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白血病の治療法

白血病の治療というと「抗がん剤」がまず浮かぶと思いますが、具体的な治療方法や進め方など曖昧な部分があると思います。
今回はその説明です。

治療理念

白血病の治療理念として「Total cell kill」というものがあります。
これは白血病の治癒の為には、全ての白血病細胞を根絶しなければならないというものです。

考え方は至ってシンプルで
抗がん剤などを用いた治療を白血病細胞がなくなるまで段階的に行い全ての白血病細胞が根絶されて治癒に至るというものです。

治療の進め方

治療は主に寛解導入療法と寛解後療法の2つに分かれます。


寛解導入療法
メインは多剤併用化学療法と言い、いわゆるいくつもの抗がん剤を併用して治療を行います。これは単剤投与に比べ薬剤耐性のある白血病細胞の増殖を抑制できるためです。

治療から約2週間で抗がん剤の作用により白血病細胞、正常細胞ともに死滅し骨髄はほぼ空っぽになります。

この骨髄が何もない時をnaidirと呼び正常の細胞もほぼない為、非常に感染症にかかるリスクが高いと言われています。

そのさらに2週間後には正常細胞が増殖し造血機能が回復すると完全寛解となります。

寛解後療法
寛解後療法は寛解導入療法により完全寛解に至った後に引き続き行われる治療です。

目的としては治療後もなお、体内に残存している白血病細胞(微小残存病変)を根絶することで、再発を防ぎ治癒にもっていくために必要な治療法です。

治療は基本的に2段階で行われます。

地固め療法
寛解導入療法と同程度の強さの治療で、入院して行われます。

維持療法

寛解導入療法や地固め療法よりは弱い治療であり、入院せず外来でも可能です。
※近年、地固め療法を強化して行うことで省略される傾向にあります。

最後に

全体的な流れを説明しました。
治療期間はだいたい半年から1年程度です。
年齢が若かったり基礎疾患が他になかったりすれば基本半年で終わりますが、中には抗がん剤がなかなか効かなかったりして治療が難航する場合があります。

臨床検査技師としては今どの段階の治療をしているのかをしっかりと把握した上で検査結果を出すことが最も必要とされています。

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