「プロの匂いさん」第2話
「さすがに、それはできませんよ」
「そこをなんとかさ、東雲。匂いくださいよ~」
風が匂い編集室に入ると、ディレクターの近藤武士が、東雲に頭を下げている。
「ん?この女性は?」
「新人で、今研修中の、仙花 風さんです」
「えっ、あの鼻が利くっていう、期待の若手の?」
「いや、ええと、私は鼻が利くわけじゃ……」
風が誤解を解く間もなく、近藤は紙の束を出した。
表紙には『伝説の絶滅メシ』と書かれている。
「ちょっと聞いてよ。今はなき、でも地元の人に愛された伝説メシを特集しようと思っ