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汚水処理中に観察される微生物

誰に得になるやしれんけどシリーズ化しようかな。

顕微鏡観察していると時間を忘れる。かわいい微生物ども。

かわいいの代表格はアスピディスカ。てんとう虫のようななりをしてすばしっこくフロックの上を這いまわる。汚水処理が良好なときに現れる。撮影を必要とするときには、スライドガラスをしばらく放置して水中の酸素が少なくなって動きが鈍くなったところを狙う。それくらい忙しなく動きつづけている。

これと形が似ているのがユープロテス。でも、遥かに巨大で可愛げはなく、むしろグロテスクでさえある。アスピディスカもユープロテスも足としての機能を有する剛毛を生やしている。そういう機能を有しているがその生え方に規則性はなさそうで、それが私にはグロテスクに見えるらしい。アスピさんくらい小さければその辺は見えないのを、巨大であるばっかりに。たしかフロックが解体気味のときに現れる。

虫体のサイズはその種ごとにだいたい決まっていて、どのサイズの虫さんが繁殖しているかだけで、だいたいの処理状態が分かる。

汚泥日令といって、汚泥が発生してから引き抜きで系外に排出されるまでの時間を指す語があるが、これが増大するとフロックも微生物も巨大になる。細かくなる場合もあるが、その辺は運転次第。汚泥日令が長いということはそれだけフロックも微生物も育つ余裕が生まれるということだ。当然図体の大きな微生物は育つのに比較的長い時間を必要とするからね。

処理が良質なときにはツリガネムシが出現し、うまくすると群体を成して出現する。どれも軸をもち、フロックに片端を固着させて自己を保持している。彼らは周口部という捕食するための口をもち、その周囲に生えた繊毛を動かして周囲に水流を作って餌を呼び込む。この水流は強力なのでたまに保持力に欠ける小さなフロックに固着してしまったのや、軸から外れてしまった虫体が自分の作り出す推力に負けて水中を駆け巡っている。こいつらのなかでも水質の良いときに現れるのがボルティセラで、こいつは虫体ひとつがひとつの軸をもち単独でフロックに固着している。軸は収縮することができ、虫体が他の遊泳性の微生物などにぶつかると跳ねるように収縮し縮こまる。その様からヒッ! という悲鳴が聞こえてきそうだ。かわいい。またオペルクラリアも良い時に出現する。こいつはボルちゃんとは違ってフロックに固着した軸が枝分かれして房を成し、花束のようになっている。水質が良いほどこの花束は多くなる。水質が悪化すると、虫体が軸から外れ、適した環境が見つかるまで泳ぎまわったりして、フロックには実を摘まれたような軸だけが残る。オペルクラリアの軸はボルティセラのような収縮する器官になってはいず、管のようなものでできている。別の種類には管のなかに収縮する器官を具えているものがあり、またボルティセラには管の部分が存在しない。

ツリガネムシのなかでも良し悪しがあるようで、エピスティリスやカルケシウムといった種類は汚泥が解体(バラバラになった状態)したときに現れるという。

今日はこのへんでおしまい

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