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子育てエッセイ〜小説風〜

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かっくん(4歳)との暮らしのエッセイを、小説風に脚色して描いたものです。フィクションとノンフィクションがごちゃ混ぜ。
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マクス

「ちがうちがうちがう!マーークーーースッ」 かっくんが言う。 「えー?マスクでしょ?マスクつけるんでしょ?」 「うん!マクスっ!」 「マスク??でしょ??」 人差し指を一本立てて、お決まりのポーズ。 「マーーーーークーースッ!」ドヤ。 かっくん(4歳)との、こんなやりとりが 数ヶ月続いている。 いつのまにか、外出後の手洗いは誰よりも早い。 衛生習慣をこの月齢で、身体に叩き込むには なかなかちょうど良い時期だったかもしれない。 「今日はどのマスクにする??」

再開の前夜

(明日から年中さんか…..) 自粛で、鈍りまくった脳みそをフル回転させて 幼稚園の身支度。 足りないものはないか。 かっくんの歯を磨きながら 何度も何度も、考えた。 (今日は少しぐずってたなぁ) ふと、入園前の2週間のことを思い出す。 入園の支度をバタバタとこなしていたとき かっくんは、すごく落ち着きなく暴れていて 少し困り果てたことがあった。 あれは、何かを感じ取って不安だったのだ。 歯磨きを終え聞いてみた。 「ねぇ、かっくん。あした年中さんだねぇ。何組さんに

専門性に敬意。

と、まぁ。 こんな、かるいツイートを先日してしまったことを 後悔している。 私のツイートは、だいたい後悔の塊だ。 その塊のうち 20%くらいは、平気で消去している。 このツイートは、深掘りしようと思っていたもので お一つ、お付き合いください^_^ 「先生の職の専門性を尊敬する」 この思考の入り口は、自分が園児のママという 保護者の立場からだった。 けれども、これはあらゆる職につく方に 対して通じるなぁと考えがひろがっていった。 違う立場から その専門性に、つよく

子世話くらいがちょうど良い

<本日、等身大の母の本音をツラツラとお送りします> 「子育て」っていうと 子どもを育てなきゃって思う。 私にはそれが、重い。 わたしは、よくコンテンツに立つような 子育てキラキラママとは、ほど遠い位置にいるくらい ゆる〜い母親です。 なので、最低限の、子どもの世話をし たまに気が向いたら、一緒に遊んだり。 絵本の読み聞かせは、習慣づけているけど 仕事が大変なときは、サボります。母が。 「自分で読んでくれーぃ。」とかいいます。 人間には、機嫌や、気分があります。

真夏のサンタクロース。

「ママ…紙しまったでしょ。」 朝起きてすぐ、テーブルの上を見ながら かっくんが言った。 なんだか涙目だ。 「??紙???昨日の?アッチに置いてあるよ。 バンブルビーが好き。って書いてあるやつでしょ?」 「……サンタさんは…??来てないじゃぁぁん!」 (…!なんと!…サンタさんへのお願いだったのか!) 笑いを堪えながら言う。 こちらだって、年に何回もサンタを呼べない。 「きっと、サンタさんだって休みたいと思うよ? それに、サンタさんが来るのは冬だよ。」 と言いな

時間の分断

「マァマーー!ぎゅうにゅっ」 YouTubeを見ながら4歳の息子が叫んだ。 「はいはーい!牛乳が、どうしたー?」 私はたまにこうして、知らないふりをする。 「ぎゅーーにゅーーーっっ!」唇を尖らせながら もう少しだけ大きな声で叫んでみせる。 「かっくん。それだけじゃ、牛乳出てこないよ?」 しばらく、沈黙したあとで「牛乳くーだーさい」 と、ちょっと甘えた声で言った。 いつもなら、自分で取りにおいで。 と、言うところだが、今日は、なんだかやめておいた。 仕事が溜まってい

優しさが蕾になって。

「やっぱり、おさかな返してあげればよかったねぇ…」 ----- 2020年春。 未知のウイルスにより日本全域で 緊急事態宣言が発令。 この緊急事態下での産物は 息子と向き合う時間だった。 よくある、着眼点のようだが 自慢げには言えない内容だ。 お母さん歴4年。まだまだ未熟もの。 ----- 都会から少し外れた郊外。 近所の川で遊んでいた。 「おさかなさん。いないねぇ。」 息子は、自分の背よりも長い虫取り網に 振り回されている。 いるかもわからない魚を探して