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【結果発表】第29回人麿の里全国万葉短歌大会

本大会には、全国各地から一般の部は190首、ジュニアの部は37首のご応募をいただきました。
選者、評者、またご参加いただいた皆さまの選による入選作品をご紹介します。
参加者の皆さま、選者・評者の皆さま誠にありがとうございました。
引き続き、本大会及び人麿の里石見・益田をよろしくお願いいたします。

なお、一般の部、ジュニアの部の特選各5首につきましては、選者の香川哲三先生、田村穂隆先生の選評をご紹介しています。こちらもご覧ください。

一般の部・ジュニアの部特選選評
https://note.com/marumaruhaohao/n/nc47847393dc5

◎一般の部 特選

先を行く夫に呼びかけ道の辺の今日咲き初めし桜を仰ぐ
原田美枝(山口県)

神棚に災害地へと向かふ息子の無事を祈りぬ凍てつく朝
青木節子(長野県)

はびこりし姐草引きて腰のせば遠く飯豊嶺の残雪光る
生江福子(福島県)

秋されば訪ふ人もなき須磨の浦国生み島に月傾きぬ
吉本朱見(兵庫県)

稀に差す冬日あたたかく家ごもる九十一歳の生日けふは
小田裕侯(島根県)

◎一般の部 評者選

寺井淳氏選

老眼鏡かけて知りたり遠き日の母の仕種の上目使いを
和田喜久恵(島根県)

宮里勝子氏選

余白へと引き込まれつつ背泳ぎはたった一人で空を見ること
乙部真実(島根県)

元田裕代氏選

万歳とふ別れもありて停車場に遺るはSL給水場跡
木村孝夫(島根県)

田村穂隆氏選

大音量で聞かす「おさるのジョージ」なり受話器の奥の不埒な耳に
榊原 有紀(島根県)

小田裕侯氏選

羽ばたきて頭上を過ぐる鴨の群れ遅れる一羽を消ゆるまで見つ
奈良正義(東京都)

◎一般の部 互選
第一位

大利根は静かに澄めり少女等のオールは翼夕陽を掬ふ
奥村 利夫(千葉県)

第二位

母亡くし哺乳瓶もて育てたる子牛が近江に買われてゆきぬ
石橋由岐子(島根県)

第三位

荒らしてはならぬとかじかむ手を温め雪降る畑をひたぶるに打つ
西元静香(山口県)

第四位

独り立ちする子見送るその朝きのふと同じ味噌の香揺らぐ
北島孝子(東京都)

第四位

明日の朝は解かるる庫裡の大屋根を欠けたる春の月が照らしぬ
門脇順子(島根県)

◎ジュニアの部 特選

部活動ハンドボール部入ります一生懸命頑張りますね
西川奏(大阪府・中学校)

気がつくと野原に私佇んで祖父母の家が近くにあった
川端一偉(大阪府・中学校)

稲の縄役目を終えて山の中五年で土へ六年で土へ
中村力(山口県・小学校)

ふるさとへ帰れば迎えに来てくれる友の車の割れた音楽
筑波凜(茨城県)

言ったけど伝えていない 明け方に抱えつつひく擦弦楽器
伊藤梢(東京都・大学)