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夜になると

 夜になると、急に頭が冴える。
 こんな風に思っている人もきっと多いと思う。僕は間違いなくこの「夜に覚醒する人」なのだ。
 なぜなのか、正直よくわからない。
 昼間に何かをしようとしても、あまりうまくいかない。集中力が切れてしまうのだ。
 もちろん、平生、日中は勤めに出る。そこでは集中力が切れるのか、というと答えは、ノーだ。
 仕事は仕事でしっかりとやる。そこでは集中力が途切れるなんてことはない。それは社会人としての責務だ。
 むしろ、仕事があるということが一種の「緊張感」を生み出しているのかもしれない。ただ無為に時間を浪費するのではなく、明確な課題を持って、それを追究していくことこそ、人生に張りを持たせるためには必要なことなのではないだろうか。
 あるいは、日常は感覚が研ぎ澄まされているのかもしれない。夜になって、やや、感覚が鈍磨になってくるこの時分にこそ、かえって、文章のリズムと思考の感覚が合致するのかもしれない。
 昼間はまったく文章を書く気にもならない。特に休みの火はそうだ。しかし、夜になるとどうだ。無尽蔵に言葉がありふれてくるし、どうやって、正しい表記で、自分の心情を率直に述べるのか、前向きに、ポジティブに、考えている自分がいる。
 他のことをやりながらでも、前に進むことができる。夜は、マルチタスクが可能だ。
 この「黄金の時間」は人によって違うのだろう。あるいは、脳科学の示唆する結果もまた、違うのかもしれない。
 しかし、自分にとってはそうだ。そして、これは必要な時間なのだ。
 肉体の時間と、思考の時間。これらのXとYの合致する所こそが、自分にとっての黄金の時間なのだ。
 街の中の喧噪が落ち着くことも、集中できる要因の一つなのかもしれない。あらゆるノイズがそぎ落とされ、純粋な世界が顔を覗かせる。ゆえに、本当の意味で、自由な時間が、自分の眼前に訪れるのかもしれない。
 すんなりと自分の中で、表現と思考が合致する時間は幸せでもある。自分にはまだできることがあると、ポジティブに自分を高めることができる。 
 そこに向けて集中することが大切だ。
 自分を掴むこと。
 何年経っても、難しいこと。
 日々、追究の手を緩めてはなるまい。

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