三浦衛星

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「プロの匂いさん」第3話

テレビから匂いが出ることによって、注目を浴びているのが、俳優やスポーツ選手、アーティストにモデルなど、ありとあらゆるスーパースター達の香りを嗅ぐことができることになったことだ。 「実は柑橘系の香りがする人だったんだ」 「あれだけ汗をかいても、選手はクールなミントを醸し出している」 著名人はイメージ作りで、自分の香りを気にするようになり、 さらにファンはその匂いを求めて、推しと同じ香りを纏おうとする者も少なくなかった。 風が準備室で、東雲に集香道具の使い方を教えてもらっている

    • 「プロの匂いさん」第2話

      「さすがに、それはできませんよ」 「そこをなんとかさ、東雲。匂いくださいよ~」 風が匂い編集室に入ると、ディレクターの近藤武士が、東雲に頭を下げている。 「ん?この女性は?」 「新人で、今研修中の、仙花 風さんです」 「えっ、あの鼻が利くっていう、期待の若手の?」 「いや、ええと、私は鼻が利くわけじゃ……」 風が誤解を解く間もなく、近藤は紙の束を出した。 表紙には『伝説の絶滅メシ』と書かれている。 「ちょっと聞いてよ。今はなき、でも地元の人に愛された伝説メシを特集しようと思っ

      • 「プロの匂いさん」第1話

        ≪あらすじ≫ 技術が進化し、テレビから、匂いが出てくるようになった。 撮影現場では、映像を撮る「カメラマン」、音を収録する「音声さん」に加え、その場の匂いを嗅ぎ取る「匂いさん」が新たな職業として誕生していた。 新社会人の仙花 風は、ひょんなことからテレビ業界で、「匂いさん」の仕事をすることになった。 最初はアシスタントとして、先輩・東雲 律のもとにつく。 律の的確な匂いを作り上げる技術や、人々を喜ばせる香りの力を知り、 自分もプロの匂いさんになりたいと誓う。 毎回違う取材

      「プロの匂いさん」第3話