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2時間目 学校教育が大手企業養成機関で何が悪いのか?

前回の最後に、このように問題提起をさせて頂きました。



結論から言うと、私は学校教育が大手企業養成機関となっている現状を、100%悪いと感じているわけではございません。


「100%ではない」と含みのある表現をしましたが、では「何%悪いと思っているのか」という点と合わせて、「何が問題と思っているのか」を統計データと共に説明してみます。


まずは次の画像をご覧ください。



この数字は日本で働いている大人が、どのような組織、形で働いているかの数字です。

(正確には労働人口と言われる15歳以上の就業者と失業者の数=15歳以上で、学生でも、年金生活者でもない方々の中での割合です)


ご覧の通り、大人の中でも22%の方しか、大手企業で働いていないのが社会の実情です。

僕の問題意識はこの22%という数字の通り、22%の方々のために、そのほかの道を選ぶ人たちが付き合わされている現状となります。


ここで2点ほど、プロとしての補足があります。


1つ目は企業の組織づくりのお手伝い(コンサルティング)をさせて頂くと良く出てくる「パレートの法則」という言葉です。

「パレートの法則」は、例えば売り上げの8割は、2割の優秀な社員さんに依存している、という考え方です。


高校生の皆さんの生活の中でパレートの法則と言えることは、

・いつも着ている服の8割は、お気に入りの服の上位2割

・部屋で過ごす8割の時間は、お気に入りの2割の場所

などがイメージしやすいかもしれませんね。


あとは働きアリのうち、2割の頑張り屋さんが8割の食糧を確保している、とかもあります。


これは「ユダヤの法則」と言われる世界を構成するものの多くの割合が78:22になる、という考え方がもとになっている法則かと思います。

よく2:8(ニッパチ)の法則と言われるものです。


ユダヤ人と言えばとても知的で数字に強いと言われている方々です。

数字の1.2.3.4.5という形を生み出し、天才物理学者のアインシュタイン氏をはじめ、多くの著名な数学者を生み出していることは有名なお話です。


そんなユダヤの法則、78:22の例として、


大気中の窒素の割合78%、

世界地図上の海の割合78%、

体内の水分78%、

健康な方の腸内の善玉菌は78%、、、


などなど気にある方は調べてもらうとたくさんの事例が出てきます。


中小企業の場合は当てはまらないことの方が多いですが、大手企業になればなるほど、このパレートの法則と呼ばれるものが該当するようになると感じています。


統計学的な数値でもあるので(厳密には統計とは違いますが)、分母が大きくなればなるほど、78:22の割合に近づいていく傾向があるとすると、個人→組織→国と分母が大きくなればなるほど、その傾向が強くなるのかもしれません。


その観点から見ると、労働人口の中で約22%が大手企業で働いているというのは、日本社会としてはバランスが取れている状態なのかもしれないです。


また、日ごろ多くの方の「個性診断」をさせて頂いても感じることがあります。それは生まれ持った個性として大きな会社で働いて幸せになる人と、そうではない人がいる、ということです。その割合も概ね1:9か2:8くらいなので、22%の人が大手企業で働いていることは、ある種自然な成り行きとも言えます。


2つ目の補足が、以前に僕が行った大規模な「社員満足度調査」の結果、大手企業で働いている人も、中小企業で働いている人も「総合的な満足度」という意味ではほぼ同じ点数になる、ということです。


違いがあるところとしては、大手企業で働いている方は「給料」や「休みやすさ」に満足される傾向があり、中小企業の場合「社長の魅力」や「仕事のやりがい」に満足される傾向があります。あくまで微々たる差の傾向ではありますが。


ひょっとすると高校生の皆様からすると「仕事のやりがい」は大手企業の方があるのでは?と疑問に感じるかもしれないので、ここも少し補足させて頂きます。


これはあくまで「統計」なので、個別に見れば例外もたくさんあるのですが、一般論として大手企業の仕事は「マニュアルがしっかりある」「同じ仕事を複数の人でやる」という体制になりがちです。


言い換えると「誰がやっても成果がかわらないような仕組みを目指している」とも言えます。

だからこそ「休みやすいさ」に繋がるのですが、一方で「やりがい」はどうでしょう?


誰でもできる仕事をこなして、誰かが大きく感謝してくれるでしょうか?

誰でもできる仕事をこなして、大きな達成感を得られるでしょうか?


学校の勉強で言うと、みんなが100点を取るテストで100点をとっても、嬉しくもないし、誰も褒めてくれない状況です。


実際にキャリアの相談をお受けする際に、大手企業で働いている方は「お金と時間」を重視されている傾向を感じます。「やりがい」は欲しいけど、今の収入を捨ててまでは求められない、家族のために自分が本当にしたいことではないけど我慢して仕事をする、という傾向です。


誤解がないようにお伝えすると、このように考えること自体は全く問題がないことだと考えています。

大切なのは、「それで幸せかどうか」なので、そのような環境で幸せになれる個性を持っているのか、価値観を持っているのか、ということが重要なのです。


ただ少し残念なことがあるとすると、そのような考え方を「お子さん」にまで強いてしまうケースです。


例えば

「一度はじめた事(習い事など)を辞めることは良くない」

とか、

「学校の勉強が楽しくなくてもとにかくやれ」

とか、

自分がそうしているから子供にもそうさせてしまう、というケースがそれです。


あくまで、継続することや、楽しくないことを我慢することなどの「手段」は、「目的」や「前提」によって、良い悪いが簡単にひっくり返ることなので、お子さんの個性、という前提に合わせた手段の提示が重要だと感じています。


また大切なことなのであらためて言いますが、もちろんこの大手企業、中小企業で働くことの傾向には「例外」もあります。

というか例外だらけです。


大きな会社でも、「自分にしかできないこと」をされている方はたくさんいますし、高いやりがいを感じていらっしゃる方もいらっしゃいます。あくまで「統計」で見た時のお話と理解してもらえたらと思います。


「統計」と「個人の人生の幸福度」は全く別のお話です。

ただし、国の意思決定は「統計学」をもとに判断されるので、僕としては統計とは違う学校教育の実態に違和感がある、というのが今回お伝えしたかったことです。


そして今現在だけではなく、これから先の未来を見据えると、その違和感はさらに大きなものになります。

現在は22%の方が大手企業で働き、25%の方が会社に属さず、社長でもなく、個人で活躍をされていますが、これはたった過去3年(2018年~2021年)で1.5倍になるほど、急増している事実もあります。


まさに「組織ではなく個の時代」と言われていることの象徴かと思います。

高校生の皆様で、大学進学をされる方が社会人になる頃には、更にその流れは加速しているでしょう。


果たして22%のために、78%が個性を活かせない教育環境が、正しいと言えるのでしょうか。


そうした疑問から、課題感を感じると共に、まだまだやれることがあると可能性を感じています。


そこでマルコウでは次のようなコンセプトで、高校生の皆様や、高校生のお子様がいらっしゃるご家族の皆様に、情報発信をさせて頂きます。



時代に合わせた情報を伝えるためには、時代の最先端をいき、次の時代を見据えて活動をしている「経営者」の方、もしくは「プロフェッショナル」の方の話を聞くのが、最も効果的だと感じています。


*ちなみに会社員より経営者の方がすごい、と言いたい訳ではないので、その点は誤解のないようにしていただければ嬉しいです。会社員も経営者も、どちらも経験している僕の価値観では、両者はあくまで役割の違いだけの話ですし、既存の教育体制との差別化という視点で、経営者が教えることが、新しい選択肢になり、価値があると考えているだけです。


かく言う私自身も経営者として、「キャリアのプロ」として、お伝えしたいことがたくさんあります。最初は私の知見を中心にお伝えする形となるので「キャリア目線」の話ばかりになりますが、今後はできることなら色々な道のプロの方のお話をお伝えできるようにしていきたいです。


そしてプロだからこそわかる「裏」の話も伝えていきます。


「本質は裏側にこそある」


これは日々、情報を発信する側として痛感していることです。

皆さまが日々触れられている情報は、「何者かが」「意図をもって」発信しています。


その意図が自分の個性や人生に合っていればよいですが、そうでなければ情報を得ることで不幸になることもあります。


ですので、こちらで発信する情報はできる限り裏側の意図も含めて解説をさせて頂ければと考えておりますし、わからないところはご質問頂ければ全てお答えできればと考えております。


そもそものところで、目にしている情報は「全て疑う」ところから始めても良いくらいかもしれません。

なにせ今回引用もさせて頂いている、「国の統計データ」ですら、捏造されている時代ですから。

疑って、疑って、本当かどうかを自分でも確かめて、ようやく自分の本当の知恵になるのだと思います。

できれば僕の言っていることも、たくさん疑って、自分で調べなおしてみてもらっても良いかと思っています。


ということでだいぶ長くなってしまったので、今回はこの辺で失礼します。
今回も最後までご覧頂いてありがとうございます。


次回は「理系と文系の選び方」の裏側を解説させて頂ければと思います。

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