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「豊かな国になる法則」:世界経済論①


▼豊かな国になる法則


法則①:人口1,000万人未満の国
・金融センター又はタックスヘイブンで先端企業誘致を目指す
・資源国・観光国・農業国でも、1,000万人以上になると、その恩恵は薄くなる
法則②:人口1,000万人以上の国
・重化学工業化(製造業のうち、機械・金属・化学)を目指す
・重化学工業化しないと、「中所得国の罠」に陥り、伸び悩む(ブラジル・アルゼンチン・ロシア・トルコ)
法則③:人口5,000万人未満の国
・5,000万人を超えると、政府効率性に課題を抱えやすくなり、5,000万人未満の国に差をつけられる

以下の図表は、外務省データに基づく、「1人当たりGDP国別ランキング」です。

出典:外務省

★上記「1人当たりGDP」データは、外務省がIMFや世界銀行から集めた2022年又は2021年のデータです。
★赤字は人口1,000万人未満の国です。

・1人当たりGDPで日本より上位にある国は、1,000万人未満の金融センター又は資源を抱える小国が多い。
・1000万人以上の国で、「中所得国の罠」を脱却し、1人当たりGDPが世界平均の1万1千ドル以上になっている国は、金融センターを抱えているか、重化学工業化している国が多い。

▼豊かな国になる法則の根拠


▽「経済センサス」(政府統計)でみる、金融業と重化学工業の強さと、軽工業の弱さ

以下の図表は、「経済センサス」に基づく、2021年の「業種別1人当たり付加価値額ランキング」のうち、金融業と製造業を抜き出したものです。
★付加価値額 = 売上(収入)金額 - 費用総額 + 給与総額 + 租税公課+ 減価償却費

出典:「経済センサス」統計局


・金融業:独占性
・重化学(機械・金属・化学):グローバル性と汎用性
・軽工業(重化学以外):内需性と硬直性

金融業は、許認可業種として独占的な価値を提供でき、重化学は、国内にとどまらない成長市場と成長分野に製品を供給できるグローバル性と汎用性で、高い付加価値を生みだせています。
逆に、軽工業の多くは、先進国特有の少子高齢化した衰退市場である国内にのみその価値を提供し、提供している分野も変化の少ない消費者を相手にしているため、その生み出せる付加価値は高くありません。

こうした傾向は、日本のみではなく、世界的にも当てはまり、軽工業が主要産業となっている国の1人当たりGDPは低くなっています。

▽「世界競争力ランキング」(IMD)でみる、小国と先進国の差
スイスに本拠を置くビジネス-スクールである経営開発国際研究所(IMD)が毎年公表する「世界競争力ランキング」に関する三菱総合研究所の分析では、日英独仏などの先進国(人口5,000万人以上の国)は、政府効率性に課題を抱える国が多く、インフラや民間企業の力を阻害しているとのこと。逆に、小国(5,000万人未満の国)は、政府効率性と民間企業の効率性とも優秀で、相まって、世界競争力を高めていると分析されています。


▼「世界経済論」の今後の予定

・今後は、「世界経済を動かす法則」や、日本以上に豊かな(1人当たりGDP基準)国を中心に、その「国の成り立ちや実情、日本が見習うべき点」等を、公的データを中心に私見を可及的に省いて、取りあげていきたいと思います。
・こんな国を取りあげてほしいとのリクエストがあれば、優先的に答えていきたいと思いますので、皆様のご意見をお待ちしています。

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