映画「メタモルフォーゼの縁側」が人生の計画ってホントに必要?って教えてくれた
今日はオフの日! と決めて、終日プライベートな時間を楽しみました。まるやまです🍡
「30日間書くチャレンジ」の13日目に、休日にしたいことを書きました。朝寝坊してスタバに行きそびれた以外は、記事で挙げたやりたいことをして過ごせました。
一ミリ違わず予定どおりに進めるのって、なかなか難しいものです。
友だちからオススメされて気になっていた映画「メタモルフォーゼの縁側」を観ました。
芦田愛菜さんと宮本信子さんが主演の邦画です。ほのぼのとした雰囲気で気楽に眺められる内容なのですが、実はかなり深ァいことが描かれているのでは……と気づき、noteに認めることにしました。
以下から映画のネタバレが含まれます。あらすじと前半のセリフ引用くらいですが、問題ない方のみ先をお読みください。
この映画を知らない方にも「ちょっと観てみたいかも」と思っていただけるように、書いていきたいと思います。
どんな映画なの? という前提を、公式サイトの引用を交えてご紹介します。
17歳の佐山うららは、まわりに隠れてこっそりボーイズラブ漫画を嗜む女子高生です。同級生みたいに教室ではしゃいだり、恋愛したり、将来の目標に向かって励んだりなどができないことにコンプレックスを感じています。
75歳の市野井雪は、夫に先立たれて数年経った老婦人です。固いカボチャを包丁で切れなくなり、体の衰えを感じつつ、ひとりでこの先どう暮らしていくかを考え始めています。
そんなふたりが主人公のお話です。
とある日、うららがアルバイトしている本屋へ雪がやってきます。雪がたまたま表紙に惹かれて手に取った本は、うららが好きなBL漫画でした。
初めて触れたBLの世界に夢中になる雪と、人と好きなものについて語る機会がなかったうららが出会い、年の差58歳の「お友だち」になります。
わたしは諸事情により、ボーイズラブ作品がどのような世界観かや、世間で流行っていても堂々と「好き!」と言いづらい気持ちを学生の頃に経験したことがあります。
そういう意味で、10代でBLオタク活動に励んできた方はうららに共感しやすいかもしれません。
うららが小っ恥ずかしい気持ちになる横で雪さんがBLを生きがいにしている姿を見ると、純粋に好きなものを好きに楽しんでるだけだよね、と感じてきます。
うららが気にすることを「あらぁ」や「そうぉ?」という返事でいい感じに受け流し、趣味を肯定してくれます。
「まわりに隠したいオタク」と「ジャンルの初心者」の仲が深まり、語り合える友だちへ関係が変わっていくところは胸にジンと響きます。
ふたりはときどき会ってはBL語りに花を咲かせていましたが、ひょんなキッカケから、うららが雪に「あなたは漫画を描かないの?」と聞かれます。
「私なんかそんな才能ないので」と否定すると、不思議そうな顔で「才能ないと漫画を描いちゃダメってこと、ある?」と返されます。
読む方が好きだからと更に重ねるうららに、雪はいくぶん納得しかねる表情になりながらも「そう?」と受け止めます。
そして、こう言うのです。
この言葉をきっかけに、うららは漫画を描くことを決めます。さらに、雪とふたりで創作漫画の即売会に出るという素敵なアイデアが降りてくるのです。
この引用したセリフがわたしにも刺さりました。
雪はこれまで、75歳でBL漫画に出会い、毎日がウキウキするほど楽しくなるとは予期していなかったはずです。
うららもきっと、読み手である自分が漫画を描く側になるとは想像もしていなかったでしょう。
ひとりでは思いつかないし、やりたいとも考えなかったことが、偶然や誰かに与えられたきっかけから、夢中になれることに繋がっていく。
これって、実はわたしたちも経験していると思います。
友だちにしてあげたことがすごく喜ばれて、続けていたら趣味になったとか。たまたま人から頼まれて引き受けた仕事が面白くなって、専業でやっていくことにしたとか。
人生って、そうやって予想外にふよふよ右へ行ったり左へ行ったりしながら、自分にとって居心地のいい真ん中を探していくものなのかもしれません。
将来はこういう仕事をしたいから、逆算して、高校を卒業したらこの分野を学べる大学へ行く。こういう会社に入りたいから、大学ではこういうことをやっておく。
10年後や20年後にはこうなっていたいから、小さい目標に落とし込んで細かくレールを敷いていく。
学校でも社会でも、計画を立ててそれを予定どおりに進めるのが良いことだと教わってきました。もし成し遂げたいことが明確なら、便利なときもあると思います。
でも、人生を緻密に計画するのって、本当に必要なことなんでしょうか。
なにか目指すものがないと不安になったり、着実にキャリアアップしていく同年代と比べて劣っているのではと憂えたりする気持ちも、わたしにはあります。
それこそをいま一度、考え直す機会をもらいました。
ちまっとしたイラストしか描いたことのないうららは、無事に漫画を完成させられたのでしようか。若い人が多く集う初めての即売会に、雪はどんな気持ちで向かうと思いますか?
ふたりの対比がいろいろなシーンで映されて、強く印象に残ります。
映画を通してずっと走っている17歳と、ゆっくり歩いている75歳に気づいたとき、描き方が繊細だと感じました。
初めから終わりまで穏やかな気持ちで観られます。HSPさんにも優しい映画だと思います。わたしは2時間で3回号泣しました。
続きはぜひ本編で見届けてください。
映画「メタモルフォーゼの縁側」はAmazonプライムビデオで観られます。
原作はこちらのマンガだそうです。5巻完結なのがありがたいですね。実写化された作品って、どれくらい原作と違うか気になるオタク魂があります。わたしも読んでみよう。
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