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メンバーTの成り下がり麻雀録

⑤リーチの回


メンバーTが入店してから1年ほどたった頃に起きたことです。


これまで数々の伝説を作ってきたメンバーTですが、そのどれもが私生活の部分で仕事上のことはあまり書いていませんでした。


それは、仕事中に問題を起こさなかったから…


という訳ではなく小さな問題が多すぎるのと、大きな問題になる前にまわりが対処してたので伝説が残らなかったのですが、ここでようやく伝説を作ってくれました。


メンバーTも仕事に慣れてきた様子で麻雀もそこそこ打たせてもらえるようになってきたのですが、ほかのメンバーに比べると足元にも及ばないといったレベルで、よくミスを犯してました。


頼まれた注文を間違えたり、買い物を頼んだら違うものを買ってきたりと小さなミスを数多く犯した結果、メンバーや常連のお客さんからあの子はメンバーとして使えないレッテルを貼られてしまいました。


それでもオーナーはクビにすることはせずに、(メンバーTを)教育して使えるようにするのがお前たちの仕事だからと半ば強制的に押し付けられて、嫌々ながらも仕事や麻雀を教えていました。


そんな時のことです。


お客さんから


「リーチ代走お願いします。」


と言われて近くにいたメンバーTがリーチ代走に入りました。


まちが47sの両面でお客さんは8巡目にリーチをかけた瞬間に代走をたのみ、戻ってきた時には14巡目ぐらい進んでいたでしょうか。


お客さんが戻ってくるとメンバーTは何も言わずに逃げるように卓から離れていきました。


戻ってきたお客さんは卓の状況を見て何か腑に落ちない表情をしていて、流局をした時にかなり怒ったような声で


「これはないでしょー」


と手牌を倒したらなんと1発でツモっていた7sをツモぎりしていたのです。


みんなが唖然とするなか、遠く離れたとこにいるメンバーTを呼んでお客さんのいる前でなんで切ったの?と聞いたら


「盲牌したら9sだと思って切ったら7sでした。」


みんなが呆然とするなか、責任者が出てきてお客さんに謝りひとまずこの半荘だけはこのまま続行してくださいとお願いをして、メンバーTの首根っこを捕まえて裏に引きずっていきました。


メンバーたちも今まで誰1人としてやったことがない出来事に


「え?何?あれはありえないでしょ?」


とみんな戸惑うばかり。


結局この半荘はリーチ代走頼んだお客さんが2着で終わり(あのあがりがあったら確実にトップでチップも含めたら1万円は浮いてた)当然のごとくやめて待ち席に座って怒っていた。


僕はすぐに責任者を呼んで戻ってきた責任者とメンバーTは待ち席のお客さんにただただ平謝りしていた。


そしてレジから1万円札を取り出し、お客さんに渡したらお客さんの怒りも少し和らいだようでおとなしくなったのだが、メンバーTにはもう一生代走は頼まないと強く言われてしまった。


何とか問題は解決したのだが、メンバーTには言いたいことがたくさんある。


なんで盲牌できないのに盲牌したのか?


そもそもリーチ代走で盲牌する必要があるのか?


お客さんが戻ってきた時になんでお客さんに言わないのか?


お客さんに言えないのならなんで責任者やほかのメンバーに言わないのか?


なんで呼ばれた時にまず謝らないのか?…etc


聞きたいことはいっぱいあったが、聞く度にしょうもない言い訳ばかりしてくるのがわかってたから何も言わなかった。


このことがあってからメンバーもお客さんもメンバーTには代走を頼むことが少なくなり時間がたった今でも代走頼むのは怖いです。


その後も伝説はまだまだ続く…




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