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黒い森のひみつ 14

「最初の試練」

木の幹をくぐると、薄暗く広い場所が目の前に広がりました。

イグニ
「わ〜!森の中にこんな広い場所があるなんて!」

レイブン
「森の妖精たちは、沢山いるんだよ
リズムを生み出す「リズムス」 テンポを司る「テンプス」 「メロディ」
音量を生み出す「ヴォルメン」音が大きい「フォルティア」音が小さい「ピアーノ」
音階は「スカーラ」とかなまぁ〜他にもいっぱいいるけど・・・あいつらうじゃうじゃいるからな
いちいち名前を覚えられないけど、音楽を創り出すのに必要な妖精がここでいろんな音楽を生み出すのさ
そのうち、ポコラたちに会いにくるぜ、普段誰にも会わないから、森へ入ってきたものに興味深々なんだ
いろんな質問するわ、これやってみろ!とか、まぁ〜そのうちわかるさ」

レイブンが言い終わった途端、クスクスと笑い声が大きくなりました。

テンプス
「名前を覚えてもらっていて嬉しいよ。レイブン
あれ以来だね。ポコラたちを案内してきてくれてありがとう。
初めまして、ポコラの皆さん。
僕はテンプス「音楽」を支える役目の「テンプス」です。
目立つことはないんだけれど・・・「テンポ」って実はとっても大切なんだよ
自分たちの創り出す音楽を良くするのも、悪くするのも「テンポ」なんだ・・・
ポコラのみんなはホモラたちのために音楽を奏でるけど、「テンポ」の事を考えたことはあるかい?」

アクニ
「初めまして、水のポコラ アクニです。あまりきちんと考えたことはないですが、私は穏やかな水の流れが好きなので
ゆっくりとした音楽が好きですが、時々「この曲は雨が降った後に流れる荒々しくて流れが速い水の流れを感じるように弾いた方が
演奏する音楽の良くなるように感じる事があります」

シルフ
「テンプスさん!こんにちは、シルフです。僕も一つ一つの音楽にはそれぞれ「一番いい速さ」があるように感じていました。
自分が弾きたいテンポで弾く事が良いことじゃないし、演奏する音楽が一番よく聴く聴こえる「テンポ」を見つける事が大事なんだって
難しいけどそう思っています。

テライ
「大地のポコラ テライです。テンポって難しいです・・・。どうしても気持ちが勝っちゃうっていうか・・・
だんだん速くなったり、遅くなったり・・・聴いてもらっている人たちに安心して聴いてもらうためには、もっと意識した方が良いですよね」

イグニ
「火のポコラ イグニです。いろんな音楽があるんですが・・・僕はあまりテンポに支配されていない方が好きというか・・・
自然から生まれる音楽が多いので、感じるままに生み出すと言うか・・・規則正しいテンポにあまり惹かれていないという気持ちなんです」

テンプス
「さすが!ドモラから4つの国を救ったポコラたちだね!正直だし、きちんと音楽と付き合っているね!
レイブン、早くポコラたちに君の本当の目的を話した方がいいよ。このままだと何にも変われないまま4人は森を出ちゃうよ
大丈夫!この4人ならアムネンが間違った選択をやり直して、正しいものを正しい場所に戻してくれるよ!
そして、それをしてくれなければ・・・僕たち「森の音楽」がなくなってしまうかもしれないんだから・・・」

レイブン
「そうだな・・・わかったよ。なぁ〜でもその前にポコラに言わないといけない事があるだろ?」

テンプス
「あぁ〜そうでした!それでは4人のポコラよ!最初の試練を与える」

「ポコラたちよ!ここから先は音楽の妖精が出す試練を乗り越えていかなくてはならない!
先ず初めは「音楽を司るテンプス」からだ。
今から聴くこの音楽が一番綺麗に奏でられている「テンポ」はどれかを選ぶのだ!
4人がそれぞれ、自分で考えて答えを出すがいい。」

4人のポコラは「最初の試練」と言う言葉を聴いて、緊張してしまいました。

テンプス
「では、いいかい?今から3曲を3つのテンポで演奏するよ。
それぞれこの曲を「良いな〜」と感じる事が出来るテンポを選ぶのだ。」

1 外国曲       「子犬のマーチ」

2 ベートーベン作曲  「交響曲第9番 第4楽章」

3 オッフェンバック作曲 「天国と地獄」

3つの曲を聴き終わって

テンプスはみんなに尋ねました。

「さぁ〜どう思った?」

テライ
「1番は「子犬のマーチ」って曲の名前にもあるのだから、歩くくらいの速さがいいんじゃないかな?2回目に聴いた速さが丁度いいように思ったよ「天国と地獄」は早い方がカッコよかったなぁ〜だから3回目に聴いたのがよかった。ベートーベンの第9は2回目に聴いた速さがよかったよ」

アクニ
「私もそう思ったわ!テライと同じ順番よ」

シルフ
「僕も子犬のマーチは2回目のが一番良かったよ。テライの感じた速さだと思ったよ」

イグニ
「僕もテライと同じ順番に思ったんだけど、でももうちょっと速くても良いなぁ〜とも思ったんだ」

テンプスは4人の顔を見てニコっとしました。
「さすがはあの有名なポコラたちだね! 曲っね、それぞれ一番良いテンポっていうのがあるのさ、それを感じられるかが大事なんだよ
自分が速いテンポが好きだから、なんでもかんでも速く弾くっていうのではないんだよ。
よし!最初の試練は合格だ!次はリズムスの待つ「水鏡の森」へ行ってごらん」

テンプスの言葉が終わった途端、辺りは真っ暗になりました。

テライ
「さぁ~次の試練へ行くぞ!」

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