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夜の血の海

透析クリニックの見学

明日の土曜日にでも退院できそうだと思っていたが、退院は延期になりそうだ。

話は昨日(5/25)にさかのぼる。
体調も良くなり、出血もなく、元気になってきていた。
その日は、今後お世話になる透析クリニックの見学の日。
電車とバスを乗り継いで、約1時間かけて、家の近くの透析クリニックに自分の足で向かった。
身体は少ししんどかったが、ヘルプマークをバックにつけて、自分のペースで慎重に歩いて行った。
胸から出ているカテーテルは、けっこう出っ張っているし、身体に負担がかかるとまた出血してしまうのではないかと不安だったので、慎重に歩いた。
入院する前では考えられないくらい、楽に、電車やバスに乗り降りでき、予定の時間より少し遅れて到着した。

ここの透析クリニックは、日赤の先生から紹介いただいたところだ。
そもそも、胸からのカテーテルを扱える透析クリニックは、そんなにも多くないらしい。
そんな数少ない場所だが、自宅から1番近くて大きい透析クリニックを探しているときに見つけたところでもあった。
送迎もやってくれている。
そんな立派な建物に到着し、受付の方に日赤から預かっていた紹介状を渡した。

面談室で書類を書いたり、今の透析のやり方について、話を聞いたりした。
20年前は、ベットに寝てパジャマに着替えてやっていたが、今では椅子に座って、来たままの服装でやるらしい。
椅子は倒れるので、寝る事もできるらしいが、なんとも簡単な感じになったもんだ。
昔の記憶では、食事も透析中にとっていたが、今は食事は無く、家で食べるらしい。
時代の進化を感じた。
対応していただいた方々もとても感じがよく、来週月曜日から送迎していただき通うことになった。

出始めた血

そして、また書類を預かり、電車とバスで帰った。
日赤に帰ると、お昼ご飯が待っていた。
それと同時に看護師さんが入って来て、傷口の所を見てくれた。
何事も無く、きれいなままだ。
安心して、ご飯を食べたが、血流が良くなったのか、痒くなってきた。
血が出ないように軽く掻いたりしていた。
体調も良かったので、パソコンで仕事もぱちぱちと調子に乗ってやっていた。
仕事をしながら軽く傷口の上の方を掻いていると、手に血がついていた。
気になって鏡に見に行ってみると、傷口のところに血が溜まっている。
血が漏れていた。

看護師さんがちょうどまたきてくれたので、報告すると、やっぱりけっこう漏れているとのこと。
一度きれいにしてもらい、圧迫止血をしてもらった。
それが夕方のことだった。
夜になっても出血は止まらなかった。
というより、ポタポタと垂れ始めた。
自分でティッシュで保護したりしたが、抑えきれなくなってきたので、看護師さんを呼ぶボタンを押した。
夜になると担当の看護師さんが変わる。
夜9時くらいから朝の7時くらいまでを担当してくれる事になる。
常駐する人数も一気に減って、数人になる。
看護師さんは血の量を見て、けっこう焦っていた。
もう1人の上司みたいな看護師さんを連れてきてくれた。
その看護師さんは、触ると余計に危ないからと、上から分厚い固いスポンジのようなもので全体を圧迫する処置を行った。

血の海

一旦これで問題ないだろうと思い、そのまま寝てしまった。
そして、目が覚めた。
胸の辺りがかなり気持ち悪い。
べっちゃべちゃになっている。
血の海だ。
すぐに看護師さんを呼んだ。
2人来てくれた。
触るのはやっぱり怖いからという事で、きれいにして、出てくる血を受けるためのガーゼをたくさん脇に挟み、防水シートを下に引いた。
そしてまた寝てしまった。
起きると、さらにすごい血の海が広がっていた。
防水シートを超えて、ベッドにも血がべっちゃりついている。
服はもうベタベタだ。
すぐに看護師さんを呼んだ。
さらに圧迫して、ガーゼと防水シーツで処置し、終えた。
これを何回か繰り返して、やっと朝を迎えた。

朝になり、この前一生懸命止血してくれた女性の先生が来てくれた。
男の先生も、もう1人来ていた。
その先生によると、浮腫んでいるせいで、血の圧が高くなり、外に出やすくなっているとの事。
そんな感覚が自分にもあったので、そうそう、と思った。
さらに、女性の先生は超音波の機械をガラガラと持ってきた。
それを見ながら、どこから漏れているのかを確認しつつ止血をするらしい。
これだけ丁寧にやってもらえると安心する。
どうやら、細い血管を縫い糸が傷つけていて、そこから漏れているのではないかとのことだった。
早速その糸を切って抜く作業に入った。
さすがにちょっと痛かったが、血が止まるならと我慢できた。
その後もしっかりと10分くらい手で圧迫して抑えてくれた。

止血!

あれだけたらたらと出ていた血が、見事に止まっていた。
経験値があり、しっかりと対応してくれる先生がいるだけで、こんなにも安心感があり、血も簡単に止まるのかと、感心した。
その後、血で身体中がベタベタになっていたが、看護師さんが丁寧に丁寧に拭いてくれた。
かなりピカピカになって、幸せな気分。
本当にありがたいという思いを伝えた。

今日(5/26)は、スッキリとした気分で透析に向かう事ができた。
体重も順調に減って、60.1kg。
自分の適性体重は、52kgくらいなので、後8回くらい透析をすれば元通りになりそう。
足のむくみも取れてきて、スッキリ。
足の甲がパンパンだった時の名残りで、あかーくなっている。
皮が伸びたんだろう。

スッキリした足 1
スッキリした足 2

感謝

この調子で、移植手術まで健康を保ちたい。
少しでも体力をつけたかったので、気をつけながら、散歩も昼夜と2回行った。
子供たちや奥さんとも通話して元気をもらった。
こうやって元気でいられるだけで、ほんとうに幸せだ。
感謝を忘れてはいけない。
明日からは仕事もしっかりとしていこう。
それでは。

*明日(5/27)の退院はお預けになった。

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