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「がらくた屋と月の夜話」 「あかずの扉の鍵貸します」


取っ手の欠けたカップ。
使用された文房具。
動きのいびつなロボット。
椅子の脚。
一見ゴミのような「がらくた」をトランクに詰めて、
月明かりの射す公園で店を広げるおじいさん。
商品は「がらくた」ではなく、
その「がらくた」が持つ物語だ。
大事にされてきたモノが辿ってきたであろう歴史を話して聞かせてくれる。
価値とは値段だけで測れるものではない。
持ち主の思い入れが価値を決めるのだと思う。
本物ではない宝石であっても、
決して失いたくない価値を見出すことができる。


フランスにはブロカント(Brocante)と呼ばれるお店があるそうだ。
蚤の市と言ったほうが馴染みがあるかもしれない。
いわゆる中古品を扱っている。
日本で言うなら…2nd STREET??
下のサイトを見ていたら、
モノを大事に使い繋いでいくというのは、
なんだか温もりを感じられるものだなぁと思えた。

単に雰囲気がワタシ好みというだけかもしれないが。
でも洋服に関しては新品が好きだ。
末っ子で、
子供の頃はほぼお下がりで賄っていたことの反動かもしれない。(チガウカモシレナイ…)



あかずの扉があったら何をしまうだろう。
物語の中のその部屋は別に金庫ではない。
壊そうと思えば簡単に壊れる鍵だ。
それでも人知れずしまいたいモノがあるだろうか。
それは隠したいほどのモノなのか。
失くしたくない大事なモノなのか。
貸金庫でもない。
貸倉庫でもない。
タイム・カプセルでもない。
そんな部屋にしまいたいモノ。
ここは、
あかずの扉を貸出しつつ下宿屋でもある。
秘密を抱えた下宿人や、
秘密を暴こうとやってくる下宿人。


家の中は迷路のような造り。
部屋を通って別の通路に繋がっていたり、
地形もあって上に上がっていても1階だったり、
階段の先がなかったり。
サグラダ・ファミリアのように未完成の洋館がその舞台。
読んでいるだけで、
歩き回ってみたい、
何なら下宿してみたいと思う。
人の骨が埋まっているかもしれない。
夜中に地下から子どもの泣き声が聞こえた。
幽霊が住んでいる。
降霊室がある。
怪しさ120%の建物ではあるけれど、
そういったストーリーをはらんでいそうな事に興味がある。
ちなみに、
下宿してもあかずの扉は借りずに済みそうだ。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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