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読書感想文『空挺ドラゴンズ』

こんにちは、まるです。

空を飛びたいと思ったことはありますか?
小学生の頃、歩いての登下校が面倒でドラえもんのタケコプターがあればなあ…なんてよく思ってました。

今回の記事では、『空挺ドラゴンズ』(桑原太矩著)の感想を書いていきたいと思います。

『空挺ドラゴンズ』桑原太矩 講談社

本屋さんで見かけたとき気になっていたけど手を出さずにいたら、最近漫画アプリで3巻分無料だったので読みました。その後すぐに本屋さんで全巻購入して一気読みしました。


あらすじ

クィン・ザザ号は空を飛ぶ龍(おろち)を狩る捕龍船。帰港することはなく、龍を求めて空を旅しています。クィン・ザザ号の乗組員達は龍を捕って解体し、皮や油を売り肉を食べて生活しています。主人公ミカは龍の肉が大好物。美味しく食べるために単身で龍に飛び乗ってしまうほどの危険知らずです。捕れば一攫千金、失敗すれば命はない空を旅する者たちの日常を描いた物語です。


魅力その1  料理

食べなくては生きていけない。しかしどうせなら美味しく食べたい!人間誰しも思いますよね。この物語では食べるシーンや料理するシーンがたくさん登場します。たっぷり働いた乗組員たちが美味しそうに料理を頬張る、読んでいるだけでお腹が減ってきます。

料理をしているこの男が主人公ミカ(1巻より)

なんとレシピまで載っています。龍肉は手に入りませんが、龍捕りをした気分で料理するのも楽しそうです。


魅力その2  日常を覗き見る

空飛ぶ船での暮らしはどんなものでしょうか。
お風呂が付いてない船なので体の匂いが気になったり、罰として掃除当番を命じられたり、嵐に向けて積荷を固定したり、乗組員の誰かが怪我をしたらお見舞いに行ったり…リアルな生活が描かれているのがとっても面白いです。

また個性豊かなキャラクターたちも物語に彩りを与えてくれます。いろんな過去があったり、意外な特技を持っていたりします。全員性格もバラバラだけど命懸けで龍を狩る龍捕り(おろちとり)として仲間を大事にします。
そう、龍は簡単には捕ることができない生き物です。今日食べるこのご飯が最後かもしれない。突然仲間と別れてしまうかもしれない。覚悟を持って生きている者たちの日常を読むことができます。


魅力その3  龍がいる世界

龍は私たちの世界には存在しません。(もしかしたらいるかもしれませんが、空想上の生き物とされていますよね)つまり馴染みがないのです。作中、いろんなデザインの龍が登場しますが、意外とドラゴンらしくないなと私は思いました。もっと『ドラゴンボール』の神龍みたいなものを想像していましたが、実際はイカとクリオネとクラゲを混ぜたみたいな姿で描かれています。

この浮いているのが龍(おろち)  触手もある。


『空挺ドラゴンズ』の龍たちは風景にとけこんでいて優雅に空を泳ぎます。暮らしに龍を感じる物語にするには、この絵柄でないといけなかったんだなと思いました。きっと他の絵柄では龍が悪目立ちしてしまう気がします。

『風の谷のナウシカ』(宮崎駿著)を読んだことがある人はこの絵柄に既視感があるなと感じるかもしれません。実際、桑原氏はインタビューでとても影響を受けたと仰っています。

(ちなみに所々ジブリを感じられます。このシーンはラピュタ、このシーンは紅の豚、このシーンはもののけ姫といった感じで)


最後に

龍捕り(おろちとり)はたびたび、捕った龍を解体する前にこんなセリフを言います。

雲に還(かえ)りて また良き風招(おこ)せ

これは唱え言葉と呼ばれるものだと思います。物語では「雲は龍を連れてくる」と言われているので、成仏して生まれ変わりまた雲と一緒に姿をあらわしてほしいという意味ですね。命をもらったから皮も油も肉も大事に使う、龍捕りの誇りを感じることができます。

不思議な生き物、龍(おろち)を捕る日常をぜひ読んで感じてみてください。

リンクから1話を読むことができます。

今回はここまで。
みなさま、良い一日をお過ごしください。

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