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川内倫子さんの写真展M/Eに行ってきた

川内倫子さんの作品みるの、20年ぶりでした。
20年前に見たときもたぶん同じことを感じた。
『走馬灯みたい』

懐かしくて眩しくてあたたかい、
このままスーッと何もわからなくなっていく、
みたいな感じがするのが川内倫子さんの作品の特徴、だと勝手に思ってる。
今回の展示もまたそんな雰囲気を感じることができてすごく良かった。だけど少し違いもあった気がする。
その違いは私が20年歳をとったからというのもあるけど、作者にも同じ時間が流れたからだと思った。

川内倫子さんにはちょっとした思い出があって、そのおかげで忘れっぽい私が20年も名前を覚え続けることができた。

学生時代に神戸から京都まで通学していたとき、暇つぶしに阪急電車ホームの下にある紀伊國屋書店に通っていた。
そこで平積みにされていたのが川内倫子さんの作品集のアイーラだった。
発売開始直後だったのか、書店独自のレコメンドだったのかわからないけど。
それまで写真作品はあまり触れたことがなくて、どんな風に見ればいいのかわからない状態だった。
なにげなく開いた作品集だったけど、あの淡い色調の作品をハラハラめくっていくうちに『あっなんかヤバい』と思ったのをすごく覚えてる。(語彙力がない)
その場に関連作品としておいてあったいくつかの作品集も見て、特に『うたたね』はすごく印象に残った。
作品一枚一枚だけでなく、並びやテンポが大事というのをはっきり実感したのもこの時だったような気がする。

中にはグロテスクなモチーフもあるけど、ガラスを隔ててみてるような、自分が現世から切り離されてるような、不思議な気持ちになった。

そんな感動があったので、それから20年経ってもずっと『写真家といえば川内倫子』と覚え続けることができたのだと思う。
単にそれしか知らないんでしょ、と言われたらその通りだけど。

今回の作品展は子供が関連する作品も多くて、私にとってはより身近に感じる気がした。
血管の浮いた老人の手から、あどけないふっくらした子供の手になって、生の方に重心が移った感じがした。
中に障害者支援施設の風景を移した作品もあり、そこからもより『生きている』ことを感じる気がした。

自分も子育て中だからか、
作者の人生と自分の人生がリンクするような不思議な感覚だった。

映像作品もあった

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