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KeePer技研(東証プライム/6036) 株主総会レポート 2023/9/28

 東証プライム上場のKeePer技研の株主総会に出席しました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。当記事は私の心証に基づき脚色されており、記載内容が意図せず事実と異なる可能性もあります。また、当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありません
 記載内容に関するご指摘、ご意見、ご感想がございましたら、ぜひお気軽にX(旧ツイッター)にお寄せ頂ければ幸いです。


0.参考記事

 同社の株主総会は初めての参加となるため、過去の参考記事は残念ながらストックがございません。

1.基礎情報

 それでは株主総会の中身としてまずは基礎情報として当日のタイムテーブルと大まかな流れを共有いたします。

  14:00 開会 (賀来社長)
  14:02 議決権数の確認(事務局)
      3,497人/8,676人 (40%)
      172,106個/272,666個 (63%) ※行使率低いですね
  14:03 監査報告(角田監査役)
  14:05 報告事項<決算及び製品事業>(賀来社長)
  14:18 報告事項<LABO事業>(鈴置専務)
  14:30 報告事項<車以外及び将来展望>(谷会長)
  14:53 計算書類について ※一言招集通知の通りで割愛(賀来社長)
  14:54 議案上程(賀来社長)
  15:00 質疑応答
  15:55 決議
  16:00 閉会
    ~ 閉会後は役員一同が残り、その場で対話の機会あり ~

 会場は名古屋駅近くのホールでの開催です。コロナ禍の最中では本社事務所のある大府にて開催された事もあり、ここにも行ってみたかったのですが、やはりアクセスの良さは遠方から向かう場合には大変助かりますね。しかも同社の株主総会は午後の開催のため、日帰りで関東圏から訪れるケースでも余裕をもって参上できます。

 会場はそれなりに大きくて200席程度の席が用意されており、体感で8割くらいが埋まっていたように思います。昨今の株主総会では珍しくお土産まで用意下さっている事もあってなのか、参加者も多い印象でした。参加者の年齢層も様々でしたが、女性はちょっと少なかったかもしれませんね。

株主総会のお土産

 重厚なホールでスタッフの社員の方も多く配置されており、案内もスムーズで株主総会への参加に慣れていなくても抵抗感なく参加できるかと思います。この日は気温も暑かったので、頂いたお茶も一気に飲み干してしまいました。

 開会前になると役員の方が各席にお座りになるのですが、役員が重々しく1人1人礼をしながら席におつきになるというのが定石ですが、ぞろぞろと秩序なく各々の席にお座りになられてました。こういう所は会社の色が出るような気がします。個人的にはなんとなく距離が近い感じがしていいなと思います。こちらも役員入場のイベントで背筋を伸ばして各々の礼に、礼を返すといったやり取りも要らなく気軽ですしね(笑)。

 そんなこんなで賀来社長もなんか気が付いたら演題に立たれていたという感じで定刻になり開会宣言をされていました。

2.議事進行

 議決権数の報告や監査報告や事務手続きを済ませた後に、報告事項に入っていきます。ちなみに議決権の行使率が低い事が気になりました。聞き間違いでしたかね。
 事業報告については賀来社長、鈴置専務、谷会長の3名のゴールデンリレー方式でのプレゼンとなります。役割分担は以下のような感じでした。

 賀来社長:決算報告及び製品について
 鈴置専務:KeePerLabo事業について
 谷会長:車以外の事業及び将来について

この辺りも恐らく毎年恒例の役割分担なのでしょうね。ひたすらに社長のみが話すとか、理解促進のためにナレーションで、とかではないあたりが、今時珍しいのですが、ただこういう所でも会社の文化を感じられる気がします。

・決算報告及び製品について(賀来社長)

 決算報告から入りますが、極めてシンプルな説明をされていました。PL表のスライドを元に増収増益であった点を共有されていました。以下の決算説明資料に配当を併記したもので期初計画より増配をすることになった点も報告されました。

 更に製品事業の内訳については以下の決算説明資料の内容の解説です。

 まずアフターマーケットが主体でこれは主にプロショップへの販売がメインであるということですね。説明の中で注目をして欲しい部分としては、新車の伸長率の部分と仰っていました。各ディーラー向けの販売が漸増してきていますので、この辺りが数値に表れてきているということでしょう。海外及び車以外の規模の小ささは、まだまだ力及ばずの部分でもありますが、逆に言えば可能性を秘めているということでした。特に車以外の部分では谷会長の説明の所でも出てきますが、様々な商材向けへの動きがみられますのでわくわくはしますね。ただ車ほどのマーケットがあるのかというと、まだよくわかりませんね。

 24/6期についても説明がありました。まずアフターマーケットの伸びは+21%を計画しており、この主因としてはフレッシュキーパーの好調さのようです。新車も+50%増となっており構成比があがってきており、この先もこの傾向は継続するものとみているようですね。主力のプロショップ向けビジネスも拡大しながら、それを凌駕して伸びている新車マーケットの伸びがみられている事は、より高い成長を求める声もあるとは思いますが、なかなかのものだなとも思います。
 また、海外と車以外の部分は計画値が絶対額として少し寂しいくらいという表現をされていました。海外は今年から動き始めていくという中で、まだ今期で見込める数値としてはコンサバティブにみているようですし、何より車以外については、予算に組み入れていない「様々な動き」がアップサイド要素としてあるということのようです。中計もこの辺りは保守的にみられているようですし、その意味ではイケイケどんどんの数値を作っていくというわけでもなく、しかし施策は各方面に色々な動きを取っている事もひしひしと伝わってきているので、あとは成果にうまく繋げていってもらいたいですね。業績見通しのボラが大きいというのは上も含めてあまりない方が資本コストの面からもよいのではないかと思いますが、とはいえ、見通しがしづらいもの(特に外部提携等でフィージビリティ―の見定めが難しいもの)があるというのもやむ得ないですね。

 続いてフレッシュキーパーの件ですね。こちらも決算説明資料と同様のスライドで説明されていたように思います。

 新マーケットの女性を開拓できているということですね。そして同商品は約1年サイクルでのリピート需要も見込める点や、カーディーラーさんからの利用増大等も手応えがあるようですね。しかしこのグラフ、7月以降の軸は同スケールで捉えていいんでしょうかね(笑)。目検でみると半年後には倍になっているイメージなんですが…。そして年末商戦後の反動も描かれていないので、「イメージ」なんですかね。そもそも横軸もスケールもよくわかりませんしね~

 続いては各ディーラー向けの状況ですね。まずはトヨタです。

 着実な拡大はしているものの、それが大きなものには至っていないということで、これはこれまでのトヨタ販社独特の文化等から同じ傾向が続いているようです。ただ、有明のディーラー併設店舗で風向きも変わってきたようでもあります。つまり開店前の予約段階で100件を超える予約を受けて、トヨタ車はもちろん、半数は外車等の他メーカの新車の来客もあり、その一連の状況をディーラーの方が間近に目の当たりにすることにより、KeePerの人気を肌で実感されたという事が、ディーラー内でも話題になったようです。
 これだけの支持を受けているサービス/商品を自店で取り入れる事はむしろ必然で、同社の販売網の178店への導入も決定という事ですね。これは他販社への口コミにも拡がっていくひとつのトリガにもなりうるということで、風向きが変わったということは、そういう事なのだと思います。
 営業活動を頑張ってきた中でなかなか訴求がし切れてなかったところが、LABO併設店舗を直に感じて頂くことが、何よりのわかりやすいマーケティングとなり、そこから過大な営業コストをかけずとも、拡がっていくというのは理想的なスタイルですね。そしてこのひとつの成功体験は、今後横展開されるでしょうし、逆にディーラーさん側から、併設案件がくる、みたいな事も期待できそうですね。これはまさにwin-winの構造でよいですね。賀来社長曰く、「TOYOTAが拡がっていく糸口がみえた」ということですので、今後が楽しみですね。

 続いてスバルですね。

 販売会社から3年が経ち、付帯率も一定水準に達している事や現状ダイヤモンドコーティングの1種類のみの提供ということもあり、今後の伸びは限定的とみられているようです。他商材を合わせて提案していくなどで微増していくくらいはあっても、安定運用に入ったようなイメージなのでしょうね。

 ホンダについてです。

 ホンダはトヨタとは逆にトップダウンで一気に導入が進められており出だしは好調のようです。「技研」の精神が通じて、良いものはどんどん入れていきたいという発想が強い手応えがあるようで、いい感じに入っていけているようですね。今期は付帯率10%、来期はこれを20%にまであげていけるという計画のようですね。

 それ以外のディーラーさんへの動きということですね。

 三菱さんは23年4月より純正対応が始まっており順調に施工が進んでおられます。これ以外の会社さんについてもタイミングをみながら提案を進めているようです。タイミングをみて、というのはなんとなく含みがあるようにも思えたのですが、様々な諸事情もあるのでしょうね。在庫の状況、安定供給、各社さん内の各種稟議等・・・。

 最後に海外展開の部分ですね。

 タイトルに「開始」とあるようにまだこれからということですね。ニュアンス的にはだいぶ出遅れてしまったけれど、今年ようやく着手ができるというエクスキューズにも聞こえました。従前、海外担当を置いて任せてきたものの、やはりトップ自らが積極的にリーダーシップを発揮されるとのことでしたので、Reスタートという感じではないでしょうか。今年1年の成果ということではなく、3年、5年先を見据えた長い目線で開拓を進めていかれるようですね。この辺りは、各国の状況にも様々な事情があるもので、肉食営業でとにかくとってくるんだーという感じではなく、うまく関係性を育みながら、同社のよきサービス/商品をみてもらいたいという志向を感じるトーンに感じました。

・KeePerLabo事業について(鈴置専務)

 まずは月次情報の推移表を使ってのご説明です。いきなり細かいですね(笑)。

 全店、既存店共に通期を通して2桁成長となっており堅調だったとする一方で、来店台数に着目してみると前年割れを起こしている月もあると言及されていました。この件については、店舗改装の実施や天候要因(降雪や顕著な週末の天候不順)という要因を個々に解説されていました。コーティング客の減少というより洗車需要の後退だったこともあり、単価も高位安定しているという事も併せて述べられておりました。結局のところ、単月ベースでみると様々な事もある一方で通期レベルで見通してみると、総じて支持をされ伸ばす事が出来ているという総括でした。

 また決算説明資料にはなかったように思いますが、細かいパラメータとして、新規客台数や技術者数の変化等も解説されていました。来店台数は全店で61.2万台となりYoYで+12%、平均単価も同+10%ということでした。新規利用者も10.4万台となったようですので約17%が新規客であったということになります。逆に言えば83%がリピーターであり、これはかねてからIRで発信されている通り概ねリピート率は85%程度という所とも平仄があいますね。高いリピート率だと思います。そして、技術者は240人の純増ということです。人があってのサービスですからこの辺りのパラメーター推移も大事ですね。メンテナンス需要についてもその強さの指摘がありましたが、引き続き長く車を利用したいという根強いマインドもメンテ需要に後押ししているようにも思いますね。

 この後、新規開店や改装についての紹介もありました。こちらは取り立てて目新しいことはありませんが、反省として開店が期末に集中してしまった点を挙げられておられました。資材高騰や納期の問題など不可避な部分はあったとはいえ、同社としては適切なタイミングで開店に至れなかった反省もあるようで、今はこの部分の改善に努めておられるようで、その改善の兆しが見え始めているというトーンで解説されていました。この辺りはもちろんスムーズに計画通りに遂行させられれば各期の予算面からもよいのでしょうが、一方でアジリティ高く開発を進めていく事も重要でもあります。長い目線で出店開発がどうあるべきかを大切にすることもまた大事だとも思います。とにかく当初決めた時期通りに是が非でも進めていくということではなく、QCDのバランスをみて今後も対応頂ければいいかなと思いました。

 今期出店計画及び改装計画についても言及がありました。

 LABO出店は直営で15店の増加を見込まれています。改装についてもコーティングブースの純増数としては+46台となるようです。人材採用も213人(うち新卒110人)の獲得を計画しているようです。新卒は現時点で88人が内定しているようで中途採用含めて計画通りに遂行していきたいようです。

・車以外の事業及び将来について(谷会長)

 決算説明資料の順番からいえば、車以外の事なので外販部の話から始まるのかなと思いましたが、当然そういうこともなく、谷会長のお話が始まります。

 冒頭ではビックモーター社のコーティングに関する話ですね。名前が似ていて、リリースを出して顧客にもDMで送りその際にオータムキャンペーンなるものを発動したいきさつについての報告がありました。この話で感じていた事ですが、すぐに一部の店舗で数値に異変を検知して、すぐさま対策を打った機動力の高さです。数値もすぐに戻り、影響も限定的だったようですね(とはいえ、少し月次には影響が出るかもしれませんね)。
 後に質問にも挙げますが、アナログの会社なので25万件の顧客に対して郵送によるDMで周知を図っていたようですが、この辺りはその良さも理解しつつももう少し顧客接点を多面的に持っておく重要性を示唆しているようにも思います。かねてからいわれているアプリ等の導入は益々検討された方がいいんじゃないかと個人的には感じました。
 またこの説明の文脈でこういった誤解によるマイナスイメージを受けた事を、何らかのプラスで返していかないと面白くないという表現をされていました。オータムキャンペーンもその一環でしょうし、むしろ相対的にちゃんとやっているKeePerの訴求力が高まる事への期待感を示されていましたが、こうやって何度もあった逆境を乗り越えてこられたのだろうなと納得させられました。GS経営から積み上げてきたものはこういう逆境を楽しみながら期待を超えていこうという仕事好きがあってのもので、ここに非凡さがあるのだろうと思います。

 LABOの状況としては、既存店の2桁成長が持続しており順調に成長をしているとされていましたが、一方で新店については、来期の30店の純増については、やや控えめな表現をされていました。というのも、これを実現するためには、既に今期中に店舗開発の体制作りを進めねばならず、それは進んではいるものの、慎重に進めないといけないというお考えも持たれているようにお見受けしました。体制作りや用地取得も進めようと思えばある程度いけてしまいそうな状況にまでは至っているものの、オペレーションを含めた人の問題であったりという所までを見渡してみた時、その数を追う事だけに目を向けていてもよくない、ということですね。出店後の状況の事も考えていかねばならず、アクセルを踏み続けるだけでなく、オペレーションを考えておられるあたりはとても良いと個人的には思います。足元の状況をみながら、皆で相談して適切なペースで出していかれたいということでした。
 ただ、計画として大風呂敷を拡げてしまっている所は事実なので、こういうメッセージはより丁寧にIRをするべきだとも思いました。

 成長という意味ではLABOは線形にしか伸びていかないし、そうあるべきで(適切な労働集約型の継続という観点ですね)あるが、ここから生まれる顧客の声を活かした製品開発などは、顧客という大切な宝物を持っている中で、幅を出していける事がまた今後の成長を牽引するものになるはずというお話もありました。プロショップへの展開、新車ディーラーへの展開などは、こういう宝物を活かしてより良いものを作っていくことで大きな成長を遂げていけるということでした。途中、予算に対してアップサイドしていけるよね、って役員にプレッシャーもかけておられましたが、こういう掛け合いもまた面白いものです。

 ディーラーさんの存在価値という点で、今後のEV化の潮流の中で新たな付加価値を見出していかねばならないという中で、アフターマーケット向けのシナジーを一緒に創っていくという連携も今後はより創造しやすくなるのではないかというお話もありました。今の水準からは1桁オーダーが変わる程度の成長もうかがえるということでした。

 話が紆余曲折してた所で、賀来社長から、「車以外」というささやきがあり、谷会長もここでようやくタイトルにあった車以外のお話を始められました。毎年こんな掛け合いで成り立っているんでしょうね(笑)。
 ちょうど総会当日のニュースでバスタブ向けのコーティングについてのニュースが出ておりここから話が始まりました。

  現状ではおそうじ本舗さんなどが細々とやられているところですが、今後このKeePerの商品がどんどん採用されていくようです。具体的には年明け頃にいいニュースが聴けるようです…
 浴室全体からシンクなどにも拡がっていく想定のようで、スマホコーティングで培った経験も生かせるようで、DIYでも対応していけるようになるようですね。
 他にも大手薬局へのフックへのコーティング(滑りをよくするため)等でも進出があるようですね。残念ながら全体寄与はごく軽微になりそうですけど。ただ、滑らせるという所への拡がりは面白そうですね。
 いずれにせよ、これらの車以外の商材で年間20億位をつくれたらいいなとおっしゃっていました。中計の計画には織り込んでないようですが、現状の売上からみると10%程度ということになりますね。

 船底のフジツボの話もありました。効果はある程度検証が出来ているものの、話が大き過ぎて拡販の進め方はこれからのようですね。

 海外機関投資家面談が増えており、昔のスターバックスやコカ・コーラに似ているなんて言われてしまってね~と少年のように嬉しそうに話をしているのがお茶目でいいな(失礼)~と思いました。

 最後に、上場して8年余り、今では時価総額大きくなって、とりわけ多くの会社をみるプロの投資家が評価をしてくれている事への喜びを語っておられました。(高い評価が)何かを保証してくれるものではないけど、だけど、目の肥えた投資家が面白いと可能性を感じてくれているからには、今後も頑張っていきたいという事で、まだまだ現役で頑張るんだという熱量を感じる事が出来ました。

3.質疑応答

 ここからは、質疑応答のやり取りをメモで残しておきたいと思います。なお、このメモは私の主観に基づき脚色したものとなっています。従いまして、意図せず認識齟齬や事実相違等を含む可能性があります。あくまで参考程度にお読み頂いた上で、必要に応じてご自身で調査・照会等を通して判断頂けますようお願いいたします(優しい方がおられれば訂正等のご指摘を頂ければ大変ありがたいです)。
 なお、私が投じた質問には★印をつけております。

★Q 広告宣伝活動について
 良いサービスは基本的に口コミで拡がるものであると考えている。当社においても、多くの顧客の口コミにより拡大を続けてこられたわけだが、一方で最近ではマス向けにCMをやられたり、SNSやyoutube等のインフルエンサーとのコラボ、メディア露出等様々な認知向上策を講じられてきておられる。その活動を通して多くのお客様に支持をされているかと思うが、急激な現場での需要の波が作られることなど課題感もまた様々と思う。広告宣伝活動も様々な事をやられてきている事を踏まえて、今後の広告宣伝活動の展開方針をお聞かせ頂きたい。特に口コミを主体として広げていくことでの費用面でのメリットやマス戦略を含めた手法の効果の継続性、現場品質のオペレーションの維持とのバランス等留意すべき事も多いと思うため、お考えをお聞かせ願いたい。
A
 5年以上前までは1台1台を丁寧に施工をしていくことで信頼を得ていくという時期だった。そういう信頼を重ねていくことで、より注目もされるようになり、5年ほど前くらいからSNSでも取り上げて頂けるような機会も得て、ここで飛躍的に認知度と信頼を高める事が出来た。但し、ここまではいわゆる車好きの人にそれが届くのみであり、成長のためにも、今後は女性を含めた普通の人にもその信頼や認知を拡げていかねばならないと考えていた。このような課題感からフレッシュキーパーという製品を開発し、そしてそれをマス向けに発信しないとならないと思った。実際フレッシュキーパーは車好きが集まるLABOにはほとんど作用がなく、逆に日常的にGSとして使われる女性を含めたプロショップに大きな反響を作る事が出来ている。このような方々へより訴求するためにマス広告の必要性を改めて感じた所。
 マス広告については、今年12月までは実施予定だが年明け以降は少し効果やタイミングを見計らっていきたいと思っている。費用面でもやはり四半期単位で1億超を拠出することになるため、そのことを踏まえて判断していきたいと。(谷会長)
■所感
 同社への質問はIRセミナーなどでも皆さんが事細かく質問されていることもあり、あまり収益モデルに使えそうなKPIを聞いてみるとか、細部の事ではなく敢えて抽象的な質問を冒頭2問しました。
 一つ目は広告宣伝の事ですが、信頼による口コミをベースとしつつも、マーケティングの要素から、新たな顧客開拓を進める必要性があって、マス広告にも一定の合理性があるのでしょうし、その効果も測定されてる様子でしたので安心しました。そして年明け以降は少しやり方を変えてみる、といったPDCAの意識も伝わってきましたので私としては十分な回答でした。
 一方で現場の需要の波という部分には言及がありませんでした。カンブリア宮殿の時もそうでしたし、CM等の作用で、時に現場に大きな需要の波を作ると、現場がひっ迫したりといった状況もあるのかなと思っての観点だったのですが、生産人時等もモニタリングされていることから、そこまで懸念するような状況にはないのかもしれませんね。LABOなどは所詮予約受け入れになりますからね。車好きにLABOが浸透していったように、女性層等のライトユーザーに対してもどこかで主たる販促活動をせずとも、当たり前のようにプロショップでコーティングがお願いできる、といったサイクルが形成されるといいですね。
 LABOで車好きがこぞっている状況が同じような状況で作れればパイも違いますから大きく飛躍しそうですね。そうなるとプロショップの受け入れ容量的なところになってくるのかもしれませんね。海外でも一部あるようなモール内の併設とかでもいいかもしれませんね。モールにいくとよくディーラ―併設みたいな所でコーティングができるみたいなのは当然検討されていると思うのですが、今後認知機会も多様化が進んでくるといいですね。

★Q 信頼について
 谷会長のご報告の中にもあった通り、昨今の車界隈の関わらず、様々な所で信頼を重ねていくという事を考えさせられる機会が増えている。当社は日々の発信の状況から風通しもよく、年末には総出で対応されている姿から実直な姿勢に信頼を寄せている。そしてそのような実直な姿を顧客により知ってもらい、信頼という面で顧客により訴求していって頂きたいと感じている。そのためにも仕組みとして顧客エンゲージメントを深めるためのアプリ作りだったりという施策にも期待したい。そして信頼とは知らぬ所で失われたり、一度の失敗が致命的にすらなる。過信をせず信頼を重ねていく重要性を大切なポイントであると考える。今後この信頼、そして顧客エンゲージメントの深化という部分で、それを損なわないあるいはより高める、深めるための施策への想いを聞かせて欲しい。
A
 いくら店舗が増えても、お客様が増えても1台を大切にするという事はとても大事なことでこれに尽きる。そしてやはりそれは人がなすことであり、採用には特に留意している。
 最近応募だけでも2000人は応募があるが、一方で実際に面談まで進む方は500人程度である(連絡が途絶えるなど不義理な状況があるようですね)。その中から基準に従って採用するのだが、その基準の中で、お客様の喜びを自分のモチベーションに出来るかどうかという点を重視している。人が喜んだら自分も嬉しいと真に思えると感じられる人選びを大切にしている。
 これがベースにあって、その上で組織としての良い店作り、技術力の醸成などがある。とにかく人が鉄則ということと、1人1人のお客様の喜びを糧に出来るような状況をこれからも作っていきたい。(谷会長)
■所感
 こちらはより抽象的な質問ですね。それ聞いてどうするの?って感じでもありますが、特に株の売買のための材料探しに来たわけでもないのでいいんです…。信頼への取り組みは、同社の文化から毀損する可能性は低いと踏んでいますが、組織が拡大していけばどうやったって綻びは出てくるものですから、こういう投げかけを通して改めて信頼を大切にして欲しいという想いを込めたつもりです。その上で、この信頼というものを顧客エンゲージメントに繋げていく仕組みへの取り組みも提起しておきたいと思いました。アプリがいいのかとかもよくわからないのですが、今回のビックモーターさんの件でのDM送付等のシーンでもツールがあればより即時性とコストを抑えて繋がりを活かせるとも思います。これもひとつの信頼を高めるツールになると思っています。
 信頼のベースには人があるという回答はその通りだと思います。採用基準の中で人の喜びを自分の喜びに出来る事を重視しているというのは、同社の特徴を捉えた内容でなるほどなと思いました。こういう答弁をお伺いしてから改めて動画をみると理解も進みますね。

Q 新任取締役の抱負や期待すること
 新任取締役の方のお言葉で抱負を伺いたい。
A
(増田氏)
 製品や車以外の開発の所を所掌しているが、今期は車以外の部分で具体的に数値の成果を出せるような取り組みを加速させていきたいと考えている。その理由としては、車以外でいうと例えばおそうじ関連でいえば施工されている方は比較的高齢の方でも働けているという状況もあり、今若く車分野で頑張っておられる社員の活躍のフィールドを拡げていくという事を視野に入れておきたい。
(山下氏)
 2月にCFOとして入社し、前職ではアナリストとして活動していたが、縁あって入社することになった。入社してみて海外や車以外の事業等まだまだ成長エンジンが沢山ある中で、中に入る事で後方支援出来る事が沢山あると思っている。まだ知識も浅い中なので、周囲の皆さんや株主からも多くアドバイスを頂きながら職務に当たって参りたい。
(齋藤氏)
 社外取締役として今回参画することになった。このような株主総会は初めてで、まして自分が話をする事になる事もまた初めてである。
 マーケティング業界に長くいたことから、顧客目線でKeePerをみる目をきちんともって助言できるようにありたいと思っている。
(武藤氏)
 会長が物理用語を使って自社のサービスを語られている事もあり、物理学所である自分にとっては新鮮であった。車の業界は素人であるものの、車以外の様々な業界に出ていくにあたっての助言や大学経営の学びからもSDGsの取り組みなどは進めていかなばならず対応して参りたい。また、車以外の取り組みにあまりに傾注するあまりに株主利益を毀損するようなことのないように、社外取締役として株主のためになる視線をもって経営を見守って参りたい。
(松原氏)
 ガバナンス対応に注力していきたい。とはガバナンス対応というと利益面では抑制させるものでもあり、しかし大事なものという狭間で如何に効率的に、機能的にガバナンス維持に努めるかという点で貢献していきたい。特に当社はまだまだ規模を拡大していく途上でもあるため、そのような中であっても有効なガバナンス発揮に努めていきたい。
(河野氏)
 谷会長が創業された1985年は、通信自由化された年。その頃から通信業界に従事してきた。そこからインタネットによる革新が起きて大きく様変わりしてきた状況をこのITの業界でみてきた。そんな中ご縁があってこの革新的な成長を遂げている当社に参画をさせてもらうこととなった。生成AI等の研究開発での知見があるため、これを当社に適合しやすく活用していけるような立場でよりよくしていきたい(アナログな会社のよき部分を残しつつという趣旨)。業績を出すのは人、その人が活躍しやすくすることが株主利益にも資すると考えている。
■所感
 私も2巡目の質問として、新任取締役の方にマイクを握って頂きたいと思って質問を用意していました。特に山下さんと河野さんには注目していました。結果的に、全員の方がお話されるのはとても良かったですね。こういうのは質疑とは別の所でやるのがいいと思いました。
 印象に残ったのは増田さんでしたね。脱力系でマイクを握られ、何をお話するのかなと思ったら、面白いことを仰っていましたね。会社の未来も見据えられていて心強く思いました。
 河野さんは同社では唯一スキルマップのDX/ITに〇がついています。逆に言えばこの方にかかっているということでもあります。人と技術と優良顧客が存在している中で、これをITの力を使って繋ぐ仕組みは、例えばアナログの会社であったとしてもチャレンジしてもらいたいと思います(アナログのいい部分を残しつつ)。

Q 洗車の料金体系について
 今回の料金改定によって、コーティングの有無による価格差が広がったものと承知しているが、個人的にはもう少し差を拡げてもよかったのではないかと考えている。結果的にコーティングを施した方がお得ですというメッセージにもなる。お考えはどうか。
A
 洗車の値上げで来客が減るかなと思っていたものの、減少しなかった。もっとあげておけばよかった(笑)。
 元々洗車でまずはお試しした上でコーティングに繋がればという事で洗車のエントリー層への価格は抑えていたのだが、今となってはコーティングを調べてされるケースが多くあり、洗車を入口にして価格を抑えるという仕組みが無くてもいいなという判断もあって、一定の原価に見合った分を価格転嫁させて頂く判断をした。
■所感
 この辺りは難しい判断ですね。確かに洗車のお客様も大事とはいえ、コーティング作業こそがメインである事は自明でもある中で、どこまで配慮をするかという所ですよね。結果論としてはもう少し値付けを意欲的にしてもよかったのかもしれませんが、逆に言えばこの程度でソフトに受け入れられる位でもよかったのかもしれませんしね。

Q 付与ポイントについて
 LABOの売上96億がポイント付与対象だとすると、約2億円分のポイントを付与していることになる。そのコストの費用対効果をどのように捉えられているか。これだけのコストであれば、アプリ等を作りメンバーシップ向けの施策にも使えると考える。より積極的な顧客アプローチに投下出来るのではないか。
A
(総会内では回答せず)
※時間の兼ね合いで閉会後、個別にやりましょうとなった。

Q 経営姿勢の現場浸透の課題について
 KeePerは歓迎を大切にしているという趣旨の情報発信をコラムでされていたかと思う。この姿勢はとても良いものだと思うが、残念ながら現場で実際にサービスを受けている身からすると、まだまだ課題も多いものと感じている。真の歓迎ということであれば、予約時に様々な情報をあらかじめ取得していることから、お客様の名前でお迎えする等のホスピタリティも実現できるのではないかと思うがそこまでには至っていない。まだまだ経営と現場にGAPがあるのではないかと思うがどうか。
A
(総会内では回答せず)
※時間の兼ね合いで閉会後、個別にやりましょうとなった。

Q 役員選出について
 2号議案と3号議案で選任が分かれているのはなぜか。以前からそうだったのか。区別するということなのか?監査人も変わったし…(ちょっと質問の真意が理解できず…)
A
 今までも別々に分けて選任してきている。多様性を重んじて選任をお願いするものである。(賀来社長)
■所感
 この質問を含めてこの後3問は同一の株主の方からの質問だったのですが、質問の意図がわからず…。なんで2号議案と3号議案で区別して選任するのか、的な事を仰っていたようにも聞こえたのですが…。結構長く話されていて、ここは時間がもったいなかったですね。

Q 引当金について
 BSに債権受取手形が15億あるが、貸倒引当金が極端に少ない。なぜこんなに少ないのか。
A
 引当金が少ないのは、「うち、焦げ付かないんですよ」。
 過去の貸倒率等から合理的に計算をして計上しているものである。また、リスク回避の観点から、一度でも入金が止まる場合があれば、大手であろうが以降の出荷を止める仕組みも導入してある。仰るように未来はわからないのは確かだが、だからといってなんでもかんでも計上しておけばいいというものではもない。過去の実績等を踏まえて合理的に判断した結果なのでご理解頂きたい。(谷会長)
■所感
 株主さんは不測の事態があったらどうするんだ、いや実績に基づいて合理的に、の応酬があってここも時間がもったいないですね。「うち、焦げ付かないんでね」を谷会長が何度も連呼してて、それでもいや何かあった時のために必要な計上をすべきでないかを連呼してましたね。
 過去からの連続性の観点からも論拠もなく計上基準を変えるという事もないでしょうしね。この株主さんが何を仰りたかったのか、よくわからないんですよね。未収リスクにおいてCFで語るならまだわかるんですけどね…。この辺りは議長がある程度采配するとか、それこそ閉会後に個別にやるとかにすればいいんですよね。結局最後まで折り合えず、最後は谷会長が「貴重な意見、参考にさせて頂きます」構文で幕引きを図っていましたしね。
 株主さん側もみんなの時間でもありますから、ある程度自己主張を展開する部分も控えて、事後にやりましょうでいいと思うんですよね。

Q 自己株式の扱いについて
 自己株式を今後消却する予定はないのか。
A
 消却すればいいんではないかというのはわかるが、そうしないといけないということもないし、何かしらの使い道があるかもしれない中で、今は判断んできない。(谷会長)
■所感
 これまで直接的な質問で、予定があったとしてもそうは答えられないですしね。資本コストとかの話で指摘するなら有益な議論になりそうですが、単に自己株多いし消却しないのかといっても中々よい対話にならないですよね。

Q 現金使途について
 現預金が35億あって毎期30億積み上がっていくと数年後をみていくと現金リッチになると思うが、現金の使途をお伺いしたい。特に出店のペースが一定の水準に達した暁には現金過多になるような状況になるがどうか。
A
 創業の時から手元に1年分の人件費は確保しておきたいという事を心掛けてきた。東日本大震災等の経験からこういう想いが強くなった。今はその人件費とほぼ見合った数値になっているのは確か。しかし今後更に積み上げていくという事はしないつもり。
 なお、全国制覇をして出店ペースが一定水準(色々な目算から400-500件)になるまでには、少なくてもまだ10年では達しない。つまりまだまだ全然投資をしながらということになるので、あまり現金寝かして休めるような状況にはない。(谷会長)
■所感
 まぁまだまだ10年以上はかかるってことですよね。そして従業員の給与の1年分の運転資金は確保しておきたいってところも納得です。というか、私の投資先のひとつである学習塾のステップさんも全く同じですね。まだまだエリア展開には10年はかかるし、運転資金の1年分は確保しておきたいと。やはり創業者としてはそういう危機感的なものは常に隣り合わせにあるということなのでしょうね。

Q (エール)頑張ってね
 ウクライナ問題やジャニーズ問題など多岐に渡る時事ネタを扱い大演説された上、最後は結局エールで終わるという事で質問ではない
A
 特にお答えなし
■所感
 時事ネタを網羅しながら演説される心境ってどういう心境なんでしょうね。私も話は長い方ですが、それを超える演説でした。この辺りも、他に質問をしたい方もおられたと思うので、議長の采配をするのがいいと思うんですよね。まして、閉会後、懇親の場もあるわけですからね。

4.所感

・社風について

 全体の会社への所感としては、やはり創業者の谷さんの存在の大きさをとても実感する機会となりました。ただ、だからといって創業者カリスマで成立しているというよりも、賀来社長をはじめとした新たなリーダーシップマインドとチームワークの良さを感じられるものでもあった気がします。この会社の空気感を感じられただけでも、参加出来てよかったなと感じました。
 そして忌憚ない谷さんの語り口は、これまでもIR説明会等で想像しておりましたが、その想像を超える愉快なものでした。そしてそれは単に脈絡なく自由にお話をされているように一見感じられますが、定量的な情報も織り交ぜて想いを込めておられる所から、生粋の創業経営者なのだなと感じました。当たり前の事ですが、自社の事を定性面、定量面共によく把握されているなと感じました。そして、その谷会長を随所で手慣れた様子でお支えされている賀来社長の姿をみていると世代のバトン渡しもしっかりなされているとも思えました。

・経営について

 経営に関して印象に残ったのは、自分が好きだなと思う琴線に触れる所が多かった所です。すなわち、規模拡大を慎重に進めること、人材への配慮が想定している所を超える位に大事にされていること、そして自分達のスキルに疑いなきプライドを有しているといった所です。私が主力の投資先としている学習塾のステップ社も同じような文化が根付いています。正直、KeePer技研さんの株主総会でステップと同じだなと思うとは思いませんでした。KeePer技研は成長率も高く、市場が付けている評価も物凄く高いものを得ており、グロースとしてみなされているわけです。ある程度前のめりになって成長への意欲というものを全面に出される会社さんも多いわけですが、印象としてはむしろ逆なのです。谷会長の剛腕手腕のイメージとは裏腹に、仕事が大好きな職人さんが、お客様の従業員の幸せを願って実直に日々邁進されている中小企業経営のような雰囲気を感じるわけです。そりゃ、年末商戦ともなれば経営幹部も含めてそのスキルを手に全国の店舗に出向いて一緒に現場で汗を流すような社風になるわけですね。ものすごく合点がいったわけです。自分が投資をしている会社がどういう経営スタイルの下で運営されているのかという一面に触れるだけでも、お金を投じて一緒の船に乗って企業を見守るというエンゲージメントを得られる事は、プライスレスです。時にこういう想い入れが投資判断に良くない影響として作用することもありますが、自分の投資ライフにおける継続性という点で納得感を大切にしている所でもあり、株主総会行脚はやはりいいものだなと思いました。

・総会オペレーションについて

 株主総会全体のオペレーションとしては、もう少し改善しても良いかなと思う所もありました。まず、質疑応答では時間オーバーで質問を打ち切る事にもなりました。ただ、その多くの時間を要した背景としては、①新任役員の抱負を語る時間、②一部の質問者さんの演説、③一部の質問者さんの物わかりの悪い絡みでした。
 ①については、私もCFOの山下さんとIT有識者の河野さんにはお話を頂きたいと質問を用意してましたからとてもよい質問フリだと思いました。ただ質疑の中ですと時間も使うことになりますから、質疑とは切り離して議案上程の際などに能動的に新任候補の方からお話を頂くという時間を設けるのが良いかなと思いました。株主総会で新任役員には否応なしに関心が集まりますし、やはり一言も発しないで選任決議を取られ、なんなら閉会まで一言もお話を伺えないのはよくないですからね。
 ②については、質問に関連しない演説は閉会後に役員も残り対話の機会があるのであればそこで存分にやって頂ければよいのかなと思います。特に同社の事業に関連しない、ウクライナ問題、ジャニーズ問題等時事ネタへの言及等もあって、聞かされるこちらも苦しいですし、それによって質問機会が制限されることは、例えその方が常連であったとしても議事進行上、統制を取られた方がよいように思います。
 ③については、質疑の所でも記載した通り、全くかみ合っていない議論であったため、やはり閉会後に個別にやってもらう方がよいのかなと思います。「貴重なご意見参考にさせて頂きます」で一旦収束させ、必要があれば後で個別にと、早々に幕引きを図って頂く運用があってもよいかなと思いました。
 ただ、質問数の制限がなかった点はとても良いと思います。そもそも質問数を制限するという事は、対話の機会にキャップをはめられているようなもので、せっかくの機会が台無しだと思ってしまうわけです。少なくても自分は参加をして質問を投じる時には、10問は想定質問をピックアップしますし、その中で株主総会という場で役員に投じるものとして適当と思うものを絞るようにしています。しかし、会社によっては1問とか2問までと制限される事もあって悲しくなるんですよね。
 そう考えると、やはり株主総会としての質疑は議案に関連するものにフォーカスを当てて、一旦株主総会では決議を取り、2部の中で説明会・対話会という体でゆっくりやるのがいいようにも思います。報告事項の部分も株主総会としてはもう少しシンプルにした上で、存分に2部でやるという方が、双方にとってやりやすいのかなと思いました。議事録作成等の事務も軽減できますからね。

・株価水準について

 KeePer技研の株価はPERも30倍超がついており高い評価がついています。至る所で流石にもう手がでないという声も漏れ聞こえていますしね。株主総会で報告事項で語られる事には確かに大きな可能性を感じたりしますし、その多方面ぶりにもワクワクさせられたりということもありました。海外など個々の課題も改めて認知出来ましたが、そういう所へのチャレンジも含めて応援したいという気持ちも強くなりました。
 では、目を瞑ってこの株価水準でもバンバン買い増しをしていくかという所は判断が難しいですね。確かに高値からそれなりに調整はしていますし、もう一段下落がくると、直近2年で3回ほどあった押し目の4回目、みたいな様相でもありますし、悩ましいですね。海外を含めた機関投資家IRが充実されてきているようで、関心が益々高くなっている事もありますから比較的堅調に推移するような気もしますけどね。こういうのって結局わからないに帰着してしまいますよね。

5.さいごに

 読んで頂いてわかるかと思いますが(そもそもここまで根気よく読まれている方はごく少数だと思いますが(笑))、特段目新しいこともありません。報告事項についても決算説明資料をベースにしたものですし、谷会長の語り口もIR説明会等である程度体験することができますからね。
 ただ、やはり株主総会という場に足を運び、閉会後のコミュニケーションも含めて会社の色を感じられる事、この先にどのようなものを展望されているのかの温度を感じるという意味ではとても良い機会になりました。もちろん、この温度を体感した所で、株式投資のリターンを極大化するという点でみるとあまり重要な事ではないかもしれません。ただ谷会長のまだまだやるんだという熱量や、それをチームで支えて継承していこうとされている様子などを間近に触れて、自分が投資している会社の理解を深められる事は心地の良いものだなと思いました。
 閉会後に、賀来社長や山下CFOらとお話をさせて頂きました。いくつか細かいリクエストもさせて頂いた気もしますが、また来年名古屋まで来られるといいなと思いました。
 頑張れ、KeePer技研!

(番外編)総会前後のこと

 実は私は名古屋にきちんと降り立ったのは初めてでした。これまで乗り換えなどで一時的に駅周辺に少しの間滞在というのはあったのですが、ほぼ1日名古屋にいるというのは初めてでした。そして実は直前まで諸々調整をしており名古屋行はぎりぎりで決めたことから、ランチをどうするか、お土産をどうするかを全然決めていませんでした。
 名古屋といえばひつまぶし、手羽先、味噌煮込みうどん、味噌かつ、あんかけスタ、小倉トーストって所ですよね。あんかけスパは一度食べた事がありましたし、他は東京でも食べられるなってなって、うーんとなっていました。
 で、もう諦めていたのですが、味噌かつ発祥の店なるものが栄にあるということで、これなら東京にもある矢場とんでなくて価値があるとなって、足を運びました。

 お土産はどうしようかなと行脚していたのですが、岐阜で有名な栗きんとんが売っているではありませんか。という事でこれをお土産にすることにしました。本当は赤だしのための八丁味噌でもと思ったのですが、なかなか見当たらず断念しました。

 また、帰り際には有名な新幹線ホームのきしめんも頂きました。

 そして閉会後はフォロワーさんと一緒にカフェで小一時間お茶を共にしました。私はコミュニケーションを取る事が下手くそなので、普段はオフ会などにもほとんど行った事がなくて、緊張するのですが、お会いすれば楽しくあっという間の時間でした。ご一緒下さった方には改めて御礼申し上げます。

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