シュッピン(東証プライム/3179) 株主総会レポート 2022/6/23
東証プライム上場のシュッピンの株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、当レポートは私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もありますのでご容赦頂ければと思います。ご指摘、コメント等ございましたら、ぜひ私のツイッターアカウントより頂ければ幸いです。
まず、冒頭で前回の株主総会記事を紹介するのですが、コロナ禍等もあり、長らく同社の株主総会はご無沙汰でした。というわけで、ここでの再掲は省略したいと思います。
1.基礎情報
まずは、総会の全体の流れを整理しておきます。時間は手元での時間ですので、誤差があると思いますので、イメージで捉えて頂ければと思います。
10:00 開会 (小野社長)
10:03 議決権数の確認(事務局)
4,874人/12,122人(40.2%)
146,457個/209,705個(69.8%)
10:04 監査報告(米田氏)
10:05 報告事項・今後の取り組み施策(小野社長)
10:15 対処すべき課題 (小野社長)
10:20 中計施策説明 (小野社長)
10:27 DX経営について(澤田取締役)
10:31 ESG経営について(齋藤取締役)
10:34 議案上呈(小野社長)
10:38 質疑応答
11:27 決議
11:30 閉会
2.開会までの過ごし方
それでは、開会前の様子から緩々と書いていきたいと思います。
会場は新宿駅から少し歩いたオフィスビルです。毎年ずっと同じビルです。いつものように電車遅延があってはいけないので1時間程度余裕を見て現地に到着します。新宿新都心に向かう新宿駅西口は、東口とはまた一味違う雑然さを備えていて、そこをオフィスワーカーの方が早足でそれぞれに歩みを進める無機質な光景が広がります。梅雨時のどんより雲に、纏わりつく湿気が、朝の爽やかさをより喪失させます。
会場となるビルに到着すると、そのエントランスにあったカフェが閉店し、ものけのからになっていました。これもまたコロナの影響なのかと感傷に浸りながら、そのビルに入っていきます。早い到着という事もあり、エントランスにもプラカードをもった案内の方も当然のことながらまだ控えていませんが、勝手知ったる会場ということもあり、当たり前のように会場に続くエスカレータに乗ります。この時、時計は9時ちょうどくらいでしたが、そういえば受付開始は9時30分。毎年早くに参上し過ぎて反省していたはずなのに、また今年も早くに到着してしまった事を恥じ、2階にあがるなりそのまま下りのエスカレータに即Uターンしてエントランスに戻ります。幸い会社の方々の目にも触れることなくセーフでした(笑)。そして我ながらこの挙動不審ぶりにエントランスにいるガードマンの方の視線もなんだか気になります。実際には自意識過剰なだけなのですが、なにかやましいことがあると気になるものです。一度ビルを出て様子を見る事にします。
様子見として一度出てきたものの、ムシムシしているし、その無機質な人の往来だけがそこにはあって退屈です。実際問題9時30分受付開始となっていて、何時なら許容範囲なのだろうかと考えを巡らせます。コロナ前でお土産があった時には、受付開始前にも人がちらほらやってきてはお土産だけもらって帰るという方もおられたのですが、お土産のない中で、そんな奇特な人はいないわけですよね。
結局9時15分を少し回ったくらいの頃合いで、再度エスカレータでちょっと勇ましい気持ちをもってフロアにあがっていきます。とはいえ、最大限の早く来てしまってすみませんを体現しながらぺこぺこしながら受付のある方へ進みます。即座に、係の方がご挨拶に来て下さり、もう少々お待ち下さいませと案内をして下さります。改めて最大限の恐縮の意を示して、そのご案内を受け止めます。
そして受付から少し離れた所でなんとなく皆さんの様子を観察しながら邪魔にならないよう存在感を消して待っていたわけですが、先ほど私が勇んで乗り込んできたエスカレータから、スーツを着こなした紳士があがってきます。小野社長です。片手にはアイスコーヒー(ブラック)を持ち、バッグもラフな感じでの登場でしたが、数年越しではありながらもお互いに即座に存在を認識し合い、「あぁ、まるのんさん(実際には私の本名)!お久しぶりです」、みたいな声を掛けて下さりました。私もご無沙汰している旨のご挨拶をさせて頂きました。こんな(ラフな)感じですみません、と仰りつつ、久々の再開を喜んで下さっている(少なくても表向き上は)のは私としても大変嬉しかったです。
そして実は、直近で決算や総会運営、IR対応の在り方について、喧々諤々とIR担当の方とやり取りをさせて頂いており、かなり不躾な提案などもいくつかしていました。そしてその私の些細な声は、社長にも伝えて下さっていたこともあり、そのことにおいても小野社長は大人な対応で、色々なご意見やアドバイスをありがとうと感謝の意を述べて下さいました。私は逆に社長にまで詳らかに伝わったかと思うと恐縮してしまい、その気持ちと共に、そういう声にきちんと寄り添おうと思って下さる点への感謝をお伝えしました。双方がお互いの立場をわかりあって、様々な壁を超えて近い距離で対話が出来る事は大変貴重なことですし、お相手あっての事なので、このご縁に改めて感謝したいなと思いました。
またこの私の声に対しても例えば中計説明会は様々な判断があって中止とせざるえなかったのだけど、きちんと総会内で説明を尽すとか、質問も(1人1問等という表向きの体裁は別にして)可能な限り対応したいという事も仰って頂きました。こうやって声がちゃんと届き、アクションがみえるのはとても嬉しいことですし、投資家冥利に尽きるなと思うわけです。小さな小さな一歩、そして自己満足なのかもしれませんが。
この他にも退任した辻本さんの事など昔話もさせてもらい、僅かな時間ではありましたが楽しいひとときとなりました。そしてその場でIR担当の方も社長自ら紹介して下さり名刺交換をさせてもらいました。私は投資家としての名刺は持ち合わせてないので、本業の会社員としての名刺を差し上げるのですが、それでいいのか、未だに悩ましい所ではあります。
一度その場を離れられたのですが、取締役の齋藤さんを連れて来て下さりご挨拶をさせて頂きました。澤田さんはずっと昔からの役員ですが、齋藤さんはまだ着任後そこまで日が経っていないので、そういう配慮をして下さったのだと思います。
そんなこんなで開会前に相手を感じられる機会があって、これはちょっと困ったなとも思いました。今回用意してきた質問は10問。その中には一連のIR活動への不満や改善を相応の強いトーンで促す原稿も含まれています。しかも第1問目です。いきなり棘のあるような質問もやむ得ないと思っていましたが、流石にそんな度胸もないんですよね、超小心者なので(笑)。
そうこうしていると受付が始まり、会場に案内頂きました。入口では消毒と検温です。会場は長机1つに2席ですが、実質1人が1机を使う感じで、1脚は荷物置きという感じです。特に資料もなく好きな所へどうぞという感じです。会場入り口にはペットボトルのお茶が用意されています。1Fのカフェのケータリングコーヒーが以前はあったのですが、今はお店がなくなってしまいコーヒーはなしです。
確か同社の株主総会では会場に高らかにクラッシック音楽が流れていた気がするのですが、そういえば今回は流れてなかった気がします(私が意識してなかっただけかもしれません)。机がざっと30個くらいなので最大60席暗いという感じでしょうか。最終的な参加者は15人位だったと思います。
待っている間、ちょっとした小競り合いがありました。ある株主さんがマスク未着用だったので、スタッフの方が、会社で用意したマスクを渡し着用をお願いしていたのですが、飲み物を飲んでいるとか、何かと理由をつけて着用を拒否をしていました。しばらくしても着用されていなかったので、上席の方(と思われる方)が改めて協力を要請されていました。それでもなんちゃらゴネていて近くにいる身としては大変気分が悪いものでした。
マスク着用の是非には様々な意見や立場がある事を承知していますし、中には事情があって着用が難しい方もおられるでしょう。しかし、ここは我を通してよい場所ではありません。会社が運営に協力を要請している中で、強力が出来ないなら来場を見合わせるとか、事情があるなら先に申し出て対応をお願いすれば済む話です。確かに会社側も一方的にマスクを渡し協力を依頼する前に一言事情があるか聞いてからでもよかったのかもしれません。百歩譲って着用しない中でも要請があったら着用するのが大人な対応だと思いますし、わざわざ会場内でそういう小競り合いなんてみたくないんですよね(最終的にはその方もマスクを着用されていたようです)。
開会前には小野社長が登壇席でPCの様子等確認されたりして、距離感も近いですね。普通は役員は開会直前まで控室に籠って、立ち会わないようにと化している会社が多いですからね。そんな中で、私も質問の順番やトーンを入れ替えます。原稿をそのまま読むわけではないので、原稿に手を入れるというより、ちょっとした言葉の使い方を変える感じです。もちろん、それでも言うべきことは言わなければなりませんからね。
3.議事進行
それでは、ようやく総会の中身に入っていきます(既にここまで来る前に読むのを離脱してしまった人多数と思われますが(笑))。
冒頭で、アクリル板設置のためマスクを外しますとの宣言が小野社長からなされました。そして感染対策を十分とっていることから、報告事項等に加えて、招集通知の議事には記載がないものの、進行期の取り組みや中計の説明も実施したい旨、案内がありました。そして質疑についても十分審議に時間を尽したいとの頭出しがありました。株主総会案内には以下のような文書が添付されていました。
現下の状況下で、新中計発表というタイミングでその説明をしないという選択を取り、またそういう重要局面で1人1問とわざわざ制限するのはどういう了見か、と事前にIR担当の方ともやり取りをしていました。そもそもこの総会のこの部分に特化したというより、IR発信全般について意見を交わさせて頂いており、その一環でこの件もやり取りしていました。
事前に聞いていた通り、その後の感染状況や社会情勢等も考慮して中計の説明等も織り込んで運営するという言質を得ていたのですが、それが冒頭できちんと改めて宣言頂いたことはよかったと思います。
一方で、こういう姿勢に萎えて、参加を見合わせたりあるいは失望して株を売ってしまうという方もおられたかもしれません。ぜひシュッピンという会社の魅力がより広く伝わると共に、そういう姿勢を発信する事で魅力が伝搬していってくれたらいいなと願うばかりです。
・報告事業
そして報告事項に入っていきます。事業報告からですが、招集通知の朗読とかではなく、スライドを使って小野社長がプレゼンをしていくスタイルです。小野社長は早口で有名(?)ですが、今日は久々だからなのか、いつもに増してそのように感じました。なんというかわかりやすくいえば、youtubeを2倍速で聞いている感じです(笑)。なので、聞いている側も緊張感をもって聞いていないとどんどん流れていってしまいます。
ただ、最初の1分で気が付いたのですが、私の知る数年前の小野社長ではないのです。以前は早口な上に、緊張をされていたのか、内容が伝わりにくいシーンがあったのですが(失礼)、明らかに人が変わったように堂々と自信と活力が漲っているようにお話をされています。役職が人を育てると言いますが、本当にそうなのかなと感じさせるくらいに旺盛でありました。
最初のスライドは以下だったと思います。AIMDの状況についてですね。数値が先に来るわけでもなく、またわが国経済を語り始めるわけでもなく、一番伝えたい取り組み成果について冒頭に語られていることも、自信をつけた証拠なのかなと感じました。
1Qで粗利率が高く取れた一方で売上がやや弱含みを見せていた事もあり、2Qでチューニングをかけたようですね。結果、3Q以降では更にチューニングを行い、顧客と当社の間でもっとも居心地のよい部分にもっていく事ができましたということですね。
ところで、この絵って私が頭が悪いから理解できないのかもしれませんが、各Qの円の大きさって何を表しているんでしょうね。粗利率の上限の範囲を表しているんですかね。これ、どうせなら、売上規模感を円の大きさにするとよりわかりやすかったのかなとも思うんですよね。粗利率が凸凹したのはチューニングによる試行錯誤の結果ということで、この絵から口頭で説明のあった売上のバランスも同時に表現できたらより良い資料になるのにな、と感じました。
次はこのAI活用2弾の説明として以下のスライドです。
同社では多くのストック記事を社員の皆さんらが執筆され、写真の楽しさなどをそれぞれのレイヤーで訴求するようなものが量産されています。これを顧客セグメントをAIが判読して自動で適切な記事を配信することで、コンバージョンを高めていくという施策ですね。
続いて、時系列の話です。
同社にとって、実店舗を持たず、EC活用で成長してきたというところが収益モデルにおいても大変重要なものでしたが、メディアの変化やソフトの変化に対応しながらこれまで歩みを進めてこられたことがわかります。これまでレコメンドはEメールが主軸でしたがLINEで届く等のサービスを通して今後より身近な存在になっていくということですね。
ただ、ここで気になるのは、LINEは最近では多くの公式アカウントがマーケティングに活用するというシーンが増えていますが、一方でその配信に係るコストも負担が大きくなってきているという実情があります。また、ユーザーも煩雑な広告やプロモーション通知などに溢れて、うざいと思われる機会も増えていると聞きます。特に価格改定等の通知をLINEを通してするとなった時、複数の商品を登録していたりすると、都度通知が流れてくることになり、心理面で敬遠されてしまうこともありうるのかなとも思います。また、だからといって、1日に1回とかサマリだけにしてしまうと、即時性が損なわれて、それならEメールとさして変わらないということにもなりかねません。少なくてもEメール配信であればコストはそこまでかかりませんが、LINE配信となるとそれなりにコストがかかる中で、どこまでLINEを活用する事の費用対効果があるのかは見極めて頂きたい部分ではあります(私は無知なだけで実際には効果抜群で杞憂だったてことであればいいのですが)。
次にフクイカメラサービスさんとの資本業務提携についてですね。
中古商品にも保証1年を付帯することを実現させるため、メンテナンス可能な会社さんとして取引があったが、これをより強固なものとすべく提携に踏み切ったということですね。現状では顧客にとって安心を訴求する部分に特化したシナジー効果に留まっているが、より広義的な収益機会を見据えて対応を進化させていきたいということでした。
続いて、プライム上場についてです。
顧客からの安心安全のブランド力や信用力のために必要だったという説明で特段目を引くような説明ではありません。ただ、同社では創業時から高級志向品の中古を扱う上で、真摯に顧客との関係性構築を考えてきた中で、やはり信頼やブランドという所では上場がいいのではないかという事で、鈴木元会長とも議論を重ねて歩んできたという説明がありました。
当時から資金調達という可能性というより、顧客目線に配慮する事を大切にしてきて、プライムにいる事で、ガバナンス、監査等がより強固になるわけで、そういう部分の信用を得るために必要な事だという捉え方です。当然株主からも様々な意見を頂戴して、より信用に値する会社になっていきたいから助言よろしくということでした(私のような者は言葉通りに受け取らず、少し割り引いた位がちょうどいいかもしれませんね(笑))。
この後は、販売チャネル別売上高推移(EC/店舗)の説明の中では、共に好調の中で、今後は従来通りよりECに磨きをかけていくという説明でした。ユーザ数やPLの説明に続いていきます。この辺りは決算説明と完全に重複しますので、詳細は割愛しますが、「このコロナ禍で多くのお客様に支えられて堅調に推移してきただけでなく、EC化を磨いてきたことで固定費を小さく抑える事が出来た事でこの期間も強い業績推移を残せた事は、社員の頑張りやこのビジネスモデルの強さを経営陣含めて改めて実感する機会となった」という趣旨の発言が印象に残りました。そのようになってよかったな、と嬉しくなりました。
対処すべき課題は、決算説明資料にはなく、招集通知記載の内容をコンパクトに纏めた内容でした。専門性の向上、信用・利便性の向上、認知向上という3本柱でのお話でした。
・進行期の取組施策
招集通知に記載のない事項であるため、スライドとプレゼンで引き続き説明するとのことです。
ここでは前述の通り、LINEを利用する事への弊害への対応が気になる所ですね。ひとつはメールと違い企業アカウントでのLINE利用のコスト面の話ですね。SMSやE-mailは基本的に発信の際にはサーバーなどは別としてコストはそこまでかかるものではないわけですが、LINEの場合課金がありますし、ここ数年で大きく価格も上がっています。
また、LINEが身近になればなるほど、日常での浸食具合に嫌気がさして逆効果にならないかという所ですね。ここは質問したかったのですが、出来ませんでした。。。まぁ当然そういう側面も会社としては織り込んで対応されているでしょうからね。
シンカの話ですね。1人当たり売上高を伸ばしていく事が重要で、そのためにこの4つのバリューチェーンを創造していく事を社員の皆さんにも意識してもらっているということです。この絵の中で一つよく理解が出来ていないのは、Agilityの部分なんですよね。真価(ブランディング)に近しいものとしてAgilityと読めるのですが、他の箇所はそれなりにしっくりくるのですが、この部分だけはどうもマッチしていないような感覚があります。私の考察がまだ甘いんだろうと思います(笑)。
小野社長は社長就任時には特に進価と深価を推進してきたと仰っていました。専門的なスキルやデジタルを使って価値を創造していくところに、より強みを見出したかったということなのでしょうね。一方でコロナ後には横の新価と真価を付け加えたということです。
外側にあるのは全体最適を促進するという面で最後に加えたようです。そしてこれらを従業員の目標管理にも使っているし、これを通して実現されるパーヘッド売上高をKPIに設定して取り組んでいくそうです。
海外機関投資家からの投資をより積極的に訴求していくためにも、これらの推進室を設けました。当然外形的な側面もあるのですが、こういう部分にもきちんと宣言して取り組むという会社側の体制構築を示すことで、従業員も会社へのエンゲージメントを高めてくれる事を期待しているとのことでした。DX/IT経営は澤田さん、ESG経営は齋藤さんがリーダとなるということで、それぞれの方から簡単な説明がなされました。
総会運営で各取締役の方からもお話を伺えるというのはいいですね。本来社外取締役も含めてもっと発言してもらいたいですからね。
(澤田さん)
お話の中で、DXって最近濫用されている中で、バズワードで終わらせない真のDX活用を目指すという部分に言及されていました。まずDigitalよりTransformationが大事なので、DよりXという表現をされていました。単なる変化ではなく、業態そのものが変わるような変態という捉え方をしてくべきだろうと。
従って、単なるデジタル化ということではなく変態をもたらす事が大事であると。例えば、現状ブログ記事等をどんどん発信している中で、1冊の本になってしまうくらいの貴重なコンテンツのストックが蓄積されており、我々はメディアなんだ、という位の気概を持つべきかもしれないということです。より動的なパーソナライズメディアを構築していく事で新たな収益源を創っていけるチャンスでもあると捉えている。
(齋藤さん)
ESGはあまり語る事が無くて辛いですよね(笑)。TCFD提言等の対応についても言及がありましたが、まだ回答出来ていない項目などは今後段階的にということでした。
・議案上呈
議案上呈は粛々と読み上げられていましたね。特に論点はないです。
4.質疑応答
ここから質疑応答となります。以降では質疑の様子を私の主観で脚色を加えて表記していきます。交わされた内容を忠実に再現しているものではありませんので、ご参考程度にお読み頂ければと思います。また、悪意なく誤認等している可能性を含みますため、投資判断にご活用される際には、ご自身でIRへの確認等を含めて確認頂くようお願いいたします。
なお、私が発言した内容には冒頭に★印をつけております。
冒頭、私が質問をさせて頂きました。用意してきた10問をうまく2問に纏めて、質問数が多く見えない様にと姑息な事を考えて話したつもりですが、きちんと要素別に4問に分けて小野社長が扱って下さいました(笑)。
★Q カメラの中計売上計画について
カメラは過去3期をみると、CAGRは11%程度であったが、今回の新中計においてもこのCAGR11%の売上伸長が継続する前提となっている。ご説明のあった各種AI活用の施策はどちらかというと既存顧客層へのリーチやエンゲージメントを深化させるものであると理解している。母数が大きくなってきている中で安定成長持続の前提について、今後もこのペースを持続できるとした論拠を教えて頂きたい。
A
カメラの10%成長を3か年ローリングとしてオーガニックなものとして策定したものである。これは市場シェア率を鑑みた時、AIMDやOnetoOneマーケッティングなどの成果などから積み上がってくる新規顧客の見込みから十分オーガニックでとっていけるだろうと踏んでいる。
この計画を策定したタイミングではウクライナ問題や各種経済状況の変化等の情勢もあり、株主に迷惑にならないような形で今回の計画をお出ししている。
マーケットの概況としては、中古で20%、新品で9-10%のシェアというのが現状の当社の状況であり、まだ伸ばす余地があるものと考えている。
■考察
カメラの成長は引き続きこれまでと同じ成長が続くということで、これをオーガニックという言葉を使い表現されていました。また、株主に迷惑が掛からないような形でという言い回しも興味深いです。
同社はかつて意欲的なガイダンスを出した時があり、この時にマーケットに示す数値と社内の努力目標がやや混同している気配があり、当時のIR責任者であった辻本さんと喧々諤々お話をさせて頂いた事がありました。今では比較的意欲を示しつつも、表に出す数値には一定のフィージビリティを漬けている気配があるのですが、今回の答弁からもそのような印象を感じました。もちろん、嗜好品の消費動向なんて先行き読めないので、結果としてショートすることもあるかもしれませんが、少なくてもどういう姿勢で策定をされたのかはよく伝わり安心しました。
一点、中古や新品のシェア率を示し、伸ばす余地があるという説明は、私には判断がつかないなと感じました。恐らく社内ではどのくらいのシェアなどという目標イメージのようなものがあるからこそ、まだここにGAPがあるという事なのだと思いますが、そのイメージが涌かないので、例えば中古で20%と言われると逆に相応のシェア率があるんだな、と感じてしまうわけですよね。キタムラさんなど大きな所から、小さな所でも有名なフジヤカメラさんに至るまであまたある中で20%取れているのであれば…とか思ってしまいます。なので、この辺りのGAPイメージがもう少しわかるとより中計の数値の受け止め方にもリアリティを感じられるかなと思いました。
★Q 筆記具/自転車の伸長見込みについて
新中計では筆記具や自転車は今後の3期での伸長が大きくCAGR20%半ばまでを見込み、これまでの実績推移からみるとこれまでとは違う傾向とみえる。どのような前提でこのような計画を策定されているのか。
A
分母が大きくないという点でマーケット規模もカメラなどと比べるとこれらの領域は大きくない。大事な事はこの領域の中であるジャンルでNo.1になる事に意味を感じている。この事で年平均で2割を超える積み上げを表現した。
コロナ禍においてはカメラや時計にリソースを集中させてきた中で、筆記具や自転車は最低限の運営をまずは継続するという所に留めたというのが率直な所。今後アフコロがみえてくる世界の中では、仕入先との協業なども動き始めてくることが期待され、あるジャンルでNo.1をとっていくということで、まずは積み上げしていく。
■考察
筆記具や自転車はあまりフォーカスされない部分です。母数も小さいですからね。しかし、その商材を愛して働かれている従業員の方もおりますから株主総会の場で意欲的な伸長を掲げている背景は指摘をし、社長自ら言及してもらう事が、ひいてはそこに従事している社員の皆さんのためにもよいだろうとの想いで質問項目にねじ込みました(笑)。
コロナ禍の最中ではなかなか仕入も含めて積極的な動きが取れなかった中で、最低限の運営ということでフロアもリニューアルした後、なかなか思うように攻められなかったという忸怩たる思いがあった事と思います。
各ジャンルでNo.1をとるといういかにもニッチャーらしい戦略ですが、そのような戦略でよいのだと思います。今後、まずはトップラインを上げて、恒常的に薄くても利益が出せる部門にまずはなって頂く所からですね。ぜひ頑張って頂きたいですね。
★Q マップカメラ認知度向上策について
これまで地道な活動によって、カメラ愛好家へ愛されマップカメラは認知度を高めてこられた。昨今ではカメラや写真を扱うyoutuberがよくマップカメラを利用されているように見受けられる事も増えてきているわけだが、ここで大きく紹介をされる事がまだ機会としては少なく、一つの可能性を有しているとも感じる。他にも、自社で運営するエブフォトやフォトコンテスト等の写真を楽しむ仕組みをより活性化させる事で多面的に認知度を高めていけるものとも考えている。マップカメラの認知度を上げていく取り組みとしてどのような方策を考えられているか。特にこれまでリーチ出来ていなかった女性ユーザーやライトユーザーへのアプローチと、玄人がよりマップカメラ流石と思うブランディングが重要と考えるがいかがか。
A
当社の認知度を議論する際に大事な所はブランディング。そしてそのブランディングに沿うような施策を取っていく事がとても重要。当社の現在の状況を踏まえれば、テレビCMやyoutubeなどのSNSやネット広告を駆使して、カメラや時計を集め、販売機会を増やそうという量を追求した事は十分可能。しかしこれをやらないのは、ブランディングを維持するため。
例えば、量を追求したような広告を積極化すれば、多くの値もつけられないような商品の買取依頼が殺到してしまい、双方にとって不幸な事になってしまう。知名度を上げてしまうと下げる事が難しくなる。こういう事態を十分に予見して伸長に認知度向上策をとっていかねばならない。
シュッピンは価値ある在庫を扱う専門店であり、知る人ぞ知るという要素が担保されるからこそ、効率的な運営ができるし、我々が1商材1屋号で専門店として対応する事の意味が際立つし、だからこそ、販管費率抑制を含めた財務面でも良好な数値が残せることに繋がっている。
時計においてもリセールではなく、リバリューが叶う商材を選りすぐっているからこそ、価値が生まれているという事で、そのようなブランディングを確立させた上で、どう認知度を広めていくかという事考えていかねばならない。
ではどういう取り組みをするのかという事であるが、当社では、毎日専門性の高い記事を発信し続けており、これは従業員が本物を手に取り、そこで交わされるお客様やその商品の事を扱うわけだが、そういうものがユーザーに届くことで、当社へのエンゲージメントを高めて頂けるのだと考えている。お客様やその記事をを目に留めた方が、当社の各屋号について専門店なんだと魅力を感じてもらう事が大事な顧客接点になる。こういう接点を地味日拡げていく事こそ、趣旨に沿った認知度向上策であり、またこういうプロセスを経るからこそ、高額品であっても安心安全に取引が出来るという雰囲気を醸成する事もできる。
株式市場では、当社はリユース、あるいは小売として扱われるが、我々はテクノロジーを駆使した上で、専門性の高いコンテンツを発信し、リユースではなく新品中古を同時に扱う専門店であると認識していただいている。なので、いわゆるリユースや小売といった量を拡げるという認知度を追うというより、どこまでも専門店であるという自負の下で、ブランディングに基づく施策を取っていく事が大変重要であると考えている。
■考察
社長自身が答弁長くなってすまん、って仰っていたのですが、この部分はかなりかなり思い入れが強いというか、同社の根幹をなす部分だったので、熱く、また一層の早口で(笑)ご答弁頂きました。いや、この辺りからも小野社長の変貌ぶりを実感しましたよ。
かなり脚色を加えて私の理解でもって回答欄を書きましたがとても大事な事を仰っていました。リセールではなく社内ではリバリューという言葉を大事にしているとか、我々はリユース屋ではなく、専門店屋なんだとか、なんというか自分達のなしていることに確固たる自信のようなものを感じます。そしてそれは一般的な量を拡げていく成長戦略には必ずしもそぐうものではありません。だって、認知を広げればいいってもんじゃないって仰っていますからね。何をするとどうなるかということをよく想像されていて、そして鈴木会長がソフマップで中古品を扱う上で大事にしてきた理念のようなもの、つまり「価値ある商品」を扱うプライドを感じさせます。
となると、対処すべき課題の認知度向上の部分はもう少しこの要素が感じられる記載となっていてもいいのかなと感じました。新たな利用者を増やしていく事が大事なのですが、これが全面にあるというより、その前提として高いブランドを維持確立する事、その上に然るべき手法で認知を拡げていくことが、シュッピンの事業価値を守り高めていくということですからね。そういうニュアンスがより感じられる表現になるとよりよいかなと思いました。
★Q CFOの存在について
経営において財務戦略は大変重要なものであると捉えているが、辻本さんが退任されたのち、林さんはCFOを務められているものの、取締役には選任されないとのこと。経営の重要な意思決定の場にCFOの観点が入らない事は問題ないのか。スキルマトリックスでは財務視点に関して澤田さんがこの部分を補完されるものと理解しているが、重要な情報を扱うCIOであられる中で、やはりCFOの観点が執行役員ではなく取締役メンバー専任として必要ないのか。社外取締役の方からもこのような体制に対して指摘はないのか。取締役構成全体を考えた際に、社外比率等の兼ね合いもあっての事と思うが、見解を伺いたい。
A
現状、財務所掌としては林氏を執行役員として配置している。取締役の人数という側面もあるが、現在当社は従業員全員が西新宿のオフィス内におり、距離感が非常に近い。そのため、意思決定等のスピードも非常に早い会社であると考えている。そして、テクノロジーを活用する会社としてはより早い意思決定体制の構築を目指すべきであるし、一方で社外取締役の構成等所も鑑みた時に現状ではガバナンス上も問題なく、また執行役員を含めた体制としては十分機能しており、現段階ではCFOの選任は見送っているという状況である。
■考察
CFOは財務戦略として経営において重要な位置づけであるからこそ、やはり取締役に参画し意思決定に関わる事が大事ではないかと考えています。確かに風通しの良い会社で比較的に取締役であるか否かに関わらず、闊達な議論がなされている事と思います。ですから特段実情として問題は生じていないとは思います。しかし例えば、海外投資家から見た時にCFOがボードメンバーにいない会社がどう映るかとか、そういう事も気になるわけです。私もこの辺りの形式的な受け止められ方は詳しくないのですけどね…。CFOを追加すると、社外比率の充足のためには社外取締役も追加せねばならないですからね。取締役メンバーが増えればそれだけ意思決定フェーズも複雑にならざるえないわけで、主張されるようなスピード感は少なからず犠牲になってしまう可能性もあります。現状で十分なガバナンスが効いているという実感があればなおの事、必要ないでしょ、ってなるのも理解は出来ます。
ただ、現状の社外取締役の方の経歴では士業の方と情報システムの経歴の方だけとなっています。例えばブランディングを大事にされる会社であれば、ブランディング構築に詳しい方だったりがおられてもいいかもしれません。多面的になる事は失うこともありますが、得ることもあります。シュッピンが単に現状に大きな課題感もないから変化しなくてよいということではなく、常により多面的な視点は必要ないのか、外形的にみた時に財務戦略の位置づけをどう捉えれれるのかなど、ぜひ継続的に検討していただけるといいのかなと感じました。
続いての4問は他の株主さん1人がなされましたが、質問の前段の大講演が大変長くて、すみません、メモが追い付かなかったため、質問事項は趣旨のみ掲載します。
Q 海外展開における他社との提携について
(質問が長くメモを断念しました…)
要するに海外展開に当たり、eBay等への出店を通して事業拡大を進めるにあたり、他社との提携を深めていく考えがあるかということでした。
A
まず、当社の方針としてあまり戦略的に他社さんと戦略的な提携を積極的に進めていくというスタンスではない(もちろん是々非々)。リユースという枠組みで捉えた時にどうしても高コストという点があげられる。提携する先が手数料モデルである場合、どうしてもシュッピンのローコストオペレーションの強みと合い知れない部分がある。我々は今でも自社サイトに加えてモール型サイトでも出店をしているが、自社サイトは8割を超える。つまり、我々が手数料モデルを構築した会社さんのために存在している、あるいは展開している、依存するということではない。
当社では、買取から商品へリバリューを施し、適正な中古品販売を行い、更にお客様の手元に届くまでの配送に至るまでに安心安全を磨きブランディングをしていくという所に命をかけている。お客様との接点チャネルとなるサイトはもちろんラストワンマイルに至るまで全てにおいて我々が命をかけてきたものがブランディングを保つことの出来る信用たる相手先は相当選別をするようにしている。
仕入においても、我々がオークションや提携企業からのチャネルに頼ることはせず、お客様からの買取のみで運営をしており全てお客様に支えられている状況。そういう状況下で、あまり積極的にどんどんどこかと組んでいくという思想がない。
確かに海外含めて提携やM&Aなどでスピード感を持って対応していくことで、目先の成長力は向上するかもしれないが、同時に我々が大切にしているものというのがあって、それは自律的でなければならないとも考えている。だからこそ変化への対応にも機敏に対応できる体制になっているし、それが自社のブランディングと結びつき、決して早い成長とは至らないかもしれないが、着実に運営をしていく事を大切にしている。
■考察
あまり海外展開を前提とした回答ではありませんでしたが、この答弁からも、シュッピンという会社がどういう会社になろうとしているのか、とてもよく伝わってくる印象を持ちました。どの会社さんもだいたい、成長の一要素として、M&Aや他社提携を含めて頑張ります、というのが定説です。しかし、むしろ慎重に事を運ぶし、その提携を拡げていく事への弊害や、自社のアイデンティがしっかり確立しているからこそ、こういう回答になるんだろうなと感じます。ここでもやはりプライドのようなものが垣間見えましたね。もちろん意固地に自社だけで全てをなしていこうというわけでもありませんから、信用にたる会社だったり、自社の歩みに真に相乗効果が見込まれるという部分を相当に見極めていかれるということなのでしょう。そういう意味でもフクイカメラサービスさんとの提携は大きな一歩だったのだと受け止めるべきですね。
Q 筆記具を何故扱っているのか
(同じく質問が長くメモを断念しました…)
要するにカメラや時計といった高額嗜好品に対して、筆記具(万年筆)は価格帯も低く嗜好品としての位置づけが違うがなぜこのような商材を取り扱っているのかという質問でした。
A
筆記具は趣味嗜好品として単価平均は4万円程度であり、カメラよりは低いのは事実であるが自転車よりは高い。位置づけとしては価値ある商品をニッチで訴求していくというスタンスで、拘りの万年筆というのもこの趣旨に沿ったものであると考えている。
■考察
自転車にせよ、筆記具にせよ、なかなか拡大基調が見込まれない中で、リソースを集中させたら、という指摘は過去にも時々指摘が入ります。今回の質問者さんはそこまでの事ではありませんでしたけどね。
好きな商材を抱く社員さんがいると、なかなか合理的判断だけでやめてしまおうともならないでしょうし、「価値ある商品」に光を当てていくという大きなイメージからすると十分該当しますからね。万年筆もカメラや時計程ではないですが、十分嗜好品ですからね。
Q シュッピンと屋号の関係性について
(同じく質問が長くメモを断念しました…)
要するに各商材を扱う際には各屋号が使われているが故に、「シュッピン」という位置づけが表に出てこない点への疑問に関する指摘でした。
A
お客様から見える当社は専門店。その専門店の屋号が表に立っているというのが現状である。そして各屋号の知名度があがっていっても、その運営母体がシュッピンであるということを市場関係者が認知していただくには時間もかかるし、わかりにくさがあるという点は指摘の通り。シュッピンという運営母体の知名度も同時に高めていくための施策は検討して参りたい。
■考察
屋号と会社名が違う事は結構多くの会社さんで悩まれることですね。特に屋号がひとつであればその屋号に会社名を変えてしまうなんてことも他社さんでもそんな動きもありましたが、シュッピンの場合、カメラ、時計、筆記具、自転車とそれぞれに屋号がありますからなかなか難しいですね。
消費者からみえる企業の姿とマーケットからみえる企業との間でわかりづらさがあるとしたら、一工夫あってもいいのかもしれませんね。
Q 消費者のリピート取引について
(同じく質問が長くメモを断念しました…)
要するに趣味趣向品として高額品であるが故に、一度取引があるとそれで取引が成されなくなってしまうんではないかという懸念についてですね。
A
カメラは交換レンズを多く所有する方が多く、カメラ本体とレンズは概ね1:1の売上構成であり、交換レンズ等の取引へ繋がっていくので、そういう懸念はないし、アクティブユーザーを開示している通りで、相応に取引を重ねて頂いているものと理解していただいてよい。
全社でみても、アクティブユーザー数は約5%ということで、3ヶ月以内に5%の人が再度取引を頂いているという定量実績もある。決して一度取引をしたら終わりという事ではなく、継続的にお買い物を楽しんで頂いているとご理解頂きたい。
■考察
これは数値が実績を物語っていますね。確かに時計やカメラボディの場合、なかなか頻繁に取引がなされないのではと感じてしまう事もありますが、実際にはそれなりにリピートの方がおられるわけです。そしてそれはカメラでいうと、先取下取の制度などで商品をうまく回していきたいというような発想の人が少なからずいるため、取引基盤も活性化が続くということでしょう。
Q 新たな収益モデルの確立について
(同じく質問が長くメモを断念しました…)
要するにピクスタさんのような素材ストックを販売する等というような新たな収益モデルは追及されないのかという質問ですね。
A
現状の小売を超えるものを企図して新たに立ち上げしていくという発想はないが、違った収益モデルを構築していくチャンスは伺ってもよいのかもしれない。たとえば、我々が日々コンテンツをアップしているものを更に磨きをかけて情報コンテンツとして提供していくなどの可能性はあるかもしれない。
■考察
やはり価値ある商品を如何に効率的に、そして信頼信用を高めて消費者と関係性を築くかというところに全力でコミットしていって欲しいなと私は思います。確かにコンテンツ等、趣味趣向をより高めてくれる機会になって、有益なものも多いので、一定程度収益化をすることもできるかもしれませんが、そこは、シュッピンを通して買い物をするという時に付加価値の側面に留めた方がより、ブランディング力も高まる気がします。最近流行り(もう終わった?)のサブスクとかで課金モデル作ってもいいのでしょうが、そういうコンテンツを上げていかねばならなくなりますし、今のような自然体であるからこそ醸成される世界観というものも大切な気がします。
この後、女性の株主さんから質問ですね。
Q サイトの使い勝手について
文房具が好きで、以前にもスマホで買い物を楽しもうとしていたが、サイトの使い勝手が悪く、結局買い物をすることができなかった。もう少し使い勝手をよくする、とりわけ、スマホ等のPC以外のデバイスでも使いやすくなるような工夫を行って欲しい。また実店舗での商品在庫も必ずしも充実したものではなかった点も残念。専門店であるがこそ、今後に期待したい。
A
文房具については、どうしてもコロナ禍においては最低限の人員で回すなど最低限の運営に留めてきたのが実態。クラスタを万が一発生させてしまうと営業停止などの事態になってしまうためである。そのような体制下の上で、仕入先さんもどちらかというと中小の会社さんが多く、なかなかコロナ禍でオリジナルの商品開発が行えない等の事情もあり、不便をおかけしてきたと反省している。
その反省に立ち、今期からは意欲的な目標も示して、オリジナル商品等を通して、当社でなければ手に入らないような商品ラインナップを心がけていきたいと考えている。
サイトについては、スマホからの閲覧が主流になってきていると認識しておるため、対策をきちんととって進めていきたいと考えている。
■考察
サイトの使い勝手は私もあまりいいものではないなと感じています(笑)。まずそもそもちょっとサーバーが重い気がします。まぁこの辺りは感覚も個人差があるかかもしれませんね。
で、万年筆のラインナップはやはりコロナ禍の影響で運営を含めて難しい局面であったことが滲んでいました。当社の筆記具は多くのオリジナル商品が訴求されてきていたのですが、コロナ禍ですとなかなかそういうタイアップ企画そのものがやりにくいという側面も多かったでしょうからね。
今後はアフコロで徐々に復活してくる中で頑張るという事なので期待しましょう。
ここで再度私が質問しました。時間のためこれで最後にしたいということでしたので、怒られるまで質問しようと4問です。というわけで全10問用意していたので、2問はお蔵入りです(笑)。
★Q フクイカメラサービスさんとの提携について
当社において修理やメンテナンス事業をより推進するためにもとてもよい提携と感じた。今後共同事業の検討等を更に深化させ、新たな収益機会へのチャレンジも検討されているとのことだが、フクイカメラサービスさんはあらゆるメーカーさんとの取引がある中で、メーカーさんへの配慮をとりつつ、当社としてどのような期待を抱けるのか。
A
現在31%の出資比率を通して、全メーカーの修理対応が可能という面で、事業シナジーを見出し提携をしたところ。当社が中古保証1年間という安心をお客様へコミットする事が出来るようになったのもこのような取引ができたからであり、それを資本業務提携により、より強固にしていくということである(もちろんフクイカメラサービス社以外の修理会社の協力も含めて言及されていました)。このように現状では顧客シナジーを出す部分がメインとなっているが、今後より出資比率を高めていく、連結にもっていくというためには、よりシナジーを作っていく事が重要であると考えている。
これは一例であるが、現状当社では梱包や配送等をすべて新宿拠点で対応しているわけだが、修理や仕入れから販売までの調整などはフクイカメラサービスのある福井でも対応できるかもしれない。地代家賃も安い上に、サプライチェーンを念頭に置くとむしろ現地で集荷、調整、配送を一手に行った方がよりシナジーが発揮できるのかもしれない。しかもカメラの事に詳しい、そして商品の大切さも理解できるので、問い合わせ対応含めて期待しうる対応をとってくれるという期待もある。そういう面で信頼できる会社さんであればこそ、そういうシナジーを発揮できる可能性として長い時間軸になるかもしれないが模索していきたい。
■考察
フクイカメラサービスさんとの提携が、価値ある商品を創るという意味で大変意義があるものだと受け止めています。彼らの修理能力やクリーニング技術がなければシュッピンが再販する上ではリバリューが半端なものになってしまうということですからね。資本業務提携前から取引があったものの、一定の進化があったからこそ、こういう提携に繋がったと思うので、大きな一歩だと思います。また、多くのメーカーとの取引がある中で、資本業務提携や説明の中にあった収益化を目指すとなった時に、メーカー側への配慮という面も気になりました。この辺りは直接的な答弁がなかったのであまり触れてしまってはいけない所だったのかなとも思いました。結構センシティブだと自覚しています。
今後の事業シナジーという所では、福井拠点というのは面白いなと思いました。コストメリットも出てきそうですが、現地での人材獲得・定着当たりが鍵になりそうです。また、新宿のリアル店舗との間での在庫品管理という部分でも一工夫が必要かもしれませんね、コミュニケーションが図りやすかったでしょうしね。今後出資比率を高めるだけでなく、連結化なんて言葉も出てきたので、そのためにもシナジーを多面的にミルフィーユして頂き、頑張って欲しいなと思いました。
★Q ロレックスの扱いについて
随所にロレックス相場の高騰が追い風という表現もあり足元で業績寄与があった事はよかった。一方で価格高騰による副作用だったり、逆回転したときのリスクもあると思う。実際今年に入ってロレックスの相場もやや落ち着きをみせてきている。相場は先々も堅調と見る向きもあるが、そもそもこのような外部環境で大きく変化する事への依存を下げ、業績を安定させる事も大事だと思う。マーケットシェア率はまだ余地があると理解はしているが、リスク対処や中計の織り込み等でどのように捉えられておられるか。
A
日本一のロレックス在庫Web掲載数No.1を目指し、これを達成してきた中で、これだけのブランドのあるロレックスを在庫として抱えている中で売れないわけがないという自負があった。価格相場が高騰する中でも当社としては安定的な販売ができるように、またその際に適正なマージンを設定し、お客様とコンセンサスが得られるような事に配慮して運営をしてきた。
ロレックスの相場が大きく崩れるとしたら、ロレックス自身の戦略が変わる時だと思っている。例えば、薄利多売を謳うようになるとか、生産でもコスト優位に切り替わっていくというような商品としての魅力そのものが下がるような事があれば別だが、現状でそのような方向になるとは思っていない。
メーカーのブランド戦略と、当社のブランド戦略が一致している場合には、そこまで大きな問題にはならないと考えている。
足元で月次でもみられるようにインバウンド需要が後退しているようにみえるが、これは上海のロックダウンも効いている。こういう状況が好転すればまた需要は戻るとみているし、グローバルレベルでロレックスのブランド力はそう揺るがないものではないかと考えている。
■考察
ロレックスの相場依存の件は決算説明会でも確か質問が出ていたこともあり、もううんざりかなと思い最後の方の質問にしました。私も単にロレックスの価格相場を見てこんな素人みたいな事を言っていますが、もっと本質的な部分を捉えての答弁だったのだと思います。ロレックスだから絶対安泰とするのも危険ですが、しかしいつの世もずっと価値を高め維持してきたことも事実であり、メーカの戦略と当社の戦略の方向性が大きくずれない限り大きな問題ではないと言い切るのは中々覚悟がないと断言出来ないと思います。そういう意味ではあまり本質的な価値を毀損するというようなことは念頭にないのでしょうね。もちろんボラは高まってしまうのだと思いますけどね(その点特に答弁でフォロが無いように感じたので)。
★Q IR活動について
IR活動において、個人株主の存在をどう捉えているのか。決算説明会の様子は我々個人株主は後日スクリプトを読むに留まり、質問を通して理解を深める機会すら与えられない。株主ではない機関投資家には際限なく門戸を開け、株主であっても個人であれば機会が与えられない点をどう捉えているか。特に今回は意欲的な新中計も開示され、個人のファン株主を増やしていく事が大事だと思う中で、今日の小野さんの説明を聞いていても魅力だと思うのに、それが機関投資家にしか伝わらないのは残念。これだけ成長意欲を持った当社の魅力が十分伝わっていない点に忸怩たる思いである。他社では総会をライブ配信したり、リモート環境を使った説明会の開催、各種セミナーへの登壇等皆さん工夫されている。こういった訴求が至らない点がマーケットにおける価値を下げてしまっているとも思うため、ぜひIR活動に工夫をして頂きたい。
A
力不足を大変申し訳なく思っている。こういう時代であれば、Web配信など出来るものと思う。ただ、発信を一方通行にせず対話の機会としたいとも考えており、やり方を色々検討していかねばならない。
また機関投資家向けの活動は重要でありきちんと対応をしていきたいと考えている。当社の株式は機関投資家の保有比率が高いこともあり、まずは機関投資家に対してきちんと説明を尽すことが、ひいては、個人株主の方にご迷惑をおかけしないための活動であると思っている。
とはいえ、フェアディスクローズの機会という側面でも課題があると考えている。もちろん、現状でも機関投資家向けにディスクローズスタンスはしっかり遵守して対応を行ってきているが、今後は指摘のあるような点を踏まえて、Web活用を含めて対応を検討して参りたい。
■考察
これが冒頭に啖呵を切る予定だった質問が超マイルドになった感じです(笑)。今後Webを活用しての発信への抱負を述べられていたので、その動向をモニタリングしておこうと思います。
私もIRさんへ事前に問題意識共有のため辛辣なコメントを多くしていました。その中には活動改善の観点や対応案などもいくつかお伝えしました。それがどこまで役に立つかはわかりませんが、今後のIR活動に変化があるか注目してみたいですね。
本当は質疑も1人1問までとかわざわざ招集通知に記載をしてきたので、不満を言おうと思っていました。しかしふたを開けてみると、結構自由な下で行われました。
内容ですが、機関投資家にきちんと長期で保有してもらうための活動は当然株価を安定的にするという側面では大事だと思います。ですから機関投資家に向けてIR活動をきちんとなす事はそれはそれで必要な事だと思います。しかしだからといって、株主である個人が蔑ろにされるのは、蔑ろにしているつもりがないのでしょうが残念だと感じます。
Webを使った事を検討されるということですので、どう改善されていくか注目です。そのために私も出来る提言があればどんどんお伝えしていこうと思います(既に総会の場でもお伝えしましたが)。
★Q 自己株式について
鈴木元会長からも自社株買いを進めることで移譲を進めてらっしゃる中で、当社の自己株買いも相応の水準になってきている。多額の資金を擁する設備投資も要さない当社事業の中で現状の株価水準で公募増資するのも尚早と思う。また、M&Aに活かす等の具体策が直近ないのであれば、資本効率向上のため消却も選択肢ではないか。鈴木さんから段階的に取得されていく自己株の扱いについて見解を伺いたい。
A
鈴木氏から段階的に株式を取得し、自己株としている。
そして今回のフクイカメラサービスさんとの資本提携の中で、使う事もできたが、現状の株価水準には全く満足していないこともあり、今回のタイミングでは使わなかった。今後、は新たな収益モデルの構築など新規の取り組みも含めてM&Aへの使途、あるいは従業員(主に管理職向け)への譲渡制限付報酬(RS)の原資として使っていきたい。
とはいえ、比率としては指摘の通り自己株の比率も比較的高くなってきている事も事実であることから、運用の目的のないものについては、もちろん、今後消却という事も検討をしている。
■考察
これは驚きだったのですが、この日の引け後に自己株消却のリリースが出ました(笑)。超スピード対応ですね(冗談です)。こういうコメントをしたのは、株式投資家として、こういう側面もきちんと見ていますよって事が改めて伝わればいいなと思いました。
それから、RSは主に管理職向けと仰っていたので、閉会後のお見送り下さった時に、ぜひ社員の皆さんにももっと撒いて下さいとお願いしておきました。
Q 女性向けの対応について
女性向けのブリエを立ち上げられたが、この状況や、女性比率、あるいは時計以外の女性向け商材等の取り扱いの状況はいかがか。
A
レディースは立ち上げに応じて順調に売上寄与をしており、月商1億円程度までは持ってくることが出来た。当社はレディース商材は後発組であるため、まずは良質な中古商品の仕入が叶うような素地作りからじっくりやってきており、それが徐々に軌道に乗り始めているという状況。併せてブランドバックにも取り扱いを行うようになった。こちらは競合他社の強みがある会社さんも多く、スローペースにはなっているが、少しずつでも展開を進めていきたいと考えている。また女性向けの販売をする側としては、本物をしっかり手に取り、商品の魅力を理解する事が大事。偽物と本物の区別も含めて本物がわからないといけない。そういう体制作りも並行して進めており、今後女性向けもしっかり立ち上げていきたい。
女性比率はカメラも入ってしまっているが全体の8%程度が女性。若い世代としては20%程度が存在している。
■考察
女性向けはバックなども取り扱っていたので、気になっていました。やはり競合環境が辛いですよね。特にバックとなりますとね。とはいえ、無理をせず、じっくり仕入環境の整理から進めている辺りもいいですね。
閉会後、店舗を視察に伺ったのですが、確かにバックが陳列されていましたが、値付けとかよくわかりませんが、コメ兵さんとかの方がきっと品揃えもよいので、まだ今後という感じがしました。ただ陳列はとても綺麗だったので、そういう安心安全を訴求出来れば十分余地はあるのかもしれないなと思いました。
Q 新規商材について
現状4つの商材を扱われているが、新たな商材の立ち上げは検討されていないのか。
A
現状では考えていない。M&Aのチャンスがあればとも思うが、我々はリユースではなく専門店としてある事を大事にしており、新品と中古両方を扱えることが前提になる。中古だけだとひたすら売って下さいという対応になると、何でも売って下さいになって、業務効率面からそぐわないことになってしまう。そして販売管理費も低位になるなど、現状の収益モデルを確立できるようなものがあればとは思うが、現状では考えられていないということになる。
■考察
鈴木元会長が手腕を振るわれていた時の総会で同質問が出ました。その時は、他の商材への可能性をそれなりに認めてらっしゃいました(まぁ余地を常に見出すという感じですかね)。
しかし小野社長ははっきりと現時点で考えてないと率直に述べておられました。これは、私は小野社長の真の自律であるしカメラ、時計という二本柱に確固たる自信を得たからだと思いました。これ位潔くていいと思うんですよね。まだまだカメラ/時計で成すべきことがいくらでもありますからね。
質疑は以上で、この後採決をして散会となりました。
5.さいごに
今回のシュッピンの株主総会は久々でした。そんな中で参加してみて感じた事は、コロナ禍を通して強くなった会社、とりわけ、小野社長の漲る活力でした。
それから、当社のアイデンティとして、中古屋ではなく、専門店であるというところですね。マーケットではリユース関連銘柄なんて括りでみられますが、会社側はそういう理解ではなく、専門店なんだという自負を持って対応されている事を強く印象付けて下さいました。しかもこれを顧客も含めて形成されている所が素敵ですね。となると我々投資家がどういう評価をするか、改めて考えていきたいなと思いました。
鈴木元会長はシュッピンの創業者であり、ソフマップの創業者でもあられ、中古販売に精通した方でありました。世代交代という所で、数年前に小野社長に引き継がれた時の印象は率直に申し上げてまだ不安もあるところもありました。元々小野社長はアルバイトから同社に参画したたたき上げだったかと思います。今日の総会の答弁等を通してそして見事に継承されたなあって自信を抱く事が出来る瞬間でした。
閉会後に役員の皆さんがお見送りして下さり、そこでも立ち話をさせてもらいましたが、今後の期待を改めて表明しておきました。市場からの評価は下がっていますが、シュッピンとしてどういう会社になろうとしているかがよくわかる総会だったと思います。今後も期待を寄せて応援していきたいと思います。
頑張れ、シュッピン!