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好きなもの。

 好きなものを、好きと他人に言えない。
 そんなことがよくある。自分の好みを自信を持って伝えられるほど僕は強くない。
 強さ、弱さ、という見方も奇妙かもしれない。好きなものを伝えるだけで、自身の心の強弱を問われるなんて。

 誰にだって、大切なものがある。それを、うまく伝える力。それは、きっと重要な力なのであろう。綺麗なものを嫌いと言うこと。それはきっと大切なことなのだろう。
 
 愛を奏でること。きっと、好きの源泉はそこにある。伝えることを、うまく伝えること。喜びを、個人の中に押しとどめるのではなく、その喜びを他者へと伝達していくこと。
 
 好きだ、といいたい。でも、言えない。そのせめぎ合いが、切ない。言葉は一瞬で、過去に飲み込まれる。たった数秒で形を得たかたと主えっ場、次の瞬間にはすぐに見えない存在となっている。残るのは、解釈の残り香だけである。
  
 好きが、自分と他人をつなげていく。好きが自分をより確かな自分にする。それを、しっかりと世界へと向かって伝えていきたいのだ。
 世界を押し広げる時に、「好き」が自分の力となる。
 

 自分の中に芽生えた価値観を、大切に育てなければならない。自分の価値観に押し負けてはならない。自分は狭くなる。自分の価値を生きられなくなる。それが社会化されるということえあり、大人になるということなのだ。

 勇気を持つ必要がある。幸せになるために。相手に打ち勝つための勇気ではない。自分に打ち勝つための勇気である。


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