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すぎやまこういちとサイボーグ009の思い出

作曲家のすぎやまこういちさんが90歳でご逝去された。

ドラクエのテーマがあまりにも有名で、世間的にはすっかりゲーム音楽の人、というイメージだけど、私にとってはアニメのサウンドトラックの新しい扉を開け、地位を向上させた人、というイメージの方が強い。

というのも、私は幼少の頃からサイボーグ009のファン。

1979年から1980年にかけて放映されたアニメももちろん好きで、毎週欠かさず見ていた。この009の音楽を担当したのがすぎやまこういちさんだった。(ちなみにオープニングテーマ「誰がために」の作曲は平尾昌晃さん)

子供向けのアニメのサウンドトラックとは思えないほど美しく、重厚なオーケストラの音楽で、ストーリーに奥行きを与えていた。

ストーリーを追っているだけなのに、自然とバックに流れる音楽に心を奪われ、気がつけば009のサウンドトラックのLP(ランディングページじゃないよ)を購入していた。

当時、中学生。なけなしのお小遣いから2000円以上するLPを買うなんて、どんだけ。
しかも流行りの歌謡曲ではなくて、アニメのサウンドトラック。どんだけ。

家にレコードプレーヤーはあったけど、それをテープに録音するコンポなど持ってなかった私は、親戚のおじさんにレコードからテープへの録音を頼んだ。(時代だなあ)

「中学生にもなって、こんなテレビ漫画の音楽なんか…」と半ば呆れたような顔をしながらも、おじさんは録音を引き受けてくれた。

そして後日。
 
家にやってきたおじさんは、
「これ、ええな。子供向けやと思ってたけど、よかったわ。」
と、LPと録音テープを渡してくれた。

自分用にも一本テープを作ったらしい。

それを聞いて少し誇らしい気持ちがした。
 

ビバ、009。ビバ、すぎやまこういち。


その後、バラエティ番組などで、009のサウンドトラックが使われているのを耳にするたび、「これ、009の曲やで!」と得意になって周りに吹聴した。
そしてそれは、かなりの回数になっていた。それだけこの音楽が優れているということだと、私はますます誇らしくなった。

私にとって「すぎやまこういち」とは、こんな思い出とともに胸の中にある名前だ。
 

009の音楽がいい、と言ってくれたおじさんも今はいない。
 

すぎやまこういちさんのご冥福をお祈りいたします。

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