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駐在家庭が家事ヘルパーを雇用すると?


前回 香港人家庭の家事ヘルパーの雇用について書いてみたのですが、今回は香港の日本人駐在家庭の家事ヘルパーについて少し書いてみたいとおもいます。

1)ヘルパーの種類
まずヘルパーの種類ですが家に住むフルタイムのヘルパーと家に通うタイプのパートタイムのヘルパーに大別されます。実際のところ家に住みこむフルタイムのヘルパーのみが合法になるのですが各家庭の事情でエージェントの用意した寮などに住んでいるフルタイムのヘルパーもいます。
香港の日本人駐在家庭のヘルパーはパートタイムで頼んでいるが一番多いとおもわれます。
フルタイムヘルパーの場合は香港政府の規定で雇用契約を正式に結びますが、パートタイムは日本人妻とヘルパーの口約束になることが多いです。例えば週二日9~12時など。パートタイムの中には、定期的にではなく引っ越し時だけに掃除を頼むような非定期的なものもあります。

2)ヘルパーを雇う理由
フルタイムのヘルパーを雇う理由に圧倒的に多い理由が、家庭に年齢の小さい子供が複数いることと夫が出張などで不在がちであることです。日本のように保育園もなく世話を頼める親戚もいなければ、たとえば子どもの一人が熱をだして病院に連れていきたくても別な子供も連れていかなくてはならなくなります。妻が香港で妊娠出産する場合も同様で夫の仕事が自由にならない限り生活は厳しくなります。また駐在家庭では稀ですが妻が外に仕事をもっている場合もあります。これに対しパートタイムヘルパーは水回りの掃除やアイロンがけなど妻の苦手な家事の補助的な意味合いが大きいです。いなければいなくてやっていけるけれどやってもらえると助かるという現代の日本の家事代行業と似ているとおもいます。

3)ヘルパーはどうやってみつけるのか
これらのヘルパーをどうやってみつけるか。フルタイムヘルパーでは妻と家庭で一緒にやっていけるか、ヘルパーの性格と年齢が考慮されてエージェントを通して契約が正式におこなわれることがおおいです。一方パートタイムヘルパーのほうは日本人妻どうしの口コミで紹介されているので実際のところヘルパーの本名さえ知らず夫とも顔あわせないこともあります。雇用基準も信頼性と日本人の家事に慣れているかということが重視されて日本人御用達のヘルパーにはウェイティングリストがあったりします。

4)ヘルパーに頼む仕事内容
まずパートタイムヘルパーのほうは先述したように水回りの掃除とアイロンかけなどかなり仕事の種類はしぼられてきます。これはパートタイムヘルパーとの契約はそのほど安定していないことに尽きるとおもいます。いろいろな理由でヘルパーが家に来られなくなることがあるからです。
一方フルタイムヘルパーのほうは前回の香港人家庭のように全面的に関わっている家庭もあるが日本人家庭独特だなとおもえることもありました。
筆者が香港人家庭にくらべて興味深くおもったのが次の4点です。
1)日本人の妻が食に関してはたとえフルタイムヘルパーがいてもかなりの部分を自分の役割としてやっている家庭が多い。献立決めたり日本食品の多い店で買いものをしたり夕食準備の最後の味付けをチェックしたり。また子供の体調、放課後の予定にあわせてお弁当の献立を決めているのも日本人妻でした。
2)また育児、子育てに関しても「ヘルパーが育児に関わりすぎるとしつけのない子供になる」という不文律を証明しないように妻は最善を尽くします。たとえば子どもがヘルパーになにかをしてもらったときThank youとかPlease を必ず言わせるなど。あまりこどもとヘルパーの関係が近くなりすぎないよう注意しているという家庭もありました。
3)比較的単純な育児の仕事、たとえば毎朝子どもをスクールバスのバス停まで連れていくことなども他の駐在家庭とのコミュニケーションのため日本人妻がやることがあります。
4)日本人の夫が日本でやっていた分担が「ヘルパーいるんだから」という理由のもと、そのままヘルパーの分担となり結局妻とヘルパーが家事を分担して日本人夫はなにもやらないというケースが多々ありました。また同様に子供のお手伝いとされてきた分野、たとえば食後のお皿洗い、もヘルパーがやってしまいお手伝いの習慣がなくなったという家庭もあります。

結局のところ日本人妻が家族の食生活や子供の世話に時間、エネルギーを集中できるように他の仕事をフルタイムヘルパーにやってもらうという形が多いとおもいました。この最初の調査は20年前におこなったのでその後多少の変化はありますが30年香港にいて様々な駐在員家庭と交流をもっている私には基本的にはあまりかわっていないように感じます。ただ日本でも気軽に家事代行サービスが頼めるようになってきた現在、日本人家庭がヘルパーを頼むハードルはどんどん下がっていくのは確実だとおもいます。