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声の聞き取り

息子が高校1年生の時に、自閉症スペクトラム疑いと診断されたのち、実は一度に聞き取れるのは3人くらいまでで、それ以上の人数が集まった時は、話している内容を聞き取れていないことがわかりました。
例えば、教室にクラスメートが30人ほど集まって、それぞれにおしゃべりしていると、彼のストレスは増幅してしまい、少人数と話そうとしても、声を聞き取ることが難しいようです。
聞き取れたとしても、聞き取りに神経を集中させていたため、そのあとは疲弊しきってしまいます。

実は、診断されるずっと前、保育園に通い始めた頃、息子は難治性中耳炎と診断され、一時保育園を退園しなければならなくなりました。
10日に1回の切開が必要なくらいの中耳炎を繰り返したのです。
これ以上保育園に通園し続けて中耳炎が悪化したら、鼓膜が固くなってしまい、耳の聞こえに支障が出てしまう可能性があったのです。
その後、保育園に復帰しても、息子は年長になるまで、ほぼ毎日のように耳鼻科通い。
具合が良い時でも、1か月に数回は通院しなければならない状態でした。
あまりに幼い時期でしたので、聞こえのテストではなく、鼓膜の振動をみる検査が定期的に行われ、平常の値が出るまで、5年かかりました。
その間、息子は常にトンネルの中を通過したときのように、こもった音でしか聞こえていない可能性があると医師から伝えられていました。
保育士さんにも、話しかけるときには、肩をたたいてゆっくり大きめに話してもらうよう、お願いしていました。

幼少期にこのようなことがあったため、学齢期に達した後に、声が聞き取れないことがあっても、私を含め、周囲の人はあまり気に留めませんでした。
少人数の友達と楽しそうにおしゃべりしている息子の姿を、よく目にしていたので、余計にです。
大勢の人の前に出ると、息子がおとなしくなってしまう本当の理由に、誰も気づくことが出来なかったのです。

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