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DAO: 自律分散型組織


DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略であり、日本語では自立分散型組織と訳されます。この横文字では訳がわからないですが、一言で言うと「社長のいない会社」のようなものです。
株主、経営陣、役員などがいなくてもミッション実現に向けてメンバーが自ら自立的に価値提供をして、事業を推し進めていく組織にことをDAOと言います。最も有名なDAOはブットコインのプルジェクトやイーサリアムプロジェクトと言われており、サトシナカモトと言うリーダーや管理主体がいなくても世界中のマイナーたちによる貢献によりビットコインは100兆近い時価総額まで成長しています。DAOにはコア開発者(コントリュビューター)というプロジェクトの方向性を提示する中心メンバーが存在し、基本的にはそのコントリュビューターが提示する選択肢に対し、DAO内のメンバーたちが投票することで決裁がなされ物事が前に進んでいきます。
ここからはなぜ今DAOが注目されているのかその理由をはじめ、DAOの事例やそこでの働き方、そして可能性と課題について深堀りをしていきます。

●我々はユーザーからステークホルダーに
DAOの未来を見ていく前にWEbの流れを振り返ります。
・Web1:企業がユーザーにコンテンツを提供
 web1と言われている1990〜2000年代におけるインターネットは企業が配信するコンテンツを私たちは一方通行にただ消費するだけでした。そこではYahoo!、Googleが代表的な企業でしょう。

・Web2:ユーザーがコンテンツを提供
web2の2000年以降はそのインフラの向上に伴いインタラクティブ性が増し、ユーザーがコンテンツを簡単にアップロードできるようになりました。
ユーザー自身がコンテンツ提供者となり、企業はその「場」となるプラットフォーマーとなったのです。そこではFacebook、Twitter、YouTube、TikTokなどのSNS企業が膨大なアクセスを集めることになりました。

・Web3:ユーザーがプラットフォームを提供
見出しにある「ユーザーはステークホルダーへ」という言葉の意味はまさにここにあり、ユーザーはプラットフォーマーを利用する存在から、運営する主体にかわります。
私たちが多くの時間を費やしているオンラインコンテンツの多くはUGC(ユーザー生成コンテンツ)であり、もうすでに運営の一部を担っている状態であると言っても過言ではありません。
このようにユーザーはプラットフォーマーに対して多大な貢献をしているにも関わらず、そこでの金銭的リターンはほぼ実現できてなく見返りは「いいね!」止まりとなっています。
この課題感が顕在化し始めた2015年以降から急伸したブロックチェーン技術によりユーザーはデジタルコンテンツを「所有」できるようになり、また稼働に対するインセンティブの設計(スマートコントラクト)が可能になりました。これによって多くのブロックチェーンプロジェクトはWeb3版のいわば株式であるトークンを初期ユーザーや開発者に所有してもらい、その価値向上のために貢献モチベーションを引き出したのです。例えばイーサリアム創設者のヴィタリック氏の持分は最初から数%と、今の株式会社における株の概念とは真逆であることがわかります。

○暗号資産の保有=DAOへの参加
ビットコインやイーサリアム、ソラナなどの暗号資産は、実質的には「通貨」ではなくプロジェクトの「トークン」です。つまり、それらを保有していると言うことはそのプロジェクトのステークホルダーであり、暗号通貨プロジェクトの貢献者の1人であると言うこととほぼ同義であると言えます。要するに、暗号「資産」と言うネーミングやそのボラリティから価格の推移だけに注目が集まりがちですが、これらは本来プロジェクトへの貢献者を報いるためのトークンです。自分が保有している暗号通貨(トークン)の価値が上がれば金銭的メリットがあるわけで、そこにはそのプロジェクトを推進していく動機が発生します。一方、既に取引所で購入できるようなメジャーなトークンに関しては、よほど大きな資金を提供しない限り、極端な値上げを行うのは難しくそこからのアップサイドの期待値も予測できるレベルです。
DAOじゃ自分の好きなプロジェクトに、自分ならではのスキルを貢献することでそのトークンの一部を得られるものであり、そこには無限のアップサイドを得られるチャンスが開かれています。

○DAOの課題
DAOのポジティブな面をお伝えしてきましたが、まだまだ黎明期のものであり、課題の方が多くあります。よく挙げられるのがハッキング問題でありその自立的で透明性である組織である以上、ソーシャルエンジニアリング面的な観点も含めまだまだセキュリティ面で改善が必要なフェーズです。

・セキュリティの課題
常識レベルで有名なのが2016年6月に起こった「The DAO」に集まった1億5000万ドル相当(当時換算で!!)のハッキング事件です。
TheDAOはイーサリアムコミュニティのメンバーがお金を出し合って投資ファンドを作り、投票によって投資をしながら利益を上げていくためのプロジェクトでしたが、その注目度から集まった金額の1/3が抜き取られるという事件を呼び寄せ、結果的にこの事件をなかったことにするためにハードフォークがされました。
これによりイーサリアム・クラシックという暗号通貨が登場するに至ったのです。この事件の反省を踏まえながら、多くのプロジェクトが生まれていますが、この脆弱性の懸念は課題として挙げられます。

・複雑なオペレーションの課題
もう一つのより現実的な課題はDAO上での業務オペレーションでしょう。基本的にオンライン上で匿名で貢献度を可視化する形で業務を遂行していくものなので、営業、カスタマーサポート、パートナーと交渉が必要なマーケティングやビジネス開発などは不向きといえます。またその前提からして英語でのコミュニケーションが基本であり、ローカルなプロジェクトにも向きません。一方オペレーションがシンプルで、かつグローバルにスケールする業務はDAOに適していると言えます。そういった面もあって、今成功しているとわれるDAOはDeFi(分散金融)領域が多いのも納得できます。グローバルにニーズのある分野で、手数料や金利のパラメータの調整などプログラムの改善でグロースしていける領域が短期的には狙い目かもしれません。
→国際貿易の業務にも向いてそう

・DAO内での競争力・格差評価
すべての貢献を測定し、報酬を与えることは、より実力主義的な資源配分に繋がってしまい、大きな評価報酬の偏りが出てくることが予見されます。数字に現れない貢献をうまく評価することができません。

・認知的過負荷 
ダンバー数ならぬ、DAOバー数という言葉もあるそうですが、人の時間は有限であり、アテンションは限られているので参画できるDAOには限りがあります。

・短期投機的な非接続性の問題
こちらも大きな問題だと感じている点であり、トークンの獲得だけを主目的として短期的、金銭的なインセンティブのみで働くユーザーが多く現れることが予見されます。

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