メンバーＴの成り下がり麻雀録

⑦ミンカンの回

(アンカンの続き)

9時35分

シャワーから出てきたメンバーTに

「出勤する前にゲロまみれの布団どうにかしろよ。」

と言って僕はリビングで様子を見ながらスマホをいじっていた。

9時40分

洗濯機の動いている音がしている。

9時45分

出てくる様子がないので何をしてるか見に行く。

部屋のドアをあけたらメンバーTがベットの上でボーーーっとしてる。

「さっさと準備して行かないと遅刻するぞ！」

僕はそう言ってリビングに戻った。

9時50分

まだ出てくる様子はないので、もう一度見に行く。

ドアをあけるとさっきと全く同じ光景が目に映った。

「なにやってんの？いそがないと遅刻するよ？」

僕は呆れながらもそう言って部屋から出た。

9時55分

もう間に合わない。

これは完全に遅刻だなぁと思ったら、一部始終を聞いていた主任がブチ切れた。

メンバーTの部屋に行き

「てめえ仕事する気あんのかゴラァァァァ!!」

と怒鳴って、メンバーTの胸ぐら掴んでリビングまで引きずってきた。

それからリビングでは主任の説教が始まり、僕は話に参加しないでただ聞いていた。

メンバーTは二日酔いが酷いのか下を向いたままうなだれていた。

そして洗濯の終わる音が聞こえてきた。

どうせ怒られてて干すこともできないだろうと思ったので洗面所に行きシーツを洗濯機から取り出そうとしたら

洗濯機の中がゲロの残骸だらけになっていた

すぐさまリビングに戻って

「おまえふざけんじゃねぇぞ！なんだこれは！」

と洗面所に連れていき洗濯機の中の悲惨な姿を見せたら

「洗濯したらキレイになるものじゃないんですか？壊れてるんですかね？」

ゲロまみれのシーツを水洗いせずにそのまま洗濯機に入れたらこうなることは誰にでもわかることなのに…

この子には常識が通用しない事があらためてわかったので、これ以上関わるのをやめてあとのことは主任に任せて僕は自分の部屋に戻った。

次の日、僕は出勤して主任に話を聞いたら、あの後メンバーTを無理やり職場に連れていきオーナーも交えて説教したのだと。

その時、洗濯機はもうみんなが気持ち悪くて使いたくないとのことなので新しいのを買うことにした。

当たり前のことだが新しい洗濯機を買う費用は全てメンバーTに払わせると言ってたので安心した。

でも残念なことに、メンバーTの借金が増えるといつまでたってもクビにできないのでそれだけが心残りだ…