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映え

住んでいる街の中に、全てが人工的に整備されたエリアがある。

調整池にお洒落な雰囲気を醸す低層造りの商業施設に、何本立っているのか数えるのが面倒になったタワーマンション。

大学のキャンパスと諸々の研究施設。大きな病院と、そういう業界にはあると便利な最新鋭のICT網が整備されている……。

そういう場所が、自宅から散歩かサイクリングで行ける範囲にありまして。

ちなみに、自宅があるのは街の中でも昔からある住宅街。

周囲は家と工場と倉庫があってという感じで、昭和生まれには自然と馴染める。

というか、街ってこんなものという。

人工的に整備された新しいエリアにある、足を踏み入れた瞬間のドギマギ感が全くない。そんな所が居住地域。

時々、腹ごなしのサイクリングで人工エリアに足を延ばします。

この時期なので夕暮れの時間帯が多いのですが、まぁこの時間というの「人工的エリアの細部まで設計してあります」感が存分に味わえるもので。

夕暮れで照明が各所に入る。

タワーマンションなんかは、航空障害灯も目立つもので。全体的な灯りと、それより低い建物の照明群が下から煽る役割もしてくれたりなんかで、まぁこれが綺麗に景色に浮かび上がって。

しかも、このタワーマンションの群れは調整池越しに眺められたりもするもので。

調整池には明らかにSNS投稿目当てらしき人達も多くなっています。

取る位置を変えながら、皆さん研究熱心です。

自分はというと、ただその撮影する人を眺めて終わり。

「これが映え」と思いますが、自転車を停めるのも面倒なので素通り。

こういう、映えるものを自分なりに上手に消費してみたい気はしますが。欲望といえるまでではないので動けない。

時々、このエリアにある飲食店の旨い物を食べてお茶を濁すのが関の山。

映えがどうのこうのって、貪欲の象徴ということでいいんでしょうか?

ていうか、そういうことだよな。

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