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LINE×Yahoo経営統合についてのまとめ

こんばんは。

LINEとYahooの経営統合について、1つのケーススタディとして覚えておくべきと感じたポイントを整理しておこうと思う。

今回のLINEとYahooの統合の目的(シナジー)は大きく2点。

①顧客基盤の拡大
②株価上昇による事業領域拡大

①顧客基盤の拡大
「若年層に強いLINEと中高年層に強いYahooのユーザーを合わせることでより大きな顧客基盤を獲得する」と言われているが、下図のLINE公表データを見ると、国内ではかなりの部分で被りがある。

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Yahooからすれば、LINEだけを使っている19.1%へリーチできるため効果は大きいがLINEからすれば顧客基盤の拡大が統合のメインの目的ではなかったのではないかと思われる。もちろん国内での顧客基盤を拡大することも目的の1つであるが、おそらく目指すところは次の②であり、それが米中に続く第3極に繋がっていくと考えられる。

②株価上昇による事業領域拡大
米中のGAFA、BATの成長スピードはその高い収益力によって生み出される豊富なキャッシュを用いた大量のベンチャー企業買収に支えられている部分も大きい(もちろん研究開発費用もとんでもない額ではあるが)。

こうした中で、LINEやYahooが生き残っていくためには収益性を高め、高い収益性を保ったまま規模を拡大していくことが必要である。そうした背景から今回の経営統合は意思決定されたのだと思われる。

正直なところ、GAFAやBATはもうすでに大きくなりすぎているため、真っ当に戦っても勝ち目はないと思われる。しかし、アジアを中心に彼らがまだシェアを獲得できていない地域に集中して、彼らの構築(しようと)しているような経済圏を作れれば、規模で互角にはなれなくとも第3極として存在感を示すことはできるのではないかと思う。

そのためにはアジア各地で規模を拡大していくための資金がまずは必要となる。そこで、経営統合によりソフトバンクグループの時価総額を高め、キャッシュではなく高い株価を利用した買収による事業拡大を目指しているのだろう。ビジョンファンドの投資先である様々な企業のテクノロジーやサービスをうまく組み合わせた経済圏を作っていく絵も描けるかもしれない。

非常に多岐に渡る事業会社を傘下に持つソフトバンクグループにメッセンジャーのLINEが入ることで、各サービスをつなげるネットワークが構築できる状態となった。また、メッセンジャーと相性が良く、非常に安定した収益源である通信キャリア事業を持つソフトバンクグループであれば、アジア圏におけるスーパーアプリを作り上げていくことが出来るのではないかと思う。

今回の話をまとめると、”純粋な開発競争ではなく、安定した高収益事業を軸にした高い株価による事業拡大によって競合のいないセグメントに強固な事業基盤を築くことで、市場ポジションを獲得・維持する”ということになるのかな。

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