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Jリーグ経営情報分析①

こんにちは!Maruです。かなり久しぶりの投稿となりますが、今回は、この記事から2本立てでJクラブの経営情報分析をしていこうと思います。


背景

分析対象の選択

今回は、過去10シーズン(2014-2023)のJクラブ経営情報を分析して、営業収入と順位の関係を探っていきます。データはJクラブ経営情報ポータルというサイトから取得し、Tableauを使用して分析します。
作成したTableauワークブックはこちらから見ることができます。

用語

キーとなる用語を解説していきます。

営業収入

営業収入はいくつかの収入源をまとめたもので、どんなものがあるかというと;

  • スポンサー収入(広告料収入):スポンサーによる収入

  • 入場料収入:ホーム主催試合の入場料収入

  • Jリーグ配分金:Jリーグから配分される資金(元手は主に放映権料)

  • 物販収入:グッズ売上

  • アカデミー関連収入:スクール事業による収入など

  • その他収入:選手移籍関連収入、賞金、出場料、出演料など

上記の6つが含まれているそうです。詳しくはこちらをご参照ください。

順位

順位に関しては特に難しいことはないと思いますが、キーとなるのは;

  • J1:優勝、AFC Champions League Elite(ACL)出場、降格

  • J2:自動昇格、昇格プレーオフ進出、降格

  • J3:自動昇格、昇格プレーオフ進出、降格

になると思います。
この記事ではACL(リーグ戦の順位による)出場、J2→J1への自動昇格、J3→J2への自動昇格に焦点を絞って分析します。
大会形式が異なるシーズンがありますので、自動昇格が1チームだったり、2チームだったり、天皇杯優勝によるACL出場権の獲得だったりあります。ですが基本的にはどのリーグでも、どのシーズンでも上位2チームを対象に分析していきます。

分析

営業収入と順位の関係

そもそも、この2つに関連性はあるのか、相関はあるのかを見ていきます。

Tableauで作成したSmall Multipleと呼ばれる小さなグラフをたくさん見せて全体のパターンを一目でわかるようにしています。

ここでは数字はあまり気にしなくて大丈夫です。大事なのは、2018シーズンのJ3以外、全てのシーズン、リーグで右肩上がりの傾向線が見られるところです。つまり、基本的にはよりお金のあるチームが勝ちやすい傾向があるということです。
もしかしたら、皆さんもある程度予想はついていたと思いますが。
では実際に各リーグの上位2チームの営業収入平均がどうなっているのか見ていきましょう。

J1

まずは、J1でトップ2に入るチームの営業収入の平均を見ていきましょう。年によって上がったり下がったりを繰り返しながらも、徐々に平均は上がっていることがわかります。具体的には、2014〜2020までの7シーズンでは50億円を下回るシーズンが4回ありましたが、2021シーズン以降は全て60億円を超えています。今のところの最高は、最新データでもある、2023年の67.7億円です。

単位は百万円
どのクラブのデータか分かりやすくなるよう、棒の上にクラブのエンブレムを乗せました。

2020シーズンに一度沈んだのはコロナの影響が考えられます。それ以降常に右肩上がりで来ているところを見ると、現在進行中の2024シーズンではさらに高くなることが予想されますし、2025シーズン以降もインフレ含め上がっていくことを考えると、数年以内にトップ2 ≒ ACL出場を目指すには営業収入70億円を目指すことが必要かもしれません。

J2

さらに、J2で上位2チームになる(自動昇格圏に入る)ための営業収入を分析します。年によってかなりバラつきがありますが、ここ数年は上昇傾向にあります。具体的には、2020年までは2015シーズンを除き、12億円から26億円の間を行ったり来たりしていましたが、ここ3シーズンは全て26億円を超えています。3シーズン連続で26億円を超えるのはJ2が作られてから初めてのことです。

Tableauのパラメーターアクションを使用

J1と同様に、2024シーズン以降も上がっていくことが予想されますが、2023シーズンの38.3億円が飛び抜けて高かった可能性があるので2024シーズンは少し下がるかもしれません。しかし、数年以内に自動昇格を目指すのであれば最低でも25億、理想を言えば30億は営業収入が欲しいところではあるでしょう。

J3

次に、J3での上位2チームの営業収入を見ていきます。昇格するチーム数は年によって1チームだったり2チームだったりしますが、2024シーズンは2チーム自動昇格しますし、各リーグ20チームずつに揃えたので、おそらく最低でもこれから数年間はそのシステムが続くと思います。ですので、上位2チームに絞って分析しますと、過去10シーズンの営業収入は大体4〜7億円ですが、昨年は9億円弱となりました。

今回は上位2チームの平均を見るので平均線が1番強調されるようにしました

J1とJ2同様、2020シーズンに一度下がって以降、直近4シーズンは右肩上がりですので、2024シーズン以降も上がっていくことが予想されます。さらに、インフレも含めて考えるとより高くなっていくことも十分に考えられます。
以上を踏まえると、自動昇格を目指すのであれば、営業収入6億以上は目指したいところです。

まとめ+感想

各リーグ上位2チームの営業収入を10シーズンに渡り見ていきました。どのリーグでも、上がったり下がったりを繰り返しながらも、直近4シーズンは上昇傾向が見て取れました。インフレを含め、これからも上位2チームにとどまらず、全体として平均営業収入は上がっていくことが予想されます。これに対応するため、しっかりとした経営戦略を立て、持続可能なクラブ運営を目指すことが、全てのクラブにこれから求められると思います。
また、さらに上を目指していくのであれば、スポンサー収入や入場収入など全ての面でより多くのお金を集める必要があります。決してお金がないと昇格できなかったり、ACL出場できないわけではないですが、傾向から見ても分かるように、お金がある方が可能性は上がります。
当たり前のことかもしれませんが、データを用いて可視化したことで具体的な目標金額も建てられる。こういう風にデータって使うんだろうなって自分でやりながら感じてました。皆さんだったらどういう分析をするのかぜひ教えてください!

今回は上位チームの営業収入にフォーカスして分析しましたが、次回は時間軸を最新データの2023シーズンに絞り、クラブを全60クラブにして、各クラブの財政状況を見ていきます。具体的には流動比率、自己資本比率、負債比率の3つを分析していきます。

次回もお楽しみに!

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