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本を買取っていただくまで②

 気が小さい私の話の続きです。

 その本屋さんで買取をしていただこう!と決めたのはいいですが、
今度は、そのお店がちょっと個性的な古本屋さんだったことが気になり始めます。
”私の持ってく予定の本のラインナップは店長さんのお目鏡に適うだろうか?”
”お門違いな客で変な雰囲気になりはしまいか?”
”そもそも一度もお客として行ったことがないのに買い取ってもらいに行くなんて失礼すぎるか!?”(これは事実失礼だったと思う)

ならば客として一度行ってみようと思って自転車を走らせるもののその日はたまたまお店が閉まっていて、もうこの時点で最初のやる気は半分以上なくなっています。

 本が入った紙袋は廊下に置かれたまま1ヶ月も経っていましたが、
「今日のような日に行かなかったら今後絶対行かないだろう」と思うほど
暇な日があって、ついに本を抱えてお店へ行ってみることにしました。

 入ってみると想像してた通り文化度高め。東欧の絵本や、マニアックな漫画のシリーズに貴重そうな昔のアイドル雑誌、また専門的なある分野に特化しているコーナーにも打ちのめされます。

数人のお客様はもう私の目には意識高い系に見えるし、肝心の店員さんは暗いコーナーの奥にいらっしゃるのか?(もしくはいないのか⁉︎)という静けさ。

こりゃやっぱりお門違いだったわ。かーえろ。

いつもの”スマートな人に見られたい病”が発症、私は何事もなかったように出口まで引き返してしまうのです。

いやいや待てーぃ!それこそが打破したい自分じゃないのか!?

自分でもちょっとびっくり、「今年の私」が思いとどまってくれました。もう何も考えずに一目散に暗いレジコーナーへ引き返し、お顔が今一つ見えない店員さんに向かって
「あの、本を持ってきたんですけど、見ていただくことはできますか?」と言ってみました。 

「あ、五分くらいかかりますけどいいですか?」

あっさり! そしてその優し気なお顔よ!

「もちろんです、すみません、お願いします」

ホロホロ〜っと脱力。
遂行できただけでよし。査定額なんてもはやどうでもいい…

待つこと数分。


「お待たせしました。890円になります…」

何と!!!

今まで味ってきたびっくり級に安い買取世界とは一味違う、かも!      (今回持って行った本が良かったのか?)

「あ、ありがとうございます。本当に突然持ってきたのにすみませんでした」

小銭をお財布に入れながら、スマート好きな私はこのお金でお店の本を買って帰ったらどんなに格好いいだろうか、と考えました。
けど、”今日は本を減らしにきたのだ”、”アルバイトの時給よりうんと安い890円だけど、チャレンジ遂行したことをしっかり味わおう”、そう思い直して
何も買わずにお店の人にお礼を言って帰りました。

……とさ。

「ええー?買取してもらっただけの話?」っですよね、ゴチャゴチャと。
でも今回はいつもと違う方法で、自分の心地よいルーティンから外れたことをしてみようって思っていたから、ちゃんと遂行できてすごく嬉しかった。すぐ悶々として行動できない自分の一つの殻を破れた気がして、こうして書き残しておきたいチャレンジになりました。

 小さいことだけど、慣れきった行動を意識的に変えていくことで、これからの自分に新しい良い風を呼び込めたらいいなって思ってるところです。

 「昨日の自分がやらないことを毎日していれば人生はあっという間に変化する」


 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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