です。
 答弁の中で何か新たにワクワクさせてくれるような要素が薄いわけですが、私は地に足のついた活動だなとも感じました。数値目標の感触もニュアンスからは一定の保守性をもって策定されているように感じましたし、会社の色としての雰囲気を感じ取る事が出来ました。
 篤農家の文脈は面白いですよね。スキルそのものが占有的になりがちな中で、それを標準化して、パッケージ化出来ることにより、全体最適を図れる事に寄与できるというのは素晴らしい事だと思います。競合会社でもあり上位位置でもある住友化学や日本農薬の資料と比してみると、当社の提供スキームはソリューション色が強いんですよね。商材を棚取りして展開していくというのとは違う面白みがあると思いますし、そういうソリューションをスキルの組み合わせで愚直にやっていく事への意義やその重要性が改めて感じられました。

Q バイオスティミュラント分野の展望について
 前期の実績も好調であり株主としても大変感謝している。なぜこれだけ順調だったのかと考えた時、バイオスティミュラント分野の貢献が大きかったのではないかと考える。一方で、この分野は新規参入も盛んになっているとの説明があったが、本当にこの分野のニーズが高まっているということであれば、今後なお一層の強い競合も出て競争も激しくなるものと考えるが、そのような環境下で当社はどう対応していくのか。
A
 (岡社長)
 ご指摘の通り、前期に好調だったのはバイオスティミュラントの効果が多 な要素であった。そしてこの分野で競合も出てきている事は説明の通り。
 (日高氏@肥料分野所掌)
 今後もバイオスティミュラントは伸びていく領域であるし、故に今後の新規参入も含めて競合会社は出てくるものと我々も考えている。しかし我々の最大の強みとしては、バイオスティミュラントだけを扱っているわけではなく、灌水技術を含めてスキルや農薬等商材のミックスなど多面的に対応していける事である。そしてこのようにミックスさせた導入事例をどんどん積み上げていき、実績を訴求していく事で優位性を築く事が出来るものと考えている。
 (岡社長)
 加えて当社は研究用の栽培現場を持っていることもあり、多面的な対応を行った際に、バイオスティミュラントを使うことでの様々な作物に対する効能などデータを取ってそれをアピールする事が出来る点も訴求していきたい。このような実績データに基づく対応がとれることは、競合会社と比して生産者さんとも近い距離で対話できる点が優れていると考えている。
■考察
 謙虚さと自社の強みのバランスが取れた答弁だなと感じました。質問者さんは恐らく相当お詳しい方の雰囲気がありましたが、バイオスティミュラントという一種の流行りに対して、冷静に市場動向を見た質問だったように思います。そして会社側も競合や今後の展望も決して楽観せず見ている様子も事業所掌の日高さんの言い回しから感じ取れました。しかしながら、当社の多面的な対応が取れる体制や、データに基づく対応が取れるという点はいいですね。しかも、生産者さんと近い距離で対話できるという事が実現出来ているとしたら、地道な活動ではありますが意義あることだなと感じました。

Q 【コメント】研究開発活動について
 研究開発活動には日々努力されている事と思うし、その難しさも認識しているが、まだまだそこから出てくる商品力に魅力を感じられないというのが率直なところ。こういう時は従来の目線を変えてみることも重要かと思うので、頑張って頂きたい。
A
 指摘の通り、まだまだ力不足という点は承知している。目線を変えていくというアドバイスも含めて様々な検討を今後も重ねていきながら努力していきたい。
■考察
 前の質問者さんと同じ方ですが、配慮あるトーンで質問されててよかったですね。私はどの部分が力強さがないのか、どうなれば力強いのかわからないのですが(笑)。ただ、こういう叱咤激励を出来る事も素晴らしいことですね。研究開発の成果って一朝一夕には出ませんし、特有の難しさがあるわけですが、今後も頑張って頂きたいですね。

Q 新規就農家に対する期待
 農地の宅地化に係る課税の制度の変更等の背景から、今後都市部においても観光農園等の展開が進んでいく事が予見される。政策動向をみていても、都市部に存在する農地は災害対応等の観点からも観光農地や農業法人向けへの転換などの動きもあり、小規模開園のニーズも高まってくるものと考えられる。こういう動向下では、当然、新規就農される若い方も増えてくると思う。
 従って、当社のスマート農業技術も含めて展開余地は大きいと思う。いちご園を作る上ではアグリオいちごマスターがあるという状況が作れると全国展開的にも面白いと思うが競合関係含めて見解を教えて欲しい。
A
 (岡社長)
 アグリオいちごマスタは鳴門で長年研究してきた結果として、確実に栽培できるスキームを確立する事が出来たわけで、今後これをどう展開していくかというフェーズにある。なお、足元では大変強い引き合いを頂いている状況であり、我々もこれから参画していく次第。
■考察
 農地化の話はスルーされていましたが、意図的というより、質問者さんがいちごマスタのシェア率等を含めて発言されたので、いちごマスターの件で答弁されたようです。ただ質問者さんの前半の部分は結構興味深い動きだと思っていて、最近市民農園などを含めて就農者が増えていますよね。当然個人でスマート農業を導入して本格的にやろうって人はごく限られるとは思うのですが、こういう動きにはもう少し敏感になってもいいのかなとも感じます。ホームセンターなどでも園芸用品の売り場は結構盛り上がっているのですが、やはり圧倒的に住友化学の製品が圧倒していますからね。
 いちごマスターは以前にIR照会をさせてもらった時もそうでしたが、EXPOなどの展示会などを通して大変引き合いが強いようですね。今後どういう立ち上がりをしていくのか楽しみです。まずはホームページとか作ったらいいと思うんですよね(笑)。

★Q 社外取締役の選任について
 現状では士業の先生と学者さんの構成となっているようで、これはこれで心強いわけだが、グローバルでの事業経験者や規制当局の動向に精通した方、更には農業関連の人材など、よりより多様的な参画があってもいいかなとも思う。人選に関してどのような観点で検討されているのか、今後の方針も踏まえて教えて頂きたい。特に社外取締役は往々にして形式的な人数充足のための登用などが散見されるものの、当社はこれからも新たな成長意欲を持った会社のため、多様的な人材登用で期待をより高めていって頂きたいと期待をしている。
A
 今回プライム市場を選択したということで、まずは1/3の社外取締役を確保していくという点を踏まえているもの。正直なところ、独立性を保持しておりかつ専門的な方というのは人選が難しい状況という所はある。しかしながら、我々が成長していく上で、様々なバックグラウンドを持つ方を見つけていく事を考えていきたい。
■考察
 独立性を持って専門分野ある方がなかなか難しい側面があると仰られていました。しかし、例えばグローバル展開時の経験者とか、もう少し農業に捉われなくてもいいし、その方がいいのではないかとも思います。各現地法人間でシナジーを出していけるような経験をされた方でもいいと思います。あるいは農業法人の理事とか、JA出身の方とかですね。地方創生に絡んだ方でもいいと思いますし、役人経験者でもいいと思います。(当社が利用しているか定かではありませんが)人材紹介会社にお任せだけだと知見も狭まりますから、ぜひ多面的な人選を今後検討していって頂き、それがひいては当社の価値向上に加速度と多面性をもっていかれるように期待をしたいですね。

★Q 【コメント】IR活動の充実化について
 IR活動は年に1回の機関投資家向け説明会と年に1回のアナリスト協会主催の個人投資家説明会を実施されその資料がIRページに公開して頂いている。当社はプライム残留に向け流通時価総額の底上げのために様々な施策を打ち出されているすが、継続的に広く当社価値を向上させていくためには、より充実したIR活動を期待したい。例えばQAを含む決算説明会の配信など。個人株主に対してもフェアディスクローズの観点を大切にされ、今ではリモートで気軽に発信できるようになっているので敷居も下がっている事と認識している。頻度も年に一度という事ではなく、半期であるとか中計更新時などより積極的な発信機会を検討頂きたい。日本農薬さんや住友化学さん等の競合他社でも動画配信等対応をなされているのでぜひ、当社の更なる認知度向上や企業価値向上に資する活動として検討を頂きたい。
A
 現状で出来る範囲の事を進めようと取り組んでおり、例えば海外にはあまり目が向いていなかったものの、今後の事も考えて英文開示を進めるなど対応を進めていきたいと考えている。
 国内についても可能な限り参加しているつもりだがコロナ禍の下で機会が抑制されてきたという側面はあるものの、企業価値をあげていくためには重要な施策だと捉えているので、今後も一層努力していきたい。
■考察
 個人投資家向けはアナ協さんの主催のものに参加されていますが、またこの会が微妙でして、もう少しいい場所を選べばいいのにな、とも思いましたがさすがにそこまで言及できず(関係者いるかもしれませんしね)、マイルドな言い方になってしまいました。ただ、岡さんがもっと露出した方がいいとも伝えたので、ぜひ頑張って頂きたい。その時にはもう少し明るく語られるといいとも思います(笑)。
 ただ、答弁の中で国内で参加できるものには参加しているというニュアンスは気になります。受身的なんですよね。そうではなくて、iPhoneと会議室があれば録画して配信なんて簡単でしょうから、リアルタイムでなくても自社で録画を配信するでもいいと思うので積極的な発信を期待したいです。株主総会に個人が全くいないため、発信のやり方やした所で・・・というような心象にもなってしまうので、もっと個人投資家がよってたかって激励の声を届けることによって会社も変えられるのではないかと思います。

★Q 【コメント】配当政策について
 配当政策について、当社は配当性向を20-30%と幅を持たせた上で安定配当を方針とされている。企業価値を高めていくためにも安定配当、かつ減配をしないこれまでの方針はありがたいものと思っている一方で、安定配当を謳うのであれば例えば自己資本配当率(DOE)をセットで示すことでよりメッセージが伝わると思う。また、上期偏重の業績もあり、期末一括配当とされているものと理解しているが、中間配当を実施された方がより長期株主に支持されるとも思う。単にプライム残留のための政策と認識されぬよう、中長期的な還元姿勢を示す事を期待したい。
A
 安定的に配当を出すという事が大事であると認識しており、まずは今の枠組みの中で安定的に配当を出していく事を継続していきたいし、提案のあった中間配当についても前向きに検討をして参りたい。
■考察
 DOEとかにも言及してみましたが、まぁ安定配当を持続していきたいというニュアンスの事を仰られていましたし、中間配当についても検討されるとも仰っていました。いずれにせよ還元策については今の状況下では積極的な政策が続くものと思います。今後の方針を立てていく上でもこういう小さな声や期待が届いていることを期待したいと思います。

6.さいごに

 この後、拍手でもって決議を取り閉会となりました。

 全般を通してまず社長のトーンが粛々としていて、熱量みたいなものを感じづらかったです。とはいえ、説明や答弁の内容は地に足のついた内容だと思いました。決して派手な会社ではなく、むしろ地味過ぎる会社だと思うので、こういう実直な部分と食糧問題にあたるという意味での意義が正しくマーケットにも認知されていくといいなと思います。

 ロシアの兼ね合いで製品価格の上昇期待とかそういうテーマ性とかではなく、あるべき今後の長期需要の中で、当社がアグリテクノロジーを駆使して、生産者や消費者のために一次産業の発展のために寄与していくれる将来を期待しています。
 投資家目線でみると、プライム残留のため時価総額上昇の施策がとられやすいという部分で一種ボーナスステージ的な要素もあるのですが、そういう部分には敢えて目を向けずに私はありたいなと思います。

 頑張れ、OATアグリオ!


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