自己紹介が苦手なレズビアン
ちょっと困る、自己紹介あるある
職場の歓迎会で、取引先との会食で、趣味の集まりで。思い返せばわりと頻繁に、「じゃ、自己紹介しましょう」という場面に出くわします。
私はこの自己紹介がちょっと苦手です。避けられないのはわかっていながらも、突然ふられたときは「うわ、来た」と反射的に身構えます。
「それじゃ名前と出身地と、好きなものやマイブームをお願いしまーす」
こんな振り方もよくありますね。この「お題」形式になると、さらにちょっと焦ります。とっさにふられても、上手に面白おかしく話せる人、ウィットに富んだ表現ができる人、言葉選びが素敵な人。みんなすごいなぁと思って感心しています。
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「本当のマイブーム」は言えない
自己紹介が苦手なのは、その場の雰囲気を読みつつ、急いで本音ではないことを探さなきゃいけないシーンが多いからです。
私は女性で、女性のパートナーと二人で暮らしています。
お付き合いを始めて6年目になりました。二人とも会社員で、女性らしい見た目です。見た目ではどこへ行っても異性愛者と思われます。
LGBTという言葉で表すなら、いわゆるL(レズビアン・女性として女性を好きになる人)にあたります。
幼い頃からずっと「どうも変だ、周りの皆と違うぞ」という感覚がありました。異性愛者の方が誰かを自然に好きになるように、女の子を好きになるのが私にとって当たり前の感覚でした。
が、今の日本ではまだまだ当たり前ではないので、自分がレズビアンであることも、同性のパートナーと暮らしていることも、周囲には伝えずに暮らしています。
伝えなくても日常生活に支障はないですし、LGBTに対して色々な考えを持つ人がいることは理解しているので、お互いに不快な思いはしないように、そうしています。
(これを読んでいただいている異性愛者の方の中には、「身近にLGBTなんていないよ」と思う方も多いかもしれません。でも、当事者の多くが自分のセクシュアリティを隠して暮らしています。そして割合的にはあなたの身近にもきっといますよ、ということは心に留めておいてもらえたら嬉しいです)
普段はそのように過ごしているので、「彼氏と結婚はそろそろ?」とか(性別は伝えずに、ウソをつかない範囲で"同棲中"ということは伝えているので)、「好きな俳優は?」など、よくある問いへの返答は色々テンプレ化してあります。
でも自己紹介のときは、準備できないケースが多いです。
「最新のマイブームは?」と聞かれてパッと思い浮かぶのは「新しい百合マンガ(女性同士の恋愛モノ)」だったりするし、「最近一番楽しかったことは?」と聞かれたら「彼女とデートしたことやレズビアンオフ会を開いたこと」だったりするし、とても初対面の方の前でペラペラしゃべれる内容ではなかったりします。(百合といえば平尾アウリ先生の『推し武道』が最高に面白いので全人類読んでー!)
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「石田ゆり子さんのファンです」も自粛
恋愛って人生の一部でしかないですが、日々の出来事から喜怒哀楽、人生設計、人生観まで、与える影響はとても大きいですよね。その恋愛に関するあれこれを閉じたまま生きていくとなると、人付き合いはほどほどに距離を取りたくなります。
なので誰に対しても最初は、
「ウソはつきたくない、あまり深入りしてほしくない、程よい距離感で過ごしたい、仲良くなれたら少しずつ本当のことを伝えたい」、
と思いがちなので、初対面の自己紹介では、Lであることはバレないように、これから見せていくキャラに合うような、かつ場を和ませられる返答を考えなきゃ、という思考回路になります。これがちょっと面倒…とまではいかなくても、なんとなく自己紹介を苦手に感じてしまう原因みたいです。
私は昔から石田ゆり子さんのファンです。彼女のやわらかい言葉で綴られたエッセイを読むと、心が和みます。あんなふうに愛情豊かに自然体で生きていけたら、という憧れの気持ちがあります。
「好きな芸能人は?」と聞かれたら真っ先に挙げたくなりますが、でも一番本音が出やすいネタでもあるので、自粛しています。普段は決してテンションが高くないのに、ここぞとばかりにLの私が出てきてしまうので。
他の誰かが「石田ゆり子さんが好きです」と言っていたら「私もです!分かります!!」って即座に反応したくなりますが、ここでもテンションが上がり過ぎないように気をつけています(いつもは真顔で男性芸能人のお名前を挙げています)。
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とはいえ
と、「レズビアンだから自己紹介を苦手に感じるのかな?」と思うことを書いてきましたが、ふと考えたら、どんな人も多かれ少なかれ同じなのかな、とも思いました。
自己紹介でいきなりフルオープンに本音をしゃべれる人はいないですもんね。言えないことや言いたくないこと、人それぞれありますよね。その上で、どんなコミュニティでも初対面で上手に話せる人はやっぱりすごいなぁと思います。
仕事でもプライベートでも、人間が苦手なわけじゃないんです。むしろ人と関わるのは好き。だから仲良くなって相手のことを知りたいし、私のことも知ってほしいし、信頼したいし、されたいなと思うし、そのためにはやっぱり最初の自己開示が今よりもう少しスムーズに、身構えることなくできたらなと思います。
もう令和だし、私もセミオープンに生きていくのもありなのかしら。
note初投稿、自己紹介でした。やっぱり難しい。
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