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人を叱ったことがない【家族エッセイ】

あれは4歳とか5歳の記憶だろうか。父親に激しめに叱られて泣きじゃくっていると、「おいで。」と呼ばれて膝の上に乗せられた。
そのあと何を語り掛けられたかは忘れてしまったが、父が優しく頭を撫でてくれたのを覚えている。

大人になってから思い返して、あれはなんだったんだ?飴と鞭ってことか?DV彼氏みたいなこと?などと考えていた。
ある日、SNSをぼーっと眺めていると、「子供を叱るのとフォローは絶対セットで」という文言が目に飛び込んできた。
記事を読んでこれだったのか!!と合点がいった。その記事に書いてあったことが全て正しいかどうかはわからないけれど。

私はこの人生で他人を叱ったことがない。一度としてない。
冷静沈着な人なんだな、と勘違いされては困るので補足すると、ブチギレたり怒鳴り散らしたりしことはあるが、叱ったことはないのだ。基本的に自分に害が及ばないのであれば他人を叱ったり諭して良くしようという思考に至らず、波風立てないようにそっとその人から距離を置く。逆に自分に害が及んだ時には理論など何もなく感情のままにブチギレてしまう。相手に良くなって欲しいというより私に嫌なことをしないでくれ、という見解である。そうやって生きてきてしまった。

そう考えると人を叱るという行為は愛のあるとてもとても聡明な人間にしかできない行為だと思う。

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