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東京で飲食店を経営する私たちが要請を守り続ける理由

こんにちは、株式会社丸一 代表の市瀬です。

2021年7月12日に4度目の緊急事態宣言が発令され、弊社が経営するあそび割烹さん葉か炭手前鷽の2店舗は要請に従い、酒類の提供禁止と時短営業を実施しています。

新型コロナウィルスの感染拡大が世間で騒がれだした2020年から弊社はずっと要請を守り続けてきました。
しかし、自粛営業を続ける中で普段SNSでは長すぎて伝えられない、私たちの「想い」や「考え」を聞いてほしい。

そんな理由で今回は記事を書かせてもらいまいした。

感染対策!感染対策!

2020年の初めから新型コロナウィルスが猛威を振るい、3月には1度目の緊急事態宣言が発令されました。

店内飲食を伴う営業が出来ない中、目に見えない脅威にどうやって立ち向かえばいいのか。
暗中模索しながらも、医療従事者のお客様など様々な方から助言を頂き、店内飲食が再開された時の準備として感染対策を考えうる全て行いました。

特にあそび割烹さん葉かのテーブル席はビニールシートで隔離するなど、当時はご来店されたお客様に「ここまで対策してる店は見たことないよ」と言われたほどでした(笑)

感染対策はその後もずっと続けていて、都の調査もクリア。

王冠マークをもらいました。

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あそび割烹さん葉かの店内

鷽内観2

炭手前鷽の店内

休業はしたくない=生産者さんの生活を守りたい

1度目の緊急事態宣言の際、「炭手前鷽」は約1か月間休業しましたが、「あそび割烹さん葉か」はテイクアウト・デリバリーのみで営業を続けました。

その後は「あそび割烹さん葉か」「炭手前鷽」どちらの店舗も休業という選択肢を取っていません。

一番大きな理由は『生産者さんの生活を守りたい』から。

弊社の店舗は「生産者さん・酒蔵さんとの結びつき」を大切にしています。

お客様と一緒に研修旅行へ行かせていただいたり、店内でのイベントを共同で催したりと、開業当初から生産者さんや酒蔵さんは私たちと共にお店を築きあげてくださいました。

だから、その気持ちが人一倍強いのだと思います。

個人的には昨年から今まで、飲食店は金銭的にはある程度補償されてきたと思います。
勿論、お店の大きさや立地などにも大きく左右されるので、あらゆる飲食店が平等に補償されてきたか?と言われればNOだと思いますが。

対して生産者さんへの補償は、世間の話題に上ることも無く、その補償は微々たるものです。
私達が休業して仕入れを止めたら、更に厳しくなってしまう。本音を言えば私達の会社だけの事を考えれば、休業した方が雇用助成金など各種の協力金・助成金を考えると会社の財政的にはプラスです。

でも、「たとえ時間が短くたって、お酒が出せなくたって、今まで来てくれたお客様・生産者さん・酒屋さん、みんなのために店は閉めずにやれることをやろう!」
と当社のスタッフみんなで決断し、ずっと営業を続けてきました。

そして昨年から準備してきたECサイトおうち割烹todokuを今年の5月にやっとスタートさせることもできました。

todokuの運営は、まだまだ試行錯誤の毎日が続いています。
ですが、お店に来られない方にも「おうちにお店の味を届ける」「生産者さんの想いを届ける」を目標に今後も商品を追加していき、様々な「想い」を届けられるようになっていきたいと思います。

お酒が出せない!?

弊社2店舗ともお酒とお料理のマリアージュを楽しみに来られるお客様がとても多く、酒類の提供が出来ないという事態は厳しいものです。

それがまたこれから(7月12日現在)1か月続くと思うとやっぱり気持ち的にも辛いですね。

昨年2020年は半年間の期限付きの酒販売免許を取得し、「どうにか酒屋さんや酒蔵さんの力になりたい!」と店頭での量り売りをしていました。

2021年の4月にお酒の提供禁止が出た際も、もう一度実施したいと思い、管轄の役所に問い合わせました。しかし、返事は「もうやる予定は無いです。量り売りなども実施することは出来ません」というものでした…。

お店でお酒が出せない中でも、なんとかして酒屋さんや酒蔵さんを応援したい!
そこでSNSでの情報発信を始めました。

私たちが普段お世話になっている仕入れ先の酒屋さんの紹介は勿論、当店の日本酒担当北林による実際に当店で提供している酒蔵さんの日本酒、普段取り扱いが無い酒蔵さんのお酒を日々紹介しています。

ご来店時にご質問いただければ私たちスタッフそれぞれのオススメのお酒もお伝えします♪

あそび割烹さん葉か日本酒紹介 Instagram

あそび割烹さん葉か酒屋さん紹介 Instagram

ほっと安心してもらえるお店でありたい!

昨年から大きく世の中が変わり、不安や恐れ、ストレスなど沢山のマイナスな感情に見舞われました。

そんな中で、私たち飲食店の役割は「ほっと安心出来る空間を提供すること」だと考えています。

「大変なこと沢山あるけど、あそこのお店でご飯食べて、お酒飲んで語らって、明日からまた頑張ろう」と思ってもらえる場所になることが何よりの喜びで、「炭手前鷽」の屋号の由来もそこから来ています。

そしてそんな需要があるからこそ、東京は世界一飲食店が多い都市なんじゃないかな?とも思います。

出来ることなら、お客様には目一杯のお時間でお酒も制限なく楽しんでいただきたいですが、今やれる中での精一杯を。

「あそび割烹さん葉か」は、緊急事態宣言中は蕎麦屋さんになります♪

炭手前鷽」は、特別コースや鰻炭焼き御前などをご用意します。

お酒は出せませんし、時間も短いですが少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです。

コロナ禍になって初めて気づけたこと…

コロナ禍で飲食店がいろんな意味で注目さる中、世の中の流れを肌身に感じ「対岸の火事ではいけないな」ということが身をもって分かりました。

私たち1人1人が「何をすべきか」を考えられるきっかけになったと思います。

また、お店としても無くなって初めて気づくというか、普段の生活が送れなくなったことで初めて今までの環境のありがたみに気づけました。

お客様が沢山来てくれて満席になったり、大人数のイベントをやったり、年に1度は皆で社員研修旅行に行って生産者さんや酒蔵さんと楽しい時間を過ごしたり、私たちがこれまで恵まれた状況にいたことを再認識できました。

スタッフが増えてきた2018年から月に一度、必ずスタッフ全員で会議をしてますが、コロナ禍になってからは夜から朝まで話し合いが続くこともざらで、毎回最終的に

大切なのは軸がぶれる事無く「何のためにお店を開いたのか」「どんなお店にしたかったのか」を忘れずにユーザーファーストで日々営業していくこと。

が結論となります。

最後に

数えられないくらい何度も「遅くまで営業したい!そしたら食材も、もっと生産者さんから仕入れられるのに」とか「お酒を提供しているお店はお客さんが沢山いるのに!うちもお酒出したい!」と歯がゆい気持ちも感じてきましたが、皆で何度も話し合って私たちはこれまで要請に従ってきました。

それは、お客様や取引先の皆さまの「信用」を無くすのが一番怖いことだから。

なので、こっそりお酒を出すことはありません。
この先、緊急事態宣言中でもお酒を提供することがあるとすれば、「もうどうにもなりません。お店が潰れてしまうので感染対策を万全にして普通に営業します」と堂々と宣言して営業します。

きっと世の飲食店の大半が要請に従うか従わないか、この1年以上悩み続けながら営業されてることと思います。

どちらの判断が良いのか悪いのかもわかりません。
ギリギリで準備もままならない中、突然要請が出てくる状況下でみんな「さぁ明日、明後日からどうするか」の決断を迫られています。

まだまだ飲食業界(生産者さん酒屋さん達含め)にとっては厳しい状況が続きますが、「私たちに今できることを1個ずつやっていく」ことを継続していきます!

要請にも出来る限り精一杯従いながら営業していくので、機会があればお店に立ち寄ってもらえたら、とても嬉しいです。

暫くお酒が出せないし時間も短いけれど、感染対策ばっちりでお待ちしてます!

4度目の緊急事態宣言。もうこれで最後になりますように。

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