「もう一度行きたいサッカーの旅」についてみんなで書いてみよう!
みんなでオムニバス形式の記事を書いてみよう!の第三弾です。今回のテーマは「もう一度行きたいサッカーの旅」です。
コロナウィルス関連で、Jリーグの試合は延期されています。不要不急の観光旅行も自粛が求められている雰囲気です。
このムードの中、旅のマガジンとしてどうしていくべきかという話し合いを持ったのですが……。
こういう時だからこそ、語ればいいじゃないか!語り合えばいいじゃないか!Web上で語り合うだけならば、感染リスクは高まりません。
コミュニティ内で募集したところ、いつもにも増して応募がありました。今は頭の中で旅をしましょう。それでは今回のお品書きです。
「ロックがもう死んだんなら、そりゃロックの勝手じゃないか」
(中村慎太郎)
「サッカー旅はサッカーだけでは物足りない。」
(タケジーニョ)
「Jリーグマスコット界の石原さとみに会いに行った旅」
(あすか)
「フードバトルと宝石箱」
(shaker。)
「コンパクト遠征のすゝめ 〜博多編〜」
(サカマキ)
「とりあえず勝てないユアスタ仙台」
(しゅん)
「業務工程をもう一度「旅」にする〜キッカケはリーグ戦」
(さとうかずみ@むぎちゃ)
ロックがもう死んだんなら、そりゃロックの勝手じゃないか
(中村慎太郎)
甲本ヒロトがそう歌っていた。旅も同じだ。もしも旅が死んでしまって、旅がこの世から消えてしまうなら、旅などそもそも不要だったのだ。
とはいえ、旅は不要ではない。それどころか、人間にとって最も魅惑的な愉しみとは旅なのではないかと思うことすらある。年老いて、権力欲や物欲、あるいは色恋沙汰における性欲から解放された後、最後に残るのは食欲であり、旅に出たいという欲望も残る。
若者は旅をする。
老人も旅をする。
しかし、現状は謎の疫病が蔓延しつつあり、我々は旅を自粛している。そもそも、我々が旅の主目的にしているサッカーの試合が開催されていないのだ。ただ、こんな時でも旅の仕方はある。
荘氏を読んでいるとこんなフレーズが出てくる。
「夔憐玄、玄憐蛇、蛇憐風、風憐目、目憐心。」
夔(キ)という一本足の生き物はムカデをうらやみ、ムカデは蛇を、蛇は風を、風は目を、目は心をうらやむという意味である。この話の本筋は、人それぞれ長所と短所があるよというようなところに落ち着くのだが、ぼくはこのフレーズを気に入っている。
一本足の生き物は百本足のムカデをうらやむ。
ムカデは足もないのに自分よりも速い蛇をうらやむ。
蛇は、どこにでも行ける風をうらやむ。
しかし、風は「見ただけで辿り着くことが出来る目」のほうがすごいといい、「思っただけで辿り着いている心」が一番すごいと言う。
これが今我々に求められていることなのではないだろうか。実際に旅にはいけなくても心を辿り着かせることは出来る。写真や文章を目で楽しむことも出来る。
サッカー旅が出来ない今だからこそ、目と心を旅立たせようではないか!!
というわけでOWL magazine読者(OWL's Forest参加者)による、「もう一度行きたいサッカー旅」特集を是非ご覧あれ!
あ、そうか。ぼくも何か書く必要があるか。
もう一度行きたいサッカー旅について。
長野、大分、京都、香川、大阪、新潟、松本、鳥取……などなど。
逆に言うともう行きたくないところがないような気がしてきた。ちょっと選べないのもあるし、もう字数が残っていないのもあるし。
みんなが書いてくれた「サッカー旅」の記事を見ながら考えてみようかな。
サッカー旅はサッカーだけでは物足りない。
(タケジーニョ)
徳島の夏といえば阿波踊り。天皇杯3回戦・Honda FC対徳島ヴォルティスの試合が行われた2019年8月14日はこの阿波踊り開催期間と重なっていた。混雑の中でのサッカー観戦となりそうだったが、行くことにした。
しかし当日は、大型の台風10号が発生し四国方面へ迫っていた。結局、阿波踊りが中止となるほどの気象状況だった。この台風接近に伴い、鳴門市などは災害対策本部を設置していた。また、自宅のある兵庫県へも淡路鳴門自動車道が通行止めとなれば帰宅できない。
そのような状況となったのに、なぜ観たいと思ったのか。
両チームの詳しい情報は知らない。しかし、相撲で例えると、突っ張りの押し合い相撲ではなく両者が廻しをしっかりと掴み、技を繰り出すような試合が観られると予想したからだ。そして、Honda FCの試合を観る数少ない機会を逃したくない欲望が勝ったため、腹を括って観に行った。
試合前は日が落ちた空の色と照明の光で幻想的な雰囲気がスタジアムを包んでいたが、キックオフ直前には土砂降りの雨となった。
この雨の影響で両チームともしっかりと守備ブロックを作り、無理にボールは奪いに行かないスローペースで試合は始まる。最も雨足が強い時には、ロングスローを試みる徳島の選手が足を滑らし、スローインを失敗するハプニングも起きた。
試合が進むにつれ、僕はある言葉を思い出した。
それは「後ろの声は神の声」という言葉だ。
チャントが途切れると、スタジアム内は選手の声がはっきりと聴こえた。これは観客数が約1,500人しかいないことと、工法的にも視覚的にも非常に素晴らしい構造を持つバックスタンドの屋根からの反響かもしれない。その中でもHonda FCのゴールキーパーのコーチングの声が特に聴こえた。
味方選手のポジショニングの甘さへの指摘や相手へ寄せるタイミングの掛け声など、非常に細かいコーチングをしていた。
キーパーの声のおかげで一見徳島に攻め込まれているように観えても、実際はボールを奪う位置へ誘い込んでいた。
守備時におけるHonda FCの規律と戦術精度の高さはこのコーチングがあってこそだと思う。
後ろの声が正確な指示であればあるほど、味方選手は楽にプレーができる。ゴールキーパーのコーチングは本当に大事だ。
試合終了後、お世話になったHonda FCのサポーターグループの後片付けを手伝い、お礼を言ってすぐにスタジアムを後にした。淡路鳴門自動車道の走行中は横風が強烈だったが、ハンドルをしっかり握りながら何とか帰宅できた。
僕の予想通り、この試合では高度な駆け引きのある展開が観ることができて良かったと思う。
しかし、このサッカー旅は台風の影響もあったが、観光を全くしていない。サッカー観戦以外の思い出は徳島ラーメンを試合前に食べただけだ。
サッカー旅はサッカーだけではやはり物足りない。
次は徳島でJリーグでの試合をゆっくり観たいし、ヴォルタくんとティスちゃんに会いたい。徳島観光は絶対にしたい。いや、しなければならない。
Jリーグマスコット界の石原さとみに会いに行った旅
(あすか)
はじめまして。お酒とJリーグマスコットをこよなく愛するフロサポ、あすかです。
私はサポ歴が浅いこともあり、旅を伴うアウェイで行ったことのある場所となると、挙げられるのは10か所です。
・札幌
・仙台
・清水
・磐田
・名古屋
・大阪
・神戸
・広島
・佐賀
・長崎
過去に行ったことはあっても関東圏は「旅」としてカウントしていないのと、松本は旅というか帰省(長野出身です)になるためカウントしていません。悪しからず。
その中でも特に「もう一度行きたい!」のは、一部マスコットや●ざの方ならタイトルでお察しかもしれませんが、長崎です。
ハウステンボス、グラバー園、平和公園、中華街、出島、路面電車、軍艦島、五島列島、島原城、雲仙普賢岳、日本三大夜景、イルカウォッチング…と観光資源豊富な長崎ですが、それらと並んでも引けをとらない長崎の財産「ヴィヴィくん」。
そう、あざとかわいいが過ぎてリーグマスコット界の石原さとみと言われる(出典:私)ヴィヴィくんです。
冒頭の自己紹介にある「Jリーグマスコットをこよなく愛する」という枕詞が、実はここにかかってくるわけですね。
ヴィヴィくんはアウェイの試合にも健気に足を運んでくれることで有名ですが、2018年シーズン、夏の暑い日に等々力でお見かけしたヴィヴィくんにすっかりやられたワンオブゼムが私です。等々力からの帰り道、もう一度ヴィヴィくんに会いたい…!と、初恋の時のような気持ちで長崎への旅の計画を立てました。
旅の内容は、空港に着いたのち長崎市街地へ向かい、中華街でちゃんぽんを食べる→坂道をさるく(「ぶらぶら歩く」という意味の長崎弁らしいです)→グラバー園→出島のカフェでおやつ→試合 というベタなものでした。全部素敵な場所でしたが、これらはいわば「前菜」です。
意気揚々と試合会場へ向かい、最寄りの駅から地域の方に恒例のおこしなどをいただき、道すがら点在する選手のパネルにご挨拶をしながら、ついにたどり着いた「ヴィヴィくんのおうち」ことトラスタ。
ホームでのびのびと振る舞うヴィヴィくんの可愛さ、愛くるしさ、そして愛しさとせつなさと心強さ(昭和感)がいかほどだったかは各々の脳内で補完ください。詳細までお伝えするには私の表現力と文字数が圧倒的に足りません…!
そんなこんなでヴィヴィくんと勝ち試合を堪能し、台風で帰れず延泊というおまけもついてきた旅でした。(実はこのおまけがけっこう大変だった)
ヴィヴィくんは出張族なので、比較的会えるチャンスは多い子だと思います。
ただやっぱり、どれもおいしかったスタグル、商魂の逞しさを感じるグッズ売り場やジャパネットさんのセール会場、温かい長崎の人たち…あの素敵なトラスタの雰囲気の中にいる、ヴィヴィくんにもう一度会いたいなぁ。
フードバトルと宝石箱
(shaker。)
「もう一度行きたいJリーグ旅」と言われて私が思い浮かべるのはどこだろう……?
しばらく、Macの画面のように虹色の玉をクルクル回して考え中……。
水戸も悪くない。湘南はスタグルが美味しい。松本も懐の広そうな場所だった。去年吹田に行った時は、太陽の塔に度肝を抜かれたなぁ。
それらの中で、一つだけ選べるのなら。
私は迷わず岡山へ行きたい。そう思う。
その日は一泊分の荷物を、キャリーカートに詰めて新幹線に乗った。普段は同人誌即売会で使っている、とにかくタフさに定評のある某ドイツメーカー製のキャリーカートだ。
車中で友達のオススメの場所などを調べる。
岡山駅を降りて、まずは名物デミカツ屋さんの老舗へ。ふむ。これが岡山のデミカツの祖にしてスタンダード。覚えた。
それから宿にチェックインしたらシティライトスタジアムへ急げ!
スタジアムは思ったより大きく迫力があり、いいスタジアムだな、と思った……が、そこに浸る時間ではない。急げ!
ファジアーノ岡山はスタジアムグルメにものすごく力を入れている。「ファジフーズ」と称したメニューを展開していて、ある意味「西の強豪」だ。
私は、ここに闘いを挑む。
サッカーの試合だけど、胃袋ひとつで。単騎で。
もちろんスタグル本の取材なのだが、取材の名を借りたフードバトル(胃袋だけでなく、味覚と味の知識を総動員する)なのだ、これは。
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OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
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