短編小説0002 無限ゴミ箱
「この街は汚いな」
通勤や買い物で通る繁華街の道端や少し離れた場所に落ちるゴミを見て私は毎日思う。
急ぎではないときはそのゴミを拾ってゴミ箱に捨てたりするのだが、当然私が捨てたくらいではゴミは減りはしない。
ある日私以外にもボランティアや仕事ではなくゴミを拾って捨てているスーツ姿の壮年の男性を見た。その人も私のように街が汚いと思いゴミを拾って捨てているのかそれともただたまたま気になったから拾って捨てたのかはわからないが、私に似たような人がいるのだなとふと思った。
私が性懲りもなくゴミを拾って捨てようとしたとき、昨日とは違いカーディガン姿の若年の女性がゴミを拾って捨てていたのだがいつも私が通りがかるそのゴミ箱について気づいたことがある。ゴミ回収の方々がそのゴミ箱から回収はしないのにそのゴミ箱はゴミがあふれていないのである。
私はそのゴミ箱を朝の出勤や夜の帰宅時に注視するようになった。
やはり回収されていない私が見ていないときに回収しているのかと思い私はろくでもないことを考えた、携帯を設置し常時録画一日録画しておいたのである、するとどうだろうそのゴミ箱は溢れそうになると徐々にゴミが消えるのである。その事実に気づいた私はゴミを集めそのゴミ箱にいっぱい詰め込んでみたすると少しずつ消えていくのである、しかし地面に溢れ落ちているゴミは消えないのである。
それから私は繁華街の裏路地のゴミが溢れているダストボックスを見つけた。
そのダストボックスはいつ前を通っても溢れていて回収されているようには見えないしかしゴミ屋敷のように増えているわけではない、ゴミは溢れているのに一定の量以上増えないのである、試しにそのゴミをすべて回収しゴミが消えるあの不思議なゴミ箱にすべて移動し、空にしたダストボックスを携帯で録画してみたすると消える方の以前見つけたあのゴミ箱とは逆にダストボックスの中からゴミが湧きだし周囲からも風や人が運びゴミが一定量まで集まり再び溢れ出していくのだ。
消えるゴミ箱のゴミが溢れるダストボックスに移動しているのかと思ったが
そういうわけでもないようで違うゴミがダストボックスに集まっているようだった。
街のゴミを消すゴミ箱と、街中のゴミを集めて常時溢れだしてそれ以上増えないダストボックスがこの私が暮らすS市には存在するのだ。
もしかしたら私たちやゴミを出すものが存在する限りこのゴミ箱達は他の街にも存在するのかもしれない。
文章でいっぱしに食べていけるような文を書けるよう成長していきたいと思います。よろしくお願いいたします。