ガラス越しの世界 #1

 これは日記のようなものだが、出来事を時系列に並べていくという書き方はしない。僕の思考はしょっちゅう横道にそれる。連想という寄り道をしているうちに、当初の目的地がどこだったのかさえ思い出せない、あるいは、覚えてはいても関心をなくしている、ということはよくある。

 物語を最後まで読み終えることのできない読者のように、僕は自分の始めたことを最後までやり切るのが苦手だ。病気なのかもしれない。でも、正式な診断を受けたことはない。理由は、精神医学が怖いからでも、見下しているからでもない。面倒くさいから、あるいは、前向きに生きることを諦めているから。

 ネットのいいところは、完全に匿名になれるところだ、と僕は思っている。自分の心を魚に変えて、水槽の中に入れて、無数の読者に、その鱗の輝きや、尾びれの動きや、黒目の黒い色がどこまで黒いのか、そういった色々なことを見てもらう。自己顕示欲、承認欲求、そういった厄介なものが、僕の中にもある。

 記憶をばらして、また組み合わせる、という遊びをこれからやっていこうと思う。各々の欠片を言葉という弼でつなぎ合わせて、イメージのパッチワークを作ってみたい。


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