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5年目の相棒

このカメラを買ってからもう5年。始めて自分の所に来たときは嬉しかったし、とても興奮したものだ。

新しいカメラ、新しい機能。撮影が本当に楽しくなった。今まで通り、たくさんのモデルさんに依頼したり、撮影依頼が来たり、ますますポートレート撮影が楽しくなった。そして、新しい機能で夜景を撮影するのも、すごく楽しかった。もう、その相棒を手にしない日は無かったくらい。相棒の吐き出す絵は、最高に素敵だった。

そして5年が経ち、社会は変わり、環境も変わる。自分の健康状態も変わってしまう。何もかもが変わってしまった。そして、その相棒を触ることもほとんどなくなってしまった。でも、その相棒は、常に自分の横においてある。そう、いつも座るコンピュータデスクの端っこに、ポツンとおいてある。時々、家族写真を撮る時とか、ほとんどしなくなってしまったポートレート撮影があるときなど、さっと手にとって、バッテリーのチェックや、壊れてないか調べられるように。

時々、新しい機種が出ると、気持ちがそっちに行ってしまい、買いたくなる気持ちになる。最新機種は高性能、そして撮影した写真の画質も最高で文句なし。でも、値段の高さと、相棒への気持ちが、それを抑えてくれる。

いつも自分の横においてあっても、触ることはほとんどないため、時々見るとホコリを被ってしまっている。気がつくたびにホコリを払って、電源を入れてあげる。そうすると、なんかカメラがニコッと笑ってくれているように感じる。そのたびに、心のなかで、なにか申し訳ない気持ちが沸き上がってくる。苦し紛れに、数枚の写真を、部屋の中で撮ってみる。でも、相棒が望んでいるのはそんなことじゃないよね。

そしてスイッチをオフにして、またデスクの端っこにおいておく。決してカメラバックに入れたままにしたりしない。いつも目につくところに置いておいてあげる。それが、使わなくなってしまった、相棒への心遣い。いつかまた、うざいくらいに触って、使い倒してあげるからな。そんなことを思った日曜日。

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