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作れなかった七夕飾りと先生のビンタと大人に嘘をついた日の話

幼稚園で作った七夕かざり

♪ささのはさ~らさら~ のきばに・・?なんだっけ?のきばってなんだ?

七夕が近づき、近所のスーパーや施設の笹飾りを目にすることが増えてきました。

それを見るたび作れなかった七夕飾りのことを思い出し、ほろ苦い気持ちがよみがえってきます。


幼稚園年中の私。みんなで七夕飾りを作っていました。わっかを繋げたやつ、網みたいなやつ、たいこみたいなやつ・・そこまでは順調でした。

一つだけ、貝がらみたいなやつが作れませんでした。

折り紙の、角を上にしてひし形のようにしてからくるっと巻いてのりで留める、みたいな感じだったと思います。

でも何度やっても巻き方がうまくいかなくて、先生に何度も何度も聞きに行きました。


そしたら先生が廊下に私を連れ出して、ビンタ。


「何回言ったと思ってるのーーーーー!?」


ぶぶぶぶたれた。


びっくりしたけど質問に答えないと、と思ってすごいふんわり両手でパーを作りました。(10回って意味です、正確な回数はわかっていなかったけれど)

それから教室に戻って泣きながら再挑戦しましたが、結局作ることができませんでした。

その日作った七夕飾りは、体操服入れのナップサックにぎゅうと押し込みました。


その日の帰り、私は母親にビンタのこと言ったのかな。普段からグズグズしていたし「どんくさい子だな」と思われたかな。母は持ち帰った体操服と一緒にぐしゃぐしゃになった七夕飾りを見つけて、またよくわからないものを作ってきたなと思ったことでしょう。


初めて親以外の大人に嘘をついた思い出

それからもうすぐ夏休み、という時期になりました。休みに入る前には幼稚園に置いてある荷物を持ち帰るのですが、そのとき先生に呼ばれました。

「マルムシちゃんの七夕飾り、探したんだけど見つからなくて、ごめんね。どこ行っちゃったんだろうね。」

あの日先生に渡さずに袋に詰め込んだ例のアレを、みんなは今日持ち帰っていました。

「家にあるよ」と言えばよかったのに、私も「どこ行っちゃったんだろうね」と答えました。多分これが初めて大人に嘘をついた瞬間だったと思います。


それからだいぶ後、私が大人になってから改めて母に「昔幼稚園の先生にビンタされたんだけど」と言うと、

「二十歳やそこらだったらちっちゃい子ども相手にイライラするでしょ。」と一蹴されました。

ものすごい失礼なこと言ってるなと思ったけれど、二十歳やそこらの自分とグズな幼少期の自分を想像し、そりゃイライラするよなぁ、とちょっとだけ先生の気持ちがわかりました。ちょっとだけよ。今だったら大問題だったけどな・・。


貝がらみたいな飾り

あれからずっと、貝がらみたいな飾りの作り方がわからず生きてきました。

先生からのビンタも私の中でネタ的な扱いになっているので大丈夫なのですが、毎年笹飾りを見るたび心がカサカサと小さく音を立てていました。

そうしてまた今年もやってきたこの季節、ふらりと入ったダ〇ソーで止まっていた時間が動きだしたのです。

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刑事さん、これです。この真ん中のピンクのやつです。

思わず110円払って買ってしまいました。

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すでに折り目や切れ目が付いている親切な商品でしたが、作り方を見てみても本当に簡単!

私、あの時何を間違えたんだろう。たぶん切れ目を横にして紙を巻くところを、縦にして巻こうとしたのかもしれません。

というかそれしか間違えるポイントがないんじゃない・・?


と思って作ったら間違えました。こんなに親切にしてもらっていても・・


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そうだそうだ、中心の折り目の向きが違うみたいなことを先生に何回も言われたんだ、と今思い出しました。

切れ目を横にして手前に巻くか、奥に巻くかで向きが変わります。そしてそれで切れ目の開き具合も変わります。あの頃の私にはそれが分からなかったようです。


38歳になっても、なんでそうなるのかよく分からなかったけど。


先生、私作れたよ。やっぱり紙を巻くときモタモタしちゃった。長年のコンプレックスが一つ、解消されました。ありがとう、ダイ〇ーさん。

今年から晴れやかな気持ちで笹飾りたちを見ることができそうです。この嬉しい気持ちが、みんなの願いを叶えてくれますように。(110円くらいのレベルの願い事で)

あのころ二十歳そこそこだった先生。34.5年経って還暦近くかな。先生元気かなぁ・・。貝の飾りをこれでもかというほど体に巻き付けて会いに行きたい。


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