私にエモを押し付けるな

2019年12月5日 17:05

世の中には押し付けエモが多すぎる。

企業が「商品を売るためにはストーリーが必要だ！」とか、創始者の原体験がありこの会社は創られた〜とか。一杯のコーヒーにもこんな思いが込められて〜……。全部全部どうでもいい。

商品を売りたいのなら、その商品自体を良くすればストーリーがなくたって売れるでしょう。
会社を大きくするには社長より事業内容、コーヒーなら美味しさ。そういうもんでしょう。

商品自体が気に入ったら作られた過程とか勝手に調べて勝手にファンになるから。最初からエモいストーリーを押し付けてくるのは勘弁してほしい。

ひとりひとつの人生にひとりひとつの感情

って、とあるアイドルグループが歌っていた。

ひとりひとつ感情があるのに、謎の同調圧力。「みんなが良い」って言っているけど、みんなってだれ？人とは違うことが悪いとされる。

なんて世の中だ！

社会の「お前らエモが好きなんだろ？」「エモいって言っておけばいいと思ってるんだろう？」っていう風潮。

押し付けれられるエモは大嫌いだ。

そんな私が #エモ散らかし隊 に参加してしまった。

気の迷いだったかもしれない。みんなが言うエモいを体験したかったのかもしれない。

エモ散らかそうにも、エモを排除していたから、エモ散らかし方がわからない。困った。

私が『エモの定義』としているのは「思い出がブワっとよみがえる」こと。だから他人に強要されるものではないと思っている。

そんな私だが、つい最近「あ、え、エモ」と思うことがあった。

酔っぱらった帰り道。駅のホームで終電を待っていたら、たまたまイヤホンから大好きな曲が流れてきた。3年ほど前の、ちょうどこの時期くらいに発売された曲だ。

アイドルが曲を発売するときは、リリースイベントが行われることが多い。ざっくり言えば、AKB48の握手会を毎週行うようなものだ。

私が好きなアイドルの場合、発売前の3ヶ月と発売後の2週間くらい。合計4ヶ月近くリリースイベントを開催していた。

4ヶ月間くらい毎週推しメンに会えるのだ。発売週は推しメンが7連勤することもある。

推しメンにとっては地獄かもしれないが、オタクにとってはとんでもなく幸せな4ヶ月だ。

オタクになった最初の頃は向こうも私も敬語で会話をしていて、少し会う期間が空くとお互い人見知りを発動。
スタッフさんに「なんで二人で人見知りしてるのw」と突っ込まれることもあった。

イベントに通い詰めて、お金をたくさん使って、最優先の予定にして。クリスマスもゴールデンウィークも、「推しメンのイベントがあるかもしれないから！」って誘いを断りまくっていたら、友だちも彼氏もいなくなった。ワハハ

そんなちょっと初々しい？距離感のある初期状態を終え、何年か推した。

そして3年ほど前のリリースイベントもほぼ毎週通って、最終的に80枚90枚くらい買った結果、推しメンが私のことを雑に扱うようになった。

雑におっぱいを触ってきたり、こちらから話しかけたら大声でかき消したり。

「今日もかわいいですね」って言ったら、「ﾊｲ、ｼｯﾃﾏｧｽ」って返してくる。どんなアイドルだよって思いながら楽しかった。

サイン会で、書いてもらうことをお任せでお願いしたら全面に「え？」と書かれただけだった。どんなアイドルだよって思いながら楽しかった。

チェキ会で、とりあえず横に並んだらおっぱいを鷲掴みにされた。どんなアイドルだよって思いながら楽しかった。

今までもそのような傾向はあったのだけど、顕著になったのはこのリリースイベントから。

きっと、推しメンから何をしても離れない人として認定されたのだろう。

女の子がいっぱいいるアイドル界。推し変もDDも当たり前な中で、そう思ってくれるのは本当に嬉しいことだし、まさにその通りで。たぶん何をされても離れない。

麻薬で捕まっても出所を待ち続けるだろう。

しかしここ最近、推しメンに会う機会がなくて、SNSの更新くらいでしか顔が見られない。すごく寂しい。会えない分、頭の中にいる時間も減ってきた。

だけど、リリースイベント最終日に「もう毎週会えないんだよね…」って号泣したお好み焼き屋さんからの帰り道と同じような気温、同じような時間にたまたま流れてきた1曲。

たったそれだけでリリースイベントの4ヶ月で話したことも、思ったことも、鮮明に思い出せる。

そのときの感情も、出来事も、自分の中から鮮明によみがえることが私にとってのエモだ。エモいだろ？って押し付けられたものは全然違う。

だから、本当に、今書いたものは他人が読んだらただのアイドルオタクの思い出話だ。だけど私からしたら、1曲聞いただけでいろいろな感情もよみがえってきた最高にエモーショナルな出来事だった。

私だけのエモを共有してやったんだから、みんな感謝してよね。

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この記事は、鶴さん（＠dmdmtrtr）が主催の「年の瀬に #エモ散らかし隊 Advent Calendar 2019」に参加させてもらって書きました。

ありがとうございます！

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