神学ダイジェスト133号 女性をめぐる神学 雑感

P21 『フェミニスト神学は、省察においては、伝統的キリスト教に浸透している二元論的なものーー体と魂の対立、超越と内在や、神と人間および宇宙を分つ距離ーーを拒み、全体的(ホリスティック)であることを目指している。』
(アリス•デルミアンス氏)に基本的に賛成🙋‍♀️。
パウロのローマ書8章にある“肉の否定"言説は受け入れがたい。反フェミニズム色の強いパウロ書簡は女性の神学から排除されたと明記されている(P18上段)。
P.アレン『二十年後の『女性の尊厳と使命』と課題』まで読みました。私にはA.デルミアンス氏の論文が概観になり、P.アレン氏の論文は神学上の論点を浮き彫りにしてくる。ローマ教皇の書簡を含め特集の論文はあと4本。
カトリック教会の女性を巡る神学の流れは大きく二つある。『女性の神学』と『フェミニスト神学』。後者の流れと『the church and the homosexual』,『transgender issue』を併せて読みたい。
『キリスト教伝統における性差別と女性蔑視ー解放をもたらすためにー』P75上段の、“ローマ•カトリック女性司祭(RCWP)“の運動の記述に
驚いた。教会法では認められていないが既に女性が司祭叙階の秘蹟を受けた実例があると言うことに。私は大歓迎なのだがかつて参加していたサークルではそこまでの報告は聞いてなかった。
『ムヘリスタ神学ー伝統的神学への挑戦ー』
P84からP101。これは処世術か社会変革思想なのか?非常に近視眼的な発想と衝動性を感じる。祈りも霊性も感じない。共産主義が神学の着ぐるみを着てそのイデオロギーをネオ律法主義として生活の中に持ち込もうとしているのではないかとすら勘ぐりたくなる。全く受け入れたくない。なぜ神学であると主張するのかわからない。
『アジアのフェミニスト神学から『ラウダート・シ』への応答ー人間/男のためだけでなくー』
回勅に対する批判の中心は教会のジェンダー公正に関わるはずの文脈。EWAという学術フォーラムが紹介される。初見です。
スペインの戯曲『家の工事』の日本語訳はあるのでしょうか?テーマは異性装らしいです。ソル•フアナ=イネス•デ•ラ•クルスが原作者。彼女は17世紀中頃バスク地方出身の兵士のメキシコでの私生児。私が知ったのは、竹下節子著『女のキリスト教史』P241を読んだから。
四旬節A年第三主日の福音朗読ヨハネによる福音書4章5-42節のサマリアの女の話。これも竹下節子前掲書で触れられている。素敵な話だ。何度でも読み直したい。
バーバラ•ハレンスレーベンの「神の霊との関係における女性の神学」の冒頭の"キリスト教人間学"と神学ダイジェストNO.134の特集"神学的人間論"。どちらも大きな話で、迷子になりそうなのでしっかり読み直します。フェミニスト神学の絹川久子氏の著書「ジェンダーの視点で読む聖書」に出会えたことを神学ダイジェスト誌に感謝したいなと思いました。きっかけは本号のアリス・デルミアンス氏の論文でした。絹川久子氏の前掲書でホゼア書の訳語の記述があり、原語"ol","ul"の典拠がわからないので手元のセプトゥアギンタを調べようとしました。   "L"は"λ"で、"l"の表記自体ギリシャ語には無いので、セプトゥアギンタにあたるのが間違いだと気付きました。幅広いヘブライ語とギリシャ語の知識をベースにした素晴らしい解説が続く絹川氏の著書に感銘しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?