“こころ”と一緒に“センス”も包んで、あの人へ
マルアイの顔ともいえる金封「こち」シリーズ。開発のきっかけとなったのは、マルアイの“顔”となるようなブランドを作りたいという思いでした。
“祝儀のマルアイ”のベストセラーが生まれるまで。
そのストーリーをご紹介します。
“祝儀のマルアイ”が作る“祝儀の顔”を。
そんな風に始まったベストセラー「こち」
今でこそさまざまな色や素材が揃う祝儀袋。
実は、初めてピンクやブルー、友禅柄の和紙を使って祝儀袋を作ったのも、私たちマルアイです。
マルアイが祝儀用品の生産を始めたのは、1950年代のこと。
紅白の水引が留められたベーシックなタイプから生産をはじめ、やがて時代の変化とともに、新たな祝儀袋をと考案されたのが、華やかな色や素材を使った“デザイン金封”と呼ばれるものでした。
左:昔ながらのベーシックな金封、 右:デザイン金封
1980年代の当時、デザイン金封は目新しい斬新な祝儀袋として、業界に新風を巻き起こしました。
しかし、そのデザイン金封が主流になるにつれ、社内で“祝儀の顔”となる商品が欲しいという機運が高まります。
それはきっと、長年祝儀の現場に関わってきたという自負のあるマルアイだからこそ。
昔から日本人が金封に包んできたのは、お金だけでなく、相手を想う気持ちです。
デザインは変わっても、一番大切なその部分は変わらないはず。
古きよき祝儀袋のスピリットと趣きを持ちつつ、今の時代にフィットする新しい金封を作りたい。
改めてみんなが驚くような、ありそうでなかった金封を作りたい。
「こち」の開発は、そんな風にスタートしたのです。
前代未聞のアルファベット水引。
伝統と今が融合したマルアイの“顔”が誕生
開発のプロデュースを手掛けたのは、動物型のラバーバンドなど、多くのヒット文具を生み出しているデザイン集団「アッシュコンセプト」。
「最初は紙製品はやらないって、お断りされたんです」と話すのは、マルアイの当時の商品企画担当・清水学です。
「でも、ある講演会で代表の名児耶(なごや)さんの熱意のこもったお話を聞いてから、もうここに頼むしかないと思って。しつこく会いに行き、プロデュースをお願いしたいと口説き落としました」。
伝統的な金封をベースに。
そんな共通認識で開発が進む中、驚くようなアイデアが飛び出します。
それが、デザインを担当する「浅野デザイン研究所」の代表・浅野泰弘さんが持ち込んだ、アルファベットの言葉を模った水引でした。
「試作品を見た瞬間『これだ!』って、ワクワクしたのを覚えています。金封の根底にあるのはコミュニケーション。『コミュニケーションといえば、言葉でしょう』という浅野さんの意見に、はっとさせられました」と清水。
社内でも賛否両論を巻き起こしたアルファベット水引ですが、最終的に、伝統的な結びの型を用いた水引と一緒に商品化。
「こち」の初の展示会では、まるでアート作品のごとく、ガラスのケースに陳列しました。
清水が忘れられないのは、若い女性たちが「こち」を見るなり「かわいい!」と叫んだ光景。
「ああ、作ってよかったなと、本当にうれしかった」。
日本古来の様式美に、新しい空気を吹き込んだ「こち」。
マルアイがしたいこと、やってきたことが凝縮されているといってもいい、私たちの自慢の商品です。
水引のこだわり
本来水引は、結びながら造形するもの。筆記体のストロークをそのまま表現した“結ばない”水引は、職人さんたちから「常識では考えられない」と断られることもありました。
「ならば、これを実現させることで常識を変えよう」。
水引の可能性を広げたいというデザイナー・浅野さんの強い意志、そしてそれに賛同してくれた職人さんの頑張りから誕生したアルファベット水引。
ミリ単位で調整を重ね、現在の形となりました。
ひとつずつ手作業で作るため量産できず、実は企画担当の清水やほかの社員が、自ら仕上げ作業を手伝うことも…。
もちろん、アルファベット以外の水引も、すべて手作り。
人の手から生み出される温かみを感じてください。
紙や加工へのこだわり
思わず触れたくなる美しさ。
そして触れれば、うっとりするような触り心地。
素材にも色にもこだわり、厳選した上質な紙を使用しています。
奉書紙
室町時代には公文書に使われるほか、浮世絵や木版画など、高級版画用紙としても愛用されてきた奉書紙。
ふっくらときめ細かい紙肌と、汚れのない白さが特徴です。
檀紙
和紙の中でもっとも格式が高く、宮中の儀式や行事でも使われる檀紙。
「こち」では、職人が1枚1枚手すきで仕上げる最高級和紙を使い、上品な風合いに仕立てました。
透かし和紙
柔らかさと繊細な模様が美しい透かし和紙。
魔除けの意味を持つ「麻の葉」模様と永遠の意味を持つ「渦巻」模様が、
相手の幸せを願う気持ちを優しく包みます。
多当
折りたたんだ紙にお金を包む「多当(たとう)」は、金封より気軽に使えるタイプです。
「こち」では奉書紙にエンボス加工を施し、伝統美を感じるデザインに。
※記事で紹介している商品の中には、既に販売を終了しているものもございます。
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